*2006年08月14日:大停電/世界の巨大恐竜博2006
*2006年08月15日:不滅のヒーローウルトラマン展/若冲と江戸絵画展
*2006年08月16日:右耳で聴け
*2006年08月17日:惑星増殖
*2006年08月18日:奇想コレクションを3冊
*2006年08月19日:さらに2冊
*2006年08月20日:「バルタン星人はなぜ美しいか」
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*2006年08月14日:大停電/世界の巨大恐竜博2006


 さて、幕張メッセの「世界の巨大恐竜博2006」である。開場は9:00であるが、どうせ混むので、開場前に着いて並んでおきたい。というわけで実家前のバス停から6:20のバス。これで会場には8:30頃に着ける見込み。

 7:44、京葉線の潮見駅に着いた時点で電車がストップ。停電だとのこと。やれやれ、せっかく早めに出たのに..でも(ほぼ)全員が京葉線で会場に向かっているので、全員一丸となって平行移動で会場到着時刻が遅れるだけである。別に不利になるわけではない。止まっている電車内で、気にせず読書。8:22に復旧。9:09に会場着。

 もちろん面白いのだが、テーマがやや鮮やかでない。「恐竜の巨大化」「生物の多様化」「哺乳類の進化」..恐竜を捕食していた哺乳類・レペノマムスが目玉のひとつだが、キャラ的に地味だし [;^J^]。11:40に会場を発って、海浜幕張駅に戻る途中のTONY TOMA’Sという店でランチ。

 ひっさびさに国会図書館へ。手塚治虫関係の調査を少々。しかしここのシステムは、相変わらず使いにくいなぁ。もう何年も前になるのだが、手書きで請求票を書いていた頃と本質的に変わらないし、「空き時間を利用して先に請求票を書き溜めておく」ということが出来なくなったなど、むしろ不便になっている面すらあるのである。

 手塚治虫関係とは別に、「みづゑ」誌の調査も行う。高校生のみぎり、高校の図書室に備え付けられていたこの雑誌に、素晴らしいデッサン(または版画)が掲載されていたのだが、画家の名前を忘れてしまっていたからである。爾来、このことを時々思い出しては気にしていたのだが、そろそろケリをつけるべきかと。

 高校何年生の時に見たのかも憶えていないのだが、私が高校生をやっていたのは1974年の4月から1977年の3月までなので、その期間のバックナンバーをチェックすればよかろうというわけで、「1974年4月号」以降制限一杯、という借り出し方をした。すると、なんと驚くべき事に、追憶の彼方の憧れの作品群を「一瞬で」発見してしまったのである!!(所要時間2秒弱!!)それも、「1974年2月号」に!!

 どういうことかというと、この雑誌は(非常によくあるパターンだが)半年分ずつ、1月号〜6月号、7月号〜12月号が、それぞれ合本になっているのである。つまり、「1974年4月号」から借り出すと、「1974年1月号〜6月号」という合本が出てくるわけだ。そしてこれを開いたとき、たまたま2月号のその頁が開いたというわけなのであった。「1974年2月号」は、私が高校に入学する以前の号である。つまり私は、高校の図書室に備え付けられていた「バックナンバー」で、この作品群を見たのであった。いやそれにしても運が良かった。これでもし「1974年4月号」からピッタリと出てきていた日には、「1974年2月号」に行き当たるまで、大変手間暇がかかったはずである。

 画家の名前は「モーリッツ」。「記憶の美化作用」もほとんどなく、30年ぶりとは思えぬほどいくつかの図版を明確に記憶していた。この号を古書店(またはネット)で探しだして入手すること。この画家の画集も探しておくこと。

 引き続き現代マンガ図書館へ。ここもちょ〜久しぶりである。「漫画の手帖」の初期の号を閲覧する。ふと、閲覧室に備え付けられている今日の夕刊(読売新聞)に目をやったところ..一面トップに停電の記事。なんと、今朝のあれは140万戸を巻き込む大停電だったらしい。ふぅん..作業船が高圧線を引っかけたんですか。バックアップのラインも同じ鉄塔に張られているというのは感心しないなぁ..(すみません、「ゴジラ」などの当該シーンを想起してしまいました。[;_ _][;^.^])

 早めに帰宅するが、睡眠不足系?の頭痛でグロッキー。読書不能。早すぎるとはわかっているが、薬を飲んで、20:40にフトンに入る。案の定、0:00前には目が覚め、気分は大体回復していたが、念のため寝酒は飲まず、朝までフトンの中でゴロゴロする。1〜2時間は追加で眠れたかな。

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*2006年08月15日:不滅のヒーローウルトラマン展/若冲と江戸絵画展


 ほぼ回復。今日は8:11のバスで、京王線の芦花公園駅へ。世田谷文学館で開催されている「不滅のヒーローウルトラマン展」である。会場着は10:15。

 こぢんまりとしているが、なかなか手際よくまとめられている。お薦め。

1.「1/8計画」のセット図面が展示されているが、単位が「尺」である。

2.黒須和清による怪獣のペーパークラフトが素晴らしい出来。

3.歴代ウルトラマンが、ひとり1枚ずつパネル化されて展示されているのだが、ネクサスのパネルが無い [/_;]。やっぱり、鬼っ子? [/_;][/_;][/_;][/_;][;^.^]

 神保町へ。ちょっと回ってから、昼食は一六堂という店に入ってみる。つけ麺。味は悪くないが、麺を入れているざるの底の方や周辺付近の麺は、箸でつまむのが不可能なほどに短かく、ざるを持ってつけ汁の容器に流し込まなくてはならなかった。[;^.^]凸

 上野へ。東京国立博物館で「若冲と江戸絵画展」。実に混んでいる。どう考えても「不滅のヒーローウルトラマン展」を後回しにして、朝いちでこちらを片付けておくべきであった [;^J^]。プライスコレクションのまとまった展示が日本で観られるのは、今回が最後ではないかとのことである。これほど優れた「日本画」の一群が「海外」にあるのかと思うと複雑な気持ちになるが、それは狭量に過ぎよう。世界の人々はわざわざ遠い日本に来なくても、アメリカでこれらを観られるのである。日本文化の素晴らしさを世界に知らしめる、最高の文化使節ではないか。今回展示された中でのマイ・フェイバリットは、山口素絢の「美人に犬図」である。

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*2006年08月16日:右耳で聴け


 朝のうち雨。今週後半は下り坂とか。一昨日と昨日にお出かけ系の用件をすませておいて正解である。あとは日曜日まで、ゴロゴロと読書をするだけだ。

 どこで聞いた話か忘れた。左右どちらの耳で聞くのがよいかという蘊蓄である。答えは右耳。聴覚は、左耳→右脳、右耳→左脳とクロスして受け付けられる。一方、言語を司るのは左脳。従って、左耳で聞いた話はいったん右脳へ送られるが、管轄が違うのでそこから更に左脳へ送られることになる。このタイムラグが0.1秒。その分だけ理解が遅れ混乱の元となる。故に人の話は右耳で聞くべきなのである、とのこと。

 そりゃまずいわ [;^J^]。私は、人の話を左耳で聞いている。右耳の方が特性が悪い(ハイ落ちとヒスノイズで、やや聞き難い)ので、人の話を聞くときは顔をやや右に傾けて左耳を前方に出すし、電話も必ず左耳で聞くようにしている。そうか..この半生、ずっと混乱し続けてきたのか..(何を今さら。[;_ _][;^J^])

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*2006年08月17日:惑星増殖


 なんだなんだ。国際天文学連合の総会で、惑星を3つ増やして12個にするという案がでているとな。「セレス」、「カロン」、「2003UB313(いわゆる第10惑星)」。ふぅん。しかし今回採用しようとしている「惑星」の定義が..

 1.天体が自ら球状の形を維持できる重力をもつ

 2.太陽のような恒星を周回している天体で、恒星や、惑星の衛星ではない

 ..ですか。実に「科学的」でないなぁ。まぁ実のところ、これまでずっと、惑星の定義は「科学的でない」どころか「事実上、なかった」のだから、むしろこちらの方が驚くべき事か。[;^J^]

 経緯はよくわからないのだが、そもそも「「冥王星」を「惑星」として確定する」ために捻り出された定義らしい。確かにあの星、はみごだしね。特にご執心なのか米国で、冥王星を発見したのが米国人なので、愛着が強いらしい。まぁその気持ちはよくわかる。

 しかしその巻き添えで、小惑星の眷属からセレスが入ることになった。セレスだけ? それに、カロンは冥王星との二重惑星ですか。「2003UB313」にも、早く名前をつけてやらないと。そもそも「第10惑星」じゃなくなるし [;^J^]。いいのかなぁ、この定義だと、どんどん増えることにならないか? 単純な話、憶えきれなくなるんですが。外側に追加される分には我慢できるが、割り込まれるのはちょっとなぁ。「02年に発見されたクワーオワーや03年発見のセドナはセレスより大きいとみられるが、球状が維持できているかどうかが未確認などの理由で今回は惑星とされなかった」とか言ってるし。

 大体、定義の中に「球状」という言葉が入ること自体、気にいらん。「球」であることが本質なのではなく「十分に大きい重力をもっている」ことの尺度(証拠)に過ぎないとしてもだ。(どうせなら、いろいろな形の「惑星」があるほうが、面白いじゃないか。[;^J^])

 ..ここで、未来から介入する。この日記を書いているのは8月23日なのだが、8月23日現在、事態は一転して、「冥王星は惑星から除外する」方向で話がまとまりつつあるという。(あと1〜2日で決着がつく。)いいのかなぁ、大丈夫かなぁ。ここまでの経緯をまとめて一言で要約すると「アメリカに喧嘩を売っている」ということになるんだけど [;^J^]。あの、世界一我が儘な子どもみたいな国に [;^J^]。(ドキドキワクワク。[;^.^])

 ..で、8月17日に戻って..今日読んだ本。

 「ベータ2のバラッド」(若島正編、未来の文学、国書刊行会)- 「ベータ2のバラッド」(ディレイニー)と「ハートフォード手稿」(リチャード・カウパー)が佳作。前者は若書きなのだが、遭難した(世代宇宙船の)船団の謎を、その船団に歌い伝えられた「バラッド」から解いて行く、という趣向がいい。その「真相」は「謎」や「歌」ほどには美しくもスリリングでもないのだが、別に構わない。「降誕祭前夜」(キース・ロバーツ)と「プリティ・マギー・マネーアイズ」(エリスン)は、まずまずの出来。前者を高く買う人がいることは理解できるが(第二次世界大戦でドイツが勝ったという想定の、歴史改変ものである)、ストーリーそのものがありきたりすぎる。「四色問題」(ベイリー)は、誰が何と言おうとつまらない [;^J^]。私は、こんなもんは認めんぞ。[;^.^]

 「不思議のひと触れ」(Theodore Sturgeon、大森望訳編、奇想コレクション、河出書房新社)- 既読の名作多し。特選が「影よ、影よ、影の国」「タンディの物語」「孤独の円盤」。佳作が「もうひとりのシーリア」「裏庭の神様」「不思議のひと触れ」「雷と薔薇」。他、「高額保険」「ぶわん・ばっ!」「閉所愛好症」を収録。

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*2006年08月18日:奇想コレクションを3冊


 昨日、書き忘れていたネタを書き留めておく。朝日新聞のあまりにも酷い見出し。「通報違法サイト 見破る」..あなた、意味わかる?

 要は、違法サイト/有害サイトを警察や管理者に通報する民間団体が活動を始めて2ヶ月になる、という紹介記事なのだが..「通報違法サイト 見破る」。これは間違いなく、朝日新聞社内で問題になっていると思う。というか、問題にならないようでは話にならん。「違法サイト摘発の試み」とか、いくらでもわかりやすく書けるはずなのに。

 「輝く断片」(Theodore Sturgeon、大森望訳編、奇想コレクション、河出書房新社)- 特選が「君微笑めば」。佳作が「取り替え子」「ルウェリンの犯罪」「輝く断片」。(「マエストロを殺せ」は、以前、別の短編集で既読。佳作だったと記憶するが、読後感があまり良くなかったので今回はパスした。)他、「旅する巌」「ニュースの時間です」など。

 「夜更けのエントロピー」(Dan Simmons、嶋田洋一訳編、奇想コレクション、河出書房新社)- 特選が「最後のクラス写真」。(要するにゾンビに支配された世界に生き残った人間(教師)の物語であるが。)佳作が「黄泉の川が逆流する」「ドラキュラの子供たち」「夜更けのエントロピー」。他、「ベトナムランド優待券」「バンコクに死す」など。

 「ページをめくれば」(Zenna Henderson、安野玲、山田順子訳、奇想コレクション、河出書房新社)- 傑作多数。特選が「忘れられないこと」「光るもの」「いちばん近い学校」「先生、知ってる?」「小委員会」「ページをめくれば」。佳作が、「信じる子」「おいで、ワゴン!」「鏡にて見るごとく−−おぼろげに」。他、「しーっ!」「グランダー」を収録。とにかく彼女の「学校もの」「児童もの」は、絶品である。

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*2006年08月19日:さらに2冊


 「ふたりジャネット」(Terry Bisson、中村融訳編、奇想コレクション、河出書房新社)- 特選が「熊が火を発見する」「アんを押してください」。佳作が「未来からきたふたり組」「英国航行中」「冥界飛行士」。「ふたりジャネット」は趣旨がわからん [;^J^]。現代米国文学の作家がどんどん現れるのはわかるが、なぜ、ジャネットがふたり? 他、「穴のなかの穴」「宇宙のはずれ」「時間どおりに教会へ」を収録。

 「元気なぼくらの元気なおもちゃ」(Will Self、安原和見訳、奇想コレクション、河出書房新社)- 手強い [;^J^]。「リッツ・ホテルよりでっかいクラック」−クラックの層という奇想以外に興趣無し。「虫の園」−佳作。SFMで昔読んだ「別荘が虫の大群に襲われる」というホラーのようになるのかと思ったら、なんとファンタジーに [;^J^]。ブラックなオチは想定内。「ヨーロッパに捧げる物語」−まぁまぁ。しかし医者がドイツ語がわからないというのは不自然な気が。英国ではそうでもないのか。「やっぱりデイヴ」−奇妙な作品であることしかわからない [;^J^]。「愛情と共感」−不気味な設定が素晴らしい。特選。「元気なぼくらの元気なおもちゃ」−まぁまぁ。読みやすいのが取り柄か。「ボルボ760ターボの設計上の欠陥について」−面白くもなんともない。読むのが苦痛。「ザ・ノンス・プライズ」−「リッツ・ホテルよりでっかいクラック」の後日談なので、どんなヒドイどんでん返しがあるのかと読み進めたら、なんと、普通の(ちょっといい)お話であった。どうしてくれる [;^J^]。ただ、刑務所長の最後の一言を素直には受け取らない、という(ひねた)態度で読むと、一気にブラックな物語となる。

 以上で、この夏休みのテーマであった「「未来の文学」と「奇想コレクション」の未読のサルベージ」は終了。

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*2006年08月20日:「バルタン星人はなぜ美しいか」


 10:34のバスで実家を発つ。横浜で栄松堂書店に寄ってから新横浜駅へ。11:45のこだまで浜松へ。自宅には14:05着。

 をを、RD−X5(ハードディスクレコーダー)のHDDの残り時間が16時間になっている [;^.^]。この夏休みのあいだに、60時間近く録画が増えたことになる。どうしよう、どうしよう [/_;][/_;][/_;][/_;][;^.^]。とにかくHDDを空けるために、DVD落としをバンバン行う。晩飯は浜松西インター近くの「とんやん」に行ってみる。長浜ラーメン。結構美味い。

 「バルタン星人はなぜ美しいか」(小林晋一郎、朝日ソノラマ)- 「不滅のヒーローウルトラマン展」で買ってきたもの。2003年の出版である。ウルトラ怪獣のデザインを分析し、その素晴らしさを称揚するという内容で、まぁまぁ面白いのだが、しばしば混入する詠嘆調・美文調に辟易する。材料(内容)不足を糊塗するための水増しに見えるが、単なる書き癖かも知れない。たとえば「奇跡」をこれほど連発されると、鼻白むばかりである。私が書きそうな文体でもあり、反面教師として実に役に立つ。その意味では、読んで損はしなかった。[;^J^]

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Aug 24 2006
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