*2018年07月09日:幻想美術選「ロジェとアンジェリック」オディロン・ルドン
*2018年07月10日:芸術学勉強会/バタイユ
*2018年07月11日:7〜8月の展覧会観覧予定
*2018年07月12日:手ぐしが..
*2018年07月13日:ルンバとエデン
*2018年07月14日:苔寺/松尾大社/嵐山
*2018年07月15日:修学院離宮/銀閣寺/法然院
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*2018年07月09日:幻想美術選「ロジェとアンジェリック」オディロン・ルドン


 「幻想美術選」、第123回。この幻視家は、4回目の登場である。

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「ロジェとアンジェリック」(オディロン・ルドン、1910年頃)

 黒のルドン(「仮面が弔鐘を鳴らす」)、色彩のルドン(「海の底」)、黒のルドン(「永遠を前にした男」)、ときて、再び色彩のルドンの代表作である。

 16世紀の Ludovico Ariosto による「狂えるオルランド」中の挿話、ロジェによるアンジェリックの、龍からの救出を題材としている。確かに、その題材も、構成要素として読みとれるが..しかし圧倒的なのは、この、夢の色彩の渦である!

 ほとんどの日本人は、この題材を知らないと思われるが、そんなことは気にする必要もない。実際、(よりポピュラーな)「ペルセウスとアンドロメダ」の神話と、画面上では、区別なんかつきゃしないしさ [;^J^]。鑑賞者が必要以上にタイトルに縛られることを、ルドンはよしとしなかったらしいし、そういうことなら、ここから何を読みとろうとも作者(画家)公認なのである。[^.^]

 それにしても、まったく、なんという鉱物質の輝きであろうか..!!

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*2018年07月10日:芸術学勉強会/バタイユ


 西日本豪雨、死者126、不明80..にわかには飲み込みがたい数字である..(残念ながら、まだ、増加するだろう..)

 今月の「芸術学勉強会」(2018年06月05日の日記参照)は、バタイユである。教材は、「マダム・エドワルダ」。まさかこれを輪読する日が来るとはね。[;^J^]

 通読するのは、実に33年ぶりである。生田耕作訳の角川文庫版。前回は、「観念的ポルノ」という印象を受け、そのように整理して読んでいたのだが、今回、まず、作品の本質とは異なるところで面白かったのは、訳の問題。

 私が持参したのも、他の参加者が持参したのも、生田耕作訳の角川文庫。ところが、訳が違った。私のは1976年の初版なのだが、他の方々のは、もっと新しい版。輪読していて、違いが判明した。ほとんど変わらない頁(節)もあるのだが、かなり手を加えたところもある。「あぁ、この語彙を変えるのか..」「ここは変えないのか..」と、興趣尽きない。[;^.^](なかには、ルビの追加で、結構重要な変化が生じているところもある。)

 内容については、私の読み方はまだまだ浅い、と、痛感させられた。バタイユのさまざまな思想(キーワード)のコレクション的なところもあり、それは、バタイユをもう少し幅広く読み込んでいないと、わからないのは無理ないが..何度読んでも気になるのは、作者視点のメタな記述(これを書き続ける意味はあるのか..? など)が挿入されること。作品としての完成度を損ねているとみなすのは簡単だが..こんにちではありふれた手法ではあるのだが..

 22:15、帰宅。

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*2018年07月11日:7〜8月の展覧会観覧予定


 先月も書いたが、7〜8月は、週末の予定がパンパンである。先送りできる展覧会も多いのだが、これでもかなりきついのだ..というか、7月29日までの太田美術館は、もう無理だろう..

*太田記念美術館
 「江戸の悪 PARTU
 後期:〜7月29日(日)まで

*大田区立龍子記念館
 「名作展 ベストセレクション 龍子記念館の逸品
 〜8月26日(日)まで

*国立新美術館
 「ルーヴル美術館展 肖像芸術――人は人をどう表現してきたか
 〜9月3日(月)まで

*弥生美術館
 「文豪・泉鏡花×球体関節人形
 〜9月24日(月・祝)まで

*岡田美術館
 「初公開 田中一村の絵画 ―奄美を愛した孤高の画家―
 〜9月24日(月・祝)まで

*ポーラ美術館
 「ルドン ひらかれた夢ー幻想の世紀末から現代へ
 7月22日(日)〜12月2日(日)まで

 岡田美術館の田中一村展は、実は4月から開催されていたのだが、これまで(行かずに)引っ張っていたのは、「アダンの海辺」の展示が8月24日(金)以降だからである。

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*2018年07月12日:手ぐしが..


 ..楽になってきたのは、いつ頃からだろうね [;^J^]。こういうのは、ある日突然、気がつくんだよね [;^J^]。昔は、指を通すのが一苦労だった(抵抗が強かった)のだが、最近は、力を入れる必要もない..[;_ _][;^.^]

 血筋を鑑みれば、当然のことではある。私は父方の血を強くひいているのだが、父も伯父も、今の私の年齢の頃には、頭髪はほとんどなかった。それに比べれば、私はまだふっさふさどころの話ではないが、まぁ、行く末はわかっている [;^J^]。抵抗は、しない。さらに言えば、現在の進行程度を確認するために、わざわざ鏡を使ったりすることもしない。時間の無駄だからである。[;^.^]

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*2018年07月13日:ルンバとエデン


 最近、私の勤務先の部署で、ルンバが毎朝、1時間ほど掃除をしている。なかなか可愛いやつだが、期待どおりのバカさ加減も魅せてくれる。[^.^]

 ルンバを語るとき、この作品に言及されることが、あまりに少ないように思われる。「エデン」(スタニスワフ・レム、1959)である。

 彼の傑作のひとつだが、そのメインテーマについては、今回は触れない。探検隊のロケットの中で稼働している「掃除オートマット」。今ふうに言えば「掃除ロボット」だが、これがすぐにゴミの山に頭を突っ込んだまま、身動きできなくなってしまうのである。[^.^]

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*2018年07月14日:苔寺/松尾大社/嵐山


 5:30頃に自宅を発ち、徒歩で浜松駅へ。語るもおろかな快晴、発汗..[;_ _][;^.^]。6:32のこだまで、久々に京都へ。地下鉄と阪急京都線を乗り継いで、8:32に上桂。

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 8:45、地蔵院(竹の寺)、再訪。(基本的に、この二泊三日で訪れるスポットは、全て「再訪」である。)開門を15分ほど待つ。京都には何度も来ているが、考えてみれば、夏に来たのは初めてかも..暑いあつい。[;^J^]



 9:30に退出し、9:35、すぐ隣の西芳寺(苔寺)へ。10:00からの参拝を予約しているのである。

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 正直なところ、期待していたほどには緑が濃くない。

 梅雨明け直後の時期を7月中旬と予想し、そこをピンポイントで狙って予約したのだが..7月9日の梅雨明けから、まださほど日は経っていないのだが、晴天がこれだけ続くと、色が変わるものなのだろうか?

 そこで考え方を変えて、苔にこだわらずに、素材としてこの庭園を切り取ることにした。DCレンズ(ボケ味コントロールレンズ)を、無節操に使い倒す。[;^J^]



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 モコモコした苔が、「他の惑星の表面」のごとく見える瞬間があったので、そちら方向へ。イメージソースは、「2001年宇宙の旅」のラスト近くである。もちろん。[;^J^]

 右写真は、言うまでもなく巨●兵である。



 11:40に退出。(あんまりいつまでもぐずぐずと写真を撮っているものだから、同じターンの客は、皆、先に帰ってしまい、全員退出したと勘違いしたお寺の人に門に閂をかけられ、閉じ込められてしまいました。[;^.^])門前の「苔寺 柚之茶屋」という店で、とろろ蕎麦。

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 12:15に、月読神社。ここではあまり時間を使わず [;_ _]、12:25、松尾大社。



 13:15、退出。松尾大社駅から、阪急嵐山線で嵐山駅へ。

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 渡月橋。前回来た時も、なかなか様にならずに苦労したのだが、魚眼レンズを使ってみたら、そこそこうまい具合になった。(左写真がズームレンズ、中写真が魚眼レンズ。)扇形構図とでも申しましょうか。[;^J^]

 前回どうよう、嵐山公園の頂上展望台へ。暑いも暑いが、それよりも問題は汗で、ファインダーを覗いているあいだに目に流れ込んできて、沁みるしみる..眉毛と睫毛が、全然仕事していない..[;_ _]



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 頂上展望台を発ったのが、14:45。竹林の道を抜けて、15:05、天龍寺。ここでも魚眼レンズで、うまいこと構図をまとめられた。(疲れがたまってきたので、畳の上で、しばし休憩。[;_ _])退出は16:10になった。



 JRの嵯峨嵐山駅へ。山陰本線、地下鉄東西線、地下鉄烏丸線、阪急京都線、と乗り継いで、河原町駅。明日の待ち合わせ場所である BEER PUB ICHI-YA の場所を確認してから、17:30、「居酒屋ぽんと」。以前にも書いたが、京都で一番好きなスポットのひとつなのである。他にも素敵な店は何百とあるのだろうが。

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 退出したのは、20:35頃だったかな。20:50頃に、最近の京都の定宿である、出町柳のゲストハウスTに着いた。

 写真は、リビングルーム(というかリビングコーナー)。蔵書の趣味が、非常に良い。



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*2018年07月15日:修学院離宮/銀閣寺/法然院


 7:00前に宿を出て、7:00に、出町柳駅前のロッテリアで朝食。出町柳駅を8:15に出る叡山電鉄で修学院駅に着いたのが、8:22。8:40に、修学院離宮着。

 9:00からの参観予約だが、すでに受け付けが始まっていた。それはいいのだが、門の外で受け付け(というか予約票のチェック)を待っているひとたちは、ベンチに座っていられるのである。しかし、予約票のチェックをすませて門内に入ると、中の(本来の)受付窓口はまだ開いておらず、しかもここにはベンチもなく、延々と立たされることになるのである。[;^.^]凸

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 下離宮、中離宮、上離宮からなる、スケール雄大な離宮である。これは上離宮の隣雲亭からの風景。眼下に浴龍池を眺めやる。左写真と中写真は魚眼レンズ、右写真は普通のズームレンズ。



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 左写真は、修学院離宮でもっとも好きなアングル。浴龍池にかかる土橋から、浴龍池ごしに西浜を、そして西浜越しに下界を眺めやる。



 10:25に離脱。10:35、曼殊院。

 これは曼殊院の責任ではないのだが..ここの庭園の写真を撮る気になれないのは、(この季節と気候に)乾燥しきった枯山水だからか? そもそも論だが [;^.^]。水が豊かな修学院離宮のあとだけに、いっそう。

 11:05、離脱。11:20、圓光寺。

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 ここでも、苔の庭の全貌を「絵になる」写真にするのは難しいので、このような冥府魔道 邪道写真に逃避する。[;_ _][;^.^]

 普通の「苔の庭」が、まるで水中写真のごとくなった。また、以前から気がついていたのだが、渦巻くような写り方をする傾向があるのか? このレンズ..(特に左写真。)単なる偶然(たまたま、そういう写り方をしたショットが印象的であるというだけのこと)なのだろうか..?



  11:50、離脱。白川通まで降りて、12:00に、飛雲という中華料理屋。軽めにラーメンで腹を整える。バスで移動し、12:55、銀閣寺。

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 絵葉書みたいな観光写真を撮っても仕方がないし [;^J^]、大体人が多すぎて、落ち着いてシャッターチャンスを狙えない。空も真っ白に明るく、条件がよくない。そこで考えを改めて(今回、こればっかだな [;^J^])、苔を狙う。

 首尾よく、悪霊たちを撮ることができた。左写真の中央少し下に、梟(フクロウ)みたいな奴がいるでしょう。これに気がついてしまえば、あとはそこらじゅう、顔と目だらけ。[^.^]

 まぁ、こればかりでもなんなので、観音殿(銀閣)を上からのアングルで、撮っておく。ソフトフォーカスっぽく撮ると、なんだか妙な雰囲気になるね。[;^J^]



 13:45に退出。哲学の道をとおり、14:15、法然院。ちょっと立ち寄ってみただけだったのだが、ちょうど14:30から30分の予定で講話があるというので、聴いていくことにした。

 障害者の福祉施設に勤められているという方からの、「救いがほしい、救われて欲しい..仏教の思想とすりあわせられない..」という問いに対する、「この世は不条理で救われないからこそ、仏教が存在するのです」という、住職の回答..数行でまとめるような内容ではないので、ここでは、これだけとしておく。[_ _]

 30分の予定を押して続いているので、失礼して中座させていただき、15:15に退出。

 再び白川通に出て、バスで河原町へ。昨日下見しておいた、待ち合わせ場所の BEER PUB ICHI-YA に着いたのが、16:15。訊けば、今は入れるが17:00には予約で満席になってしまう(それまでしか居られない)とのこと。そこに、待ち合わせしていたKさんが到着。お久しぶりである。

 さっそく転進。まずはビールを飲まないと話にならんので、「京極スタンド」という店へ。わりとメジャーらしい、昭和な雰囲気が素敵な店。入店したのが17:10。メモによると17:20に出ているのだが、もう少し居たかもしれない。そのあと、昨日と同じ店、「居酒屋ぽんと」へ。カウンターの角席、屋内なのに屋外の気分が味わえる、私見ではこの店の特等席を、首尾よく確保できた。

 この2日間で撮った写真(ときどきツイッターにアップしていたのだ)あたりを肴に、京都の好きなスポットの話、今回私が再訪した、苔寺や修学院離宮の話などから、京都の話や、気候の話、酒の話など、他愛もないと言えば他愛のない話に花を咲かせる。

 20:20頃に、ぽんとを発った(ようだ。レシートによると。[;^J^])ここからの記憶が少々あやしいのだが [;_ _]、祇園(の裏道?)を少しさまよってから、小さめの店に入ったはず。店名は、憶えていない [;_ _]。散会は何時頃だったかな? 今回も、どうもありがとうございました。[_ _][^J^]


 ..気がついたら、京阪本線に乗っていて、どうやら三条に着いたところである。手荷物がない。まずい。降りる。寝ぼけているので前後の事情をなかなか思い出せないのだが、とにかく、駅の事務室に相談する。今のところ忘れ物の届け出、無し。切符を見ても祇園四条から乗ったのは確かだが、そこでも拾得されていないのだろうか? 今夜のところは仕方ないので、ゲストハウスTに、23:00に帰る。

 大丈夫。これは絶対に、見つかる。これまでの人生で数回、鉄道で大きな忘れ物をしているのだが(奇しくも、いずれもFCLAのオフがらみだったが [;^J^])、すべて無事に見つかっている。私はまったく、心配していない。

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Jul 20 2018
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