*2000年10月16日:新幹線の謎
*2000年10月17日:聖レイの追い込みにかかる
*2000年10月18日:聖レイを、さらに追い込む
*2000年10月19日:お前は海江田か
*2000年10月20日:ネット時代の古書店経営
*2000年10月21日:エグゼクティブと上京する
*2000年10月22日:「アリと巨人」など
*目次へ戻る *先週へ *次週へ


*2000年10月16日:新幹線の謎


 幼少のみぎり、「新幹線」の実物を見たことが無く、その姿を絵本(あるいは図鑑)でしか知らなかった時分の私は、「ひかり号」「こだま号」は、各1台しか存在しないものだと思いこんでいた。「ひかり433号」などという呼び方を知らなかった以上、これはこれで無理の無い推測だろう。なにしろ、「世界一速い、物凄く速い電車」なのだから、その「偉さ」からしても、それぞれ1台しか存在し得ないはずなのである。(「ひかり」がキングで、「こだま」がクイーンと言ったところか。)

 そんなある日、両親に連れられて東京駅へお出かけした私は、「新幹線ホーム」で、初めて、ひかり号の実物を観た。その美しさに感動した記憶は..実は無い。それよりも、実に不可思議な情景を観てしまい、その印象があまりにも強烈だったので、車体の美しさの記憶が吹き飛んでしまったのであった。

 30年以上昔の記憶なので、正確なところは憶えていないのだが..確か、手前のホーム(「下り」だったと思う)に、ひかり号が停車していた。先頭車両も観たと思う。そして..「向こう側のホーム(「上り」だったはずだ)にも、ひかり号が止まっていた」のである。

 ひかり号は、1台しか存在しないはずである..

 同時に私は、ひかり号は、“東京 <=> 大阪”往復専用電車だと思いこんでいた..

 ..ということは..

 なんて長い電車なんだ!

 大阪駅では、どうやってUターンしているんだ!

 (なにしろ、私の立ち位置からは、向こう側のホームのひかり号の、先頭車両も最後尾の車両も、見えなかったのだから..)

*目次へ戻る


*2000年10月17日:聖レイの追い込みにかかる


 聖レイの、「レイプ女子高3年B組」と「淫唇エアロビクス」が届いた。これでトータル19冊。あと8冊。

*目次へ戻る


*2000年10月18日:聖レイを、さらに追い込む


 聖レイの、「みだら女(びと)」が届いた。これでトータル20冊。あと7冊。(いよいよ、胸突き八丁である。)

*目次へ戻る


*2000年10月19日:お前は海江田か


 車を運転していて、久しぶりに、ちょっと恐い目にあった。もちろん、私の落ち度である。大事に至らなかったとはいえ、自戒(と読者の教訓)の為に、ここに書いておこう。

 そこそこ流れの速い、広い道路を走っていた私は、次の交差点を直進するつもりだった。前を走っている(ランクル(ランドクルーザー)タイプの、背の高い)車は、やや加速気味。信号が変わる前に通過しよう、余裕で通過できるさ、という気持ちが伝わってくるような走り方である。そこで私も安心して、アクセルをやや踏み込んで、その車のあとに着いていったのだが..

 ..そのランクルは、交差点の直前になって、いきなり、右折車線に身をかわしたのである。そして私の目の前に現れたのは..交差点を突破するどころか、さらにもうひとつ先の交差点から、この交差点の手前までぎっしりと詰まっている、車の列であった。

 無論、余計な判断をする以前に、脊髄反射でブレーキング。急ブレーキするとハンドルを取られかねないスピードだったので、微妙に深めのポンピングブレーキで、後方の車に(追突の危険有り!という)信号を送りつつ、無事に停車。冷や汗をかいた。典型的な「だろう運転」。大反省である。

 ..もちろん、ノータイムで、最高の反射速度でブレーキングしたのであるが..無事に停車するまでの危機的な時間帯、意識の片隅(というか「無意識」のレイヤー)では、別の思考が、ひとごとのように、たゆたっていたのであった..

「これは確か、“沈黙の艦隊”で、海江田が使ったトリックだ..」

*目次へ戻る


*2000年10月20日:ネット時代の古書店経営


 単なる顧客に過ぎない局外者の目には、「町中の古書店の冬の時代」、と見える。とにかく町中の古書店は、どこも経営が苦しそうだ。

 「実は全国的には、古書店は増えても減ってもいないのだ」、と聞くが、ここで言う“古書店”には、恐らく「BOOK OFF」(及び「BOOK OFF」型のチェーン店)も含まれていると思うのだ。ということは、「BOOK OFF(等)」が増えた分だけ、旧来の老舗古書店は減っている、と言えるわけだ。さて、これを、嘆かわしい現象と考えるべきかどうか。

 大森望の視線は、冷徹である。「(インターネットのお陰で、)10年前より、古書は遙かに入手しやすくなった」、と言う。確かにそうだ。「他の店で買えなかった本が、その(町中の、潰れた)店で買えたわけでも無かったのだ」、とも言う。これも全く、そのとおり。経験上の事実である。

 私は、聖レイのエロ劇画の単行本を、20冊買い集めたが、このうち17冊はインターネットで調達したものであり、古書店の店頭で見つけて買ったのは、たったの3冊。それも、神保町の、とある(それ系の)店で3冊まとめて購入したのであって、神保町といえども、他の店では、滅多に聖レイを見たことが無い。地元浜松では言わずもがな。いや全く、インターネットさえ無ければ、こんな無駄遣いは..違うちがう [;^.^]、これほどコアなコレクションは、不可能だったのである [;^J^]。

