*2006年06月12日:クルージング考
*2006年06月13日:岩城宏之、逝去
*2006年06月14日:「脳髄工場」
*2006年06月15日:MRI検査
*2006年06月16日:空洞化
*2006年06月17日:仮面考
*2006年06月18日:エレクトロニック・スプラッタ
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*2006年06月12日:クルージング考


 BS−iで放映されている「豪華客船で行く**クルーズシリーズ」のファンである。「南太平洋楽園クルーズ」「シネマクルーズ」と来て、現在は「北欧スローライフクルーズ」と「悠久のアジアクルーズ」が週一で放映されている。(「北欧スローライフクルーズ」は数年前に放映されたものの再放送だが。)これらの他にもう1本「**クルーズ」があったらしいが、それは見逃している。

 世界各地を訪れる「ぱしふぃっくびいなす」という豪華客船の旅のドキュメント。各地の観光案内が主体なのだが、客船内の生活や船内各所の様子、船内での食事やイベントの風景などが魅力的である。私も一生に一度くらいは、こういう豪華客船で数ヶ月をすごしてみたいものだが..

 この番組を観ていてつくづく感じるのは..船客は、ものの見事に年寄りばかりだということである。40代は、まずいない。若くても50代後半から。いや全く、若者は皆無なのである。

 無理もないという気はする。この国にも、数ヶ月の旅に数百万円を投ずることができる若い世代は大勢いるはずだが..彼らは忙しいのだ。可処分所得の多い若い世代は、その可処分所得を得続けるために、可処分時間の大半を使っているのである。海外旅行は何度も(飽きるほど)しているのだろうが..飛行機で飛び回る以外の選択肢はあり得ないのであろう。(貧しいね。)

 かくいう私にも、連続数ヶ月の可処分時間など、リタイアするまではあり得ない。やれやれ..

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*2006年06月13日:岩城宏之、逝去


 死因は心不全。享年73歳は、指揮者としては決して高齢とは言えない。満身創痍の生涯であった。合掌。

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*2006年06月14日:「脳髄工場」


 「脳髄工場」(小林泰三、角川ホラー文庫)- 概して水準以上の作品を収めた短編集。表題作は、まぁ想像通りの進行と想像通りの結末なのだが、固有名詞を使わない漫画的な人物設定が、少し面白い。「C市」は理屈っぽい [;^J^] クトゥルーものの佳作。「影の国」「アルデバランから来た男」「綺麗な子」「タルトはいかが?」も、悪くない。

 しかしながら、特選は「友達」である。これは、私には身に憶えが(ほとんど)ある [;^J^]。ネタバレになるので詳しくは書けないが、妄想ものの傑作である。その他、「停留所まで」「同窓会」「声」「写真」も、軽やかではあるが、小ネタなりの存在価値はある。

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*2006年06月15日:MRI検査


 聖隷三方原病院で、朝9時からMRI検査。MRIどころかCTスキャンすらやったことが無いような気が。(ここ10数年の日記を検索したところでは。)左肩である。肩関節の腱に損傷があるかどうかの検査である。

 閉所恐怖症の人は検査を受けることはできない。私は当然「火の鳥 宇宙編」を想起したわけだが(← 業が深い [;^.^])開始早々腹が冷えてゴロゴロと鳴り始めたのには参った。30分以上かかるし身動きできないし..

 ..ま、無事に [;^J^] 検査は終わった。結果が出るまで数日乃至2週間程度である。(ちなみに、「MRI」と呟いてみて、何故か岸田森とか「恐怖の町」とかを想起してしまうあなたは、こちら側の人間である。歓迎する。)

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*2006年06月16日:空洞化


 早めにリハビリを済ませてから、徒歩で浜松市街中心部へ。昼食は千歳の浪花という昔ながらのラーメン屋で中華そば。シンプルで割といけると思う。別になんの工夫もないのだが。

 何しに出てきたかというと..浜松駅から徒歩10分から15分圏内で、DVD/CDを買える店を探しに来たのである。これまではジョーシンがあったので特に問題は無かったのだが、ジョーシンが撤退してしