*2011年12月12日:「幻想怪奇譚の世界」
*2011年12月13日:某ゲラ校正
*2011年12月14日:北海道立図書館にコピー依頼13件
*2011年12月15日:コミケカタログ、届く
*2011年12月16日:微妙な強風 [;_ _]
*2011年12月17日:「THE MANZAI 2011」
*2011年12月18日:「21世紀SF1000」
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*2011年12月12日:「幻想怪奇譚の世界」


 幻想怪奇譚の世界」(紀田順一郎、松籟社)読了。エッセイ集に掌編の翻訳3編を加えたもので、ややまとまりを欠くものの、内容はべらぼうに面白い。(幻想と怪奇の時代の(いわば)続編であり、これの感想文は、2008年11月13日の日記 にアップ済みである。)

 例によって、何箇所か抜書きしておこう。

「鏡花の小説に謡曲や演劇の影響をみるというのが従来の考え方であり、それを否定するものではないが、むしろ映像的性格のほうがまさっているのではなかろうか。数個の静の場面(絵柄)をつなぐに動の場面をもってする。その「つなぎ」としての動の場面が入念で、一編の基調をなすことが多い。『高野聖』では人跡まれな峠の茶店や仙女の隠れ家という点(絵柄)をつなぐ線(過程=高野聖の困難な道行)が眼目で、そこに険阻な山あり、蛭が雨のように降り注ぐ暗黒の森あり、千丈の谷ありという目まぐるしい趣向。このアプローチ部分だけで全体の三分の一を占める。ドイルの『ロストワールド』やヒルトンの『失われた地平線』などの秘境冒険小説や、最近の『インディ・ジョーンズの秘宝』などの伝奇冒険映画を連想してもよいだろう。
 もっとも、この手の物語作者たちは「動」ばかり考えていて、「静」にはほとんど関心がない。逆に鏡花の場合は「静」が眼目で、それを引き立たせるための「動」にすぎない。点をつなぐ線でしかないのである。その根源に、あるいは日本的な美意識がかくされているのではなかろうかと気づいたのは比較的最近のこと、漱石が動に対する静の優位性を説いていることを知って以来である」(28頁)

「特定の環境下に特定の集団がもつ感性は、百物語の枠組というフィルターを通し、常時なら正確に見えた像に歪みを生じる。すべての成員が同じものを見、同じことを感じるのであるから、典型的な共同幻想といってよいものであろう。
 したがって、百物語の変質はこのような共同幻想が崩壊するところにある。その一つの要因が都市化による多様な価値意識の発生であり、職業や階層の分化であることはあえて想像を要しないであろう」(86頁)

「百物語の会の現代版であるトーク・イベントも、年々盛んになっているのは心強い。なぜなら、百物語はあくまで実践的な参加体験によって、継承されるべきものだからで、怪奇小説のアンソロジーとは同義ではないからである。紙の上の怪異を集めるだけでは、妖気を現出することはない。怨念や不条理への怒りが凝縮することもないだろう」(97頁)

 掌編の翻訳3編の中では、「なぞ」(ウォルター・デ・ラ・メア)に、文字通り、腰を抜かした ..なんだ、これは! ..なんなんだ、これは! ..こんな作品が、この世に存在していたのか! 「驚愕の傑作」などという「言葉」で飾るのも虚しい..まさに「神品」としか、呼びようがない..(調べてみたら、「怪奇幻想の文学」(新人物往来社)などに収録されているようだが、この名高いアンソロジーは、何故か未読だったのである。[_ _])

 K書房から、某企画のゲラが届いた。早速チェックにとりかかる。

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*2011年12月13日:某ゲラ校正


 北海道立図書館に依頼していた、手塚治虫関連のコピーが届き、首尾よく、作品リスト中のバグを1件、潰すことが出来た。

 従来、「ぷろだくしょんと私」というタイトルで記載していたエッセイは、初出誌(「8ミリ映画」1963年2月号)のコピーを実見したところ、正しくは「虫ぷろだくしょんと私」だったのである。

 ..そりゃそうだろう。[;^J^]

 ..そりゃそうでしょうとも。[;^.^]

 この件については、これまで、そういうタイトル(「ぷろだくしょんと私」)のエッセイが存在するという情報だけを取得しており、そのタイトルの「腰の据わらなさ」に、やや釈然としない思いは抱いていたものの、そのまま記載していたのである。実物を見ると、タイトル中の「虫」が、「[虫] ぷろだくしょんと私」のように、独立して飾り文字的にデザインされているので、それがタイトルの一部であるとは読めなかったらしい。[;^J^]

 深夜までかかって、某企画のゲラチェックを終わらせた。私が書いた原稿ではなく、あくまでもサブの立場なのだが、私にもチェックを回していただいて、良かった。特にSF周りで、担当編集者のチェックをすり抜けそうな間違いが、何箇所かあった。

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*2011年12月14日:北海道立図書館にコピー依頼13件


 13:01、さほど大きくはないが、地震発生..

 ..その直後から、地震情報関係のサイトが、全然つながらない [;^.^]。まぁ、私がアクセスしているぐらいだから、みんな、アクセスしているのである。こういうときのために、相対的にアクセス数の少ない(すなわち、不人気な)穴場サイトを確保しておく必要がありそうだ。[;^.^](信頼性と天秤にかけることになるだろうが。[;^J^])しばらく経ってからつながった(信頼性の高い、気象庁の [;^J^])サイトによると、震源は長野県で、最大震度が4。静岡県西部は、震度3。まぁ、そんなもんだったかな。

 K書房に、ゲラを返送する。北海道立図書館に、手塚治虫関連資料13件のコピー依頼を送信する。年内に届いてくれるといいな。

 妹より、母の手術が無事に成功したとのメールを受信。小規模な手術であるし、特段、心配してはいなかったのだが、良かった、よかった。

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*2011年12月15日:コミケカタログ、届く


 アマゾンに発注していた 冬コミのカタログ が、届いた。

 厚すぎるし、重すぎる..[;_ _] いったい、これを、どうしろと。[;^.^]凸

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*2011年12月16日:微妙な強風 [;_ _]


 帰路、寒い! しかし寒さよりもむしろ、風で自転車が煽られる方が怖い。右斜め前方からの突発的な(「突風」とまでは言えない程度の)風で、外側(歩道側)に押し出されそうになるのだ。「車道側に押し込まれるよりはマシだろう」と思われるかも知れないが、すぐそこに縁石があり、これに接触すれば転倒である。十分、危険なのである。[;_ _]

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*2011年12月17日:「THE MANZAI 2011」


 快晴。寒い。クリーニング出し。

 10:20から13:25まで、湯風景しおり。さすがに日光浴は、もはや無理である [;^J^]。露天風呂に浸かりながら読書。十分熱量を蓄えた時点で湯から上がって、ベンチに横になって寒風で乾かしにかかるが、たちまち冷える。ほとんど、変質者の所業である。[;^.^]

 帰路、湯風景しおりの直近にある、高林のハードオフ(というか「オフハウス」)に寄って、食器10数点とジャンパー1着を売却する。焼け石に水どころではないが、いくらかでもモノを減らさないよりはマシである。

 14:15、帰宅。

 書架の整理を、少しだけする。抜本的な解決には程遠いとはいえ [;^J^]、新規購入した(する)書籍を置く場所を、いくらか余分に確保できた。

 19時から、フジテレビの「THE MANZAI 2011」を観る。「ま、今年からはM−1が無いからな..」という程度の期待度だったのだが、予想を遥かに上回るレベルの高さに驚いた。

 決勝大会に出場したのは、下記の16組。

* 囲碁将棋 自分が(チャゲ&アスの)チャゲである、ということを“立証”する詭弁の面白さ一発で押しとおす。[;^J^]
* チキチキジョニー 女性コンビ。生まれ変われるとしたら有名人の誰に生まれ変わりたいかという女子の雑談という体で、様々な女性タレントの悪口を言いまくる。北川景子(「あの子なに観ても演技一緒じゃない?」)とか、上野樹里(「男ウケがな〜」)とか、長澤まさみ(「女に嫌われたないやん」)とか、綾瀬はるか(「ちょっと(顎が)しゃくれてない?」)とか、宮崎あおい(「歌ヘタやん」)とか、西野カナ(「恋愛感重すぎる」)とか、加藤ミリヤ(「なんか、ええわ」)とか、天海祐希(「おばはんやーん」)とか、芦田愛菜(「おとなになっても可愛いとは限らんで」)とか。[^.^]
* ナイツ 例によって、息もつかせずボケを連発しまくる。何を歌ってもほかの歌のメロディーにつられてしまう、というのがメインネタであるが、とにかく、手数の多さに圧倒される。
* 磁石 反抗期の息子と父親。「目覚まし時計組み立て部」のくだりが、ツボ [^.^]。それにしても、「草食系」ならぬ「総書記系」というネタが、早くも翌々日、アウトオブデイトしてしまうとは..[;^.^](← このくだり、12/21 に付記しています。[;^J^])
* Hi−Hi 「俺は引越をしたいんだー!」という柱は一貫しているのに、それを彩るコネタ群は、徹底的に相互に無関係で散発的である、という、いつものパターン。私は、好きです。[^J^]
* テンダラー 町娘を手篭めにしようとする悪代官を仕事人が成敗しにくるシーンの、連続リテイク7回。少しずつボケとパターンを変化させつつ同じパターンを(休みなく)繰り返し、観客の呼吸を奪っていく、という基本に忠実。[^.^]
* スリムクラブ 就職面接。「就職にあたって、なにか、資格はありますか?」「..後頭部を..ハイキックで狙われた場合..絶対に、よけれません..」「..その死角じゃなくて..」[^.^]
* ハマカーン ラーメンの命は麺かスープか。「おまえ、麺の気持ち、考えたことあんのかよ!」..から、いつものアレ [;^J^] が始まるが、すまんが私は、やや食傷気味だ..[_ _]
* 学天即 大河ドラマの主役をやりたい、というネタ。やや、地味だったかな..(あくまでも私見というか私の趣味からの視点ですが。[_ _])
* 博多華丸・大吉 乾杯の音頭の練習。ゴルフ場のパーティ会場、あるいは土建屋たちが集まる選挙事務所でのパーティにおける、俗物オヤジの乾杯の音頭の物真似が、絶妙である。「スピーチとスカートは、短い方がいい」..確かに。[^.^]
* アルコ&ピース スーパーマリオのBGMに歌詞をつけて歌う。面白いことは面白いんだが、ちょっと広がりが無いかな..一点突破にかけた勇気は買うが。
* パンクブーブー 堂々たる貫禄。本当にあった怖い話。幽霊「私を殺したのはお前か〜」自分「(怯えながら)いえ、違います..」から、幽霊と水掛け論になる。[^.^]
* エルシャラカーニ イルカの「なごり雪」の歌詞が、なかなか思い出せない(間違って憶えてる)というネタ。微妙に聞き取りにくいのだが、それを持ち味にしているところはあるようだ。
* 千鳥 素晴らしい! 旅館に宿泊予約をする練習、というネタなのだが、「白平(はくべい)」という名の女将のキャラが、絶品である。ちなみに彼女は実は(自称、日本で最初の)オカマであり、若い頃は「べにひき」と嘲られ迫害されていたという設定なのだが..「べにひき」は「紅引き」だと思うが、「オカマ」の古称としていかにもありそうな言葉なのに、手元の複数の国語辞典(書籍型または電子式の、「広辞苑」「大字泉」「大辭典」などなど)のいずれでも検索できない。ネットでも検索できない。もしかして造語なのか? だとすれば、素晴らしい言語感覚だが..悔しいので、近日中に浜松市立中央図書館で、日本国語大辞典(など)で調べることにする。[;^J^](「JapanKnowledge」の会員ではないのです。[;_ _])
* ウーマンラッシュアワー これも素晴らしい [^J^]。居酒屋を舞台に、使えない仕事ができない新人と、頼りがいのある?バイトリーダー、という設定なのだが、ものすごい早口で喋りまくるスピード感と爆発力! 特に、「俺はバイトという世界で生きているこの世界で偉いやつは金もっているやつでもなくケンカが強いやつでもない土日祝日はいれるやつバイトリーダーですっ!」、とか、「殺人よりも放火よりも強盗よりももっともやってはいけないことそれは交通費をもらいながら自転車で通うことバイトリーダーですっ!」、とかがツボにはまった。[^.^]
* 銀シャリ これも歌詞を間違えて憶えているパターンで、「犬のおまわりさん」。毎度お馴染み、ボケが文字どおり「ボケ」で、突っ込みがひたすら長時間喋りまくる、という、基本を突き詰めたタイプ。[^J^]

 決勝に進出したのは、Hi−Hi、ナイツ、パンクブーブー、千鳥。決勝トーナメントでのネタは、下記である。

* Hi−Hi 「俺はギターを弾きたいんだー!」という突っ込みを、ボケが妨害しまくる、いつものパターン。「お前の18年間を放り込んでこい!」、という、ボケのまさかの名セリフ。[;^J^]
* ナイツ フジテレビのドラマネタ。「のり●ーーーっ」[;^.^]
* パンクブーブー 新聞勧誘員ネタ。横綱相撲である。
* 千鳥 通販でゴルフクラブを買いたい..つまり、またしても「電話」である [;^J^]。「白平(はくべい)世代」って、そんな無茶な。[;^.^]

 (以下、この日記がアップされる頃には、結果は公知だとは思うが、念のため(スポイラー回避のため)、文字の色を一部読みにくくしておく。)優勝はパンクブーブーであり、非常に妥当であるとは思うが、心情的には、千鳥に優勝してもらいたかったかな。(白平(はくべい)が、ブレイクしそうな予感。[;^.^])チキチキジョニーや、ウーマンラッシュアワーも非常に好みだが、やや小粒だったかも知れない。

 いずれにせよ、MC陣(ナインティナイン、ビートたけし、高島彩アナ、佐野瑞樹アナ、及び、いきなり連れてこられた爆笑問題(爆チュー問題))も安心して見ていられる、ハイレベルな大会であった。[^.^]

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*2011年12月18日:「21世紀SF1000」


 快晴。寒い。

 富塚町のブックオフで、10冊弱売る。焼け石に水どころではないが、いくらかでもモノを減らさないよりはマシである。(← 昨日の日記からのコピペである。こういうのを、バンクシステムという。(← 違う。))

 21世紀SF1000」(大森望、ハヤカワ文庫)読了。これだけの期間と冊数にわたって、一定の価値観/批評眼で内容紹介/採点をし続けていることにより、ぶれない羅針盤として機能している。座右に置く。(内容を忘れていた作品について、いちいち読書記録と照合しながら読んだので手間だった。[;^.^])

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Dec 22 2011
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