*2017年04月17日:春の嵐?
*2017年04月18日:「定本 夢野久作全集 1」
*2017年04月19日:幻想美術選「タイタンの酒杯」トマス・コール
*2017年04月20日:ガラパゴス? [^.^]
*2017年04月21日:改めて「残穢」
*2017年04月22日:なんとか更新 [;_ _]
*2017年04月23日:「パッセンジャー」
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*2017年04月17日:春の嵐?


 午後から夜にかけて、雨がどんどん強くなってきた。夜明け近くまで、風雨強い..暴風とまでは言わないが、うるさくて眠りづらい。

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*2017年04月18日:「定本 夢野久作全集 1」


 先週末の京都旅行のおともの本(旅行中に読み終わった)を紹介するのを、忘れていた。定本 夢野久作全集 1」(国書刊行会)である。全8巻だが、まだ第1巻しか出ていない。今月、第2巻が刊行される予定である。最初の5巻が「小説」で、この5巻は編年体。つまり、この第1巻には、最初期(1917〜1931)の作品が収められている。

 ちくま文庫版の夢野久作全集は、遙かな昔に読了済み。それ以外でも読んでいるので、こと小説に関して言えば、あらかた既読のはずであったが、この全集は、断簡零墨に至るまで収録するという方針らしく、未知の作品も数多く読むことができた。とはいえ(小説の場合は)未読の作品の大部分は、ごく初期の(「あやかしの鼓」以前の)作品であり、習作的なものもある。

 既読作では、「あやかしの鼓」「死後の恋」「瓶詰地獄」「鉄鎚」が、やはり絶品である。「あやかしの鼓」の毒婦(ファム・ファタール)の造形、「死後の恋」の凄惨な地獄図、「瓶詰地獄」の地獄でもあり天国でもあるという絶妙にして甘美な設定と完璧な構成、「鉄鎚」はあまり憶えていなかったのだか、こんなに面白い小説だったのか! 認識を改めた。凄い傑作。昔から好きだった「ゐなか、の、じけん」が、これらに次ぐ。「押絵の奇蹟」「人の顔」「涙のアリバイ」「空を飛ぶパラソル」「卵」も、佳作である。今回初めて読んだ作品の中では、「侏儒」と「ドタ福クタバレ」が記憶に残る。なんにせよ、夢のような読書体験であった。[^J^](「夢野」久作なだけに(← やめなさい。[;^J^]))

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*2017年04月19日:幻想美術選「タイタンの酒杯」トマス・コール


 「幻想美術選」、第60回。前回は、「死の勝利」(ピーテル・ブリューゲル(父))の中に入って遊びたい((「死神」たちを)殺戮しまくりたい)、というか、遊び(殺し)まくってきたと書いて、一部の読者にはひかれたと思うが(自覚はあるんですよ [;^J^])、今回ご紹介する作品に入りたい(入ってきた)と書いても、誰もひくまい [^J^]。だって、ここはリゾートだもの。[^.^]

Picture

「タイタンの酒杯」(トマス・コール、1833年)

 トマス・コールの作品は、第13回で「建築家の夢」を紹介している。Wikipediaにも一応目を通していただけると、作者の解説を書く手間が省ける..というか、省いた。[;^.^]

 この作品、リトルメジャーというかビッグマイナーというか、その筋(どの筋だよ [;^J^])の画集には、案外収録されていることが多いのだが、どの画集においても、解説の情報量は、多くない。実際、あなたが見たままの絵画なのだ。深読みするまでもなく、無駄な解説を書くまでもない。

 楽しい世界ではないか。この小さな湖と、そこに遊ぶヨット。手前岸の柱廊の遺跡のようなものと、それを中心に両側にひらけていく空き地。向こう岸の小さな建物の周囲にはほとんど空き地はなく、すぐに森が迫っているようである。その森の中には、道はあるのだろうか、あるいは湖面から舟でアプローチしなければならないほど、木々が密生しているのだろうか..いつまでも見入って想像していられる..

 そもそもこの湖(の岸)には、どうやってアクセスするのであろうか。この「ゴブレット」の脚の中に、石段でもあるのだろうか..よくみると、ゴブレットが立つ崖の下に、小さな集落があるようである。ここはいったい、なんなんだろう..? そして、遠景に目を転じてみれば、遥けくどこまでも広がり行く、山岳風景..

 人生にとって、また、世界にとって、まったく無用の絵であり、空想である。この無用な遊び、無駄に過ぎ去る時間にこそ、しかし、はかり知れない価値があると信ずる。

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*2017年04月20日:ガラパゴス? [^.^]


 「日本の鉄道の正確な運行を自慢するのは、世界を知らない証拠だぜWWW」、的な、せせら笑いツイートを見かけた。正確な表現は忘れたが、ほぼこの程度の情報量しかなかったので、真意は不明。しかし言わんとすることは、大体わかる。要は過剰品質だ、こんなのを有り難がっているのは日本人だけだ、有り難がるのは勝手だが、自慢するなんざ、ちゃんちゃらおかしい、世界のどこでも、ダイヤというのは大雑把なものであり、それで構わないのだ..

 ちゃんちゃらおかしいのは、この主張自体である。[^.^]

 まず、「日本だけだ」という思い込み。裏はとったのか。世界は広いぞ。(こういう、日本を世界と比較する「論」に、ほとんど普遍的に見られる欠陥である。)アメリカにだってロシアにだって中国にだって、もしかすると南米にだって、正確なダイヤで運行されている地域や都市はあるだろうに。

 また、ダイヤが正確でも、たいして意味は無い、という含意が読みとれるが、これこそ、まったく容認できないことである。正確なダイヤ(と、「乗換案内」の類のアプリ)のおかげで、1日にできることが、確実にひとつかふたつ、増えている。「時間貧乏なやつのタワゴトよ、1日にできること(行ける場所)は、ひとつで十分だ」、と、嗤わば嗤え。「人生の残り時間」と「金」を潤沢に持ち合わせている贅沢な人々には、言わせておくだけのことである。

 2年前、私は、午後、博多でコンサートを聴き、19:00から池袋で吾妻ひでおと江口寿史のトークイベントを聴く、という、無茶な予定を組んだ。そして、これは実現できたのである。(トークイベントが、江口寿史が(江口寿史なだけに [;^.^] こちらの注文どおりに [;^.^])遅刻して30分遅れて19:30スタートになったことにも助けられたが。[;^J^])ANAの遅れが僅か10分、福岡の地下鉄、京浜急行、山手線が、いずれも1分と遅れずに動いてくれたからである。私は、この日ほど、日本の交通インフラの凄さを実感し、それを支え実現している何万人もの人々に感謝したことはない。このコンサートとトークイベントは、間違いなく、私の人生を構成するいくつもの「幸せ」のうちの、重要なふたつだったのであり、そしてそれは、この日にしか実現しないものだったのだ。それをどちらも捨てることなく、両方とも私の人生に取り込むことができたのは、「日本の鉄道の正確な運行」のおかげなのである。

 ガラパゴスで結構 [^.^]。ガラパゴスで生きている私は、幸せである。(本当にガラパゴスなのかどうか(世界の他の「全ての」国では「鉄道はダイヤどおりに走らない」のかどうか)、私は知らないけどね。(疑ってるんだけどね。))

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*2017年04月21日:改めて「残穢」


 WOWOWから「残穢」を録画し、さっそく観た。いきなり余談だが、これは極めて珍しいことなのだ。「残穢」は無論、映画館で観ている。私が映画館で観た映画を録画する場合、それは90%以上、「参照用資料として手元に置いておく」ためなのであり、即座に観る必要は、ないのである。(録画ミス/画像の乱れがないかどうかのチェックを、早送りで行っておくだけ。)しかし「残穢」は、無理に時間を作って、さっそく観た。それほど、好きな(というか、気になる)映画なのである。

 ..やはり素晴らしい。しみじみと、怖い。(小野不由美の原作小説は、読んでいない。すごく、怖そうだからである..[;_ _][;^.^])

 内容の紹介は省略させていただく。[_ _](上記公式ページを見るなり、ぐぐるなりしていただきたい。)Jホラーのいくつかの特質のうち、もっとも特徴的なもの、すなわち「品の良さ」が、ここにはある。(全てのJホラーが「品が良い」と言っているわけではないし、そうあるべきだと言っているわけでもない。)たとえば、ダブルヒロインである竹内結子も橋本愛も、一度も悲鳴を上げないのだ。(その他の登場人物は、悲鳴を上げることもある。)そう、竹内結子! 彼女の、テンションの低い(風な)演技が、この傑作を支えている。

 「穢れ」が感染して行く..なんの罪科もない、ただ、それに接近してしまっただけの人々に..恐い..

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*2017年04月22日:なんとか更新 [;_ _]


 早朝(普通の人の感覚では、夜 [;^J^])に目が覚めてしまったので、2:00か3:00頃から、録画整理。(BDに落としたり、リストを作ったり。)PCを持って9:40に発ち、9:50から13:20まで、湯風景しおり(の膳所)で、廃墟通信執筆。クリーニング出しして帰宅。

 さらに書き足して、夜も近くなってから、なんとか更新。土曜日が、パーである [;_ _]。やれやれ..[;_ _][;^J^]

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*2017年04月23日:「パッセンジャー」


 10:25に車で出て、10:35から14:00まで、湯風景しおりで読書。晴れだが雲多め。14:10、いったん帰宅。

 16:55に今度は自転車で浜松駅前に出て、ザザシティのトーホーシネマで、17:55からの回で「パッセンジャー」を観る。

 良い、と思う。ハードSFだと思うと、甘さもある。まず、この「いけてる」デザインの宇宙船だが、このデザイン自体に合理性が無い [;^J^]。また、無駄に豪華すぎる。移民船なのだが、クルーも乗客(5000人)も、120年間の人工冬眠に入っているのだから、明らかな過剰装備である。無論、この移民船の運営会社はボロ儲けしていて、天文学的な利益を出している(ので、いくらでも金を使える)し、到着の4ヶ月前に(体を慣らすために、少し早めに)人工冬眠から目覚めるので、ラスト4ヶ月を快適に過ごす必要がある、ということで納得はできるので、構わない。

 要するに、豪華ホテルなのだ。ひとり(のちに、ふたり。さらにのちに、3人)が目覚め、生活するためだけの。もう少し正確に言えば、タイタニック。また、バーのシーンは(多くの人が同感してくれると思うが)完全に「シャイニング」へのオマージュである。

 主人公は、絶対にやってはならない、ある重大な「罪」を犯す。そのことは、主人公と観客だけが知っている。(しばらくのあいだは。)定石としては、こういう秘密は、終盤になってはじめて暴露されるので、主人公の秘密を共有するわれわれ観客は、終盤まで、この秘密を知りつつ(罪悪感を共有しつつ)観なければならないのか、という不安とストレスにかられるが、案外早く、中盤にはこれは「ばれて」しまうので、逆にホッとした [;^J^]。この映画はもちろんSF映画だが、それ以上に、この重大な罪の「贖罪」と「赦し」の映画なのである。

 だから、SFだと思うと、細かい突っ込みどころや、明らかなミスは散見されるのだが、それは気にならない。また、「SF」でなければ成立しない設定、でもある。好印象である。むしろ、観た直後よりも、それから数日間経って、今こうして、思い出しながら書いている時点での方が。パッケージメディアを買うかどうかは微妙だが、いずれWOWOW等で放映されたら、録画を手元においておき、残りの人生で、数回以上は観かえすと思う。公開時期は、ほぼ終わっていると思うが、お薦め。

 20:30、帰宅。

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Apr 27 2017
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