 これは重要なことである。

 私は、現実問題として行脚不可能な、遠隔地(九州や北海道)の古書店から、(インターネット経由で)書籍を購入した。

 その古書店から見ると、現実問題として店に来てもらうには、あまりに遠くに住んでいる人に販売できたのだ。これは、全く新たな(アドオンの)需要であり、売り上げなのである。

 無論、インターネットが無ければ不可能なことだ、というわけではない。ペーパーウェアの「目録」は、今も昔もあるのだし、実際、数十の古書店から、それぞれ年に数回、私の元へ目録が送られてきており、それによって、(九州や北海道の)古書店から古書を購入しているわけなのである。しかし、郵送される目録とウェブページへの目録の掲載とでは、能率が全く違う。ウェブページに掲載された在庫目録は、毎日でも更新できる。ペーパーウェアの目録は、どんなに頑張っても、月に一度の発行が精一杯だろう。そしてそれを(数百人以上?の)見込み客に発送するためには、大変な経費がかかるのである。

 もちろん、インターネット上の商売も、経費がかかる。電話代や接続代は言わずもがな、注文メールへの対応にも、人件費がかかるのだが..しかしこれ(人手)は、どんどん自動化・合理化できるはずだし、それが出来ないネット古書店は、脱落するしかあるまい。

 インターネットは、多くの古書店を潰すだろう。しかし、さらに多くのビジネスチャンスを、生んでもいるのだ。

*目次へ戻る


*2000年10月21日:エグゼクティブと上京する


 例によって浜松7:14発、東京直通ノンストップひかりの5号車(自由席)の3連の席の窓側に腰を落ち着けていたら、隣りの席に、「やあ、どうも」、と、座られたのが、私の勤務先(R社)のD社長夫妻。さすがに意表を突かれた [;^J^]。明日からの中国出張に備えての上京である由。

 「これに乗ると、(東京営業所の)9時の朝礼に間に合うんですよ」、とおっしゃる社長は、この便をしばしば利用されているらしいので、今日に至るまで鉢合わせしなかったのは、私が平日には(滅多に)利用しないからだろう。


 「上京は何の用件で?」
 「ええ、国会図書館へ」
 「何か調べものでも?」


 ..そこで鞄からリブ100と調査ファイルを取り出し、「“手塚治虫漫画全集”解説総目録」(正確には、その中の「全作品リスト」)を、プレゼンしたのである。(← みさかい無し。[;^.^])ご夫妻が感心していたか呆然としていたかは、主観しだいで判断が分かれよう。しかし少なくともその目の光は、かなりの驚きを伴っていたのであった。

 東京駅で社長ご夫妻と別れて、予定通り国会図書館へ。さすがに朝から験が良かった [;^J^] と言うべきか、捗るはかどる。何故か、数十台あるCD−ROMの検索端末の約半数が、暴走して使用不能になった、というオマケ付きである。(← 脈絡不明。)

 さまざまな著者の単行本(アンソロジー等も含む)に掲載された短文のチェックが、メインである。このジャンルで調査可能な(すなわち、国会図書館に蔵書がある)ものは、ほとんどサルベージした。国会図書館に収蔵されていない単行本が多数あるのだが、当面、棚上げ。(国会図書館をはじめとする)図書館で見つけられなければ、古書店で買い集める、という手が残っているのだが、漫画作品ならばともかく、手塚治虫が書いている「あとがき」の(頁数を確認する)ためだけに、数千円(以上)を投下する気には、なかなかなれないものである..

 続いて、現代マンガ図書館。手塚関係の遺漏の他、山田章博の初出誌群に、小当たりしておく。(10数冊。)

 神保町経由で横浜の実家へ。

*目次へ戻る


*2000年10月22日:「アリと巨人」など


 実家から、8:54のバスで中山駅へ向かい、9:30にTさんに迎えに来ていただく。

 Tさん宅での調査も、大詰めである。(無論、今もコレクションは増え続けているのであるから、その意味では終わりは無いのだし、増え続けている部分をリアルタイムにフォローしているわけでは無いのだから、現時点でも、既にかなりの見落としは発生しているはずなのだが、どのみち不可能な「完璧」を期すよりは、“いったん終わらせる”ことの方が、大切である。)

 今日は、ほとんど、雑誌等の切り抜きの調査。切り抜きについては前回から手をつけていたことだし、今日一日で終わるだろう..と、見積もっていたのだが、案の定、終わらない。量が多すぎる。「三つ目がとおる」、「陽だまりの樹」、「ドン・ドラキュラ」などの、既に初出誌をチェック済みの作品の切り抜きファイルについては、背表紙(の作品名)だけチェックして、ファイルを開くこともせずに、バンバン、すっ飛ばしていっても..である。

 今日の最大の収穫は、「アリと巨人」の初出データを、切り抜きから確定できたことである。この時期(1960年代前半)の初出誌(中学一年コース、中学二年コース)は、国会図書館ではごっそり欠落しており、大宅壮一文庫にも蔵書がなかったのである。

 漫画作品の切り抜きは、あらかた片づけた。残すは、新聞・雑誌等に掲載された(文章系の)記事のファイルである。やれやれ、あと1〜2日工程か(..と、2年前に日記に書いていたのを、たったいま発見した [;^.^])。

 中山駅から新横浜駅経由で、浜松に直帰。

*目次へ戻る *先週へ *次週へ


*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Oct 25 2000 
Copyright (C) 2000 倉田わたる Mail [KurataWataru@gmail.com] Home [http://www.kurata-wataru.com/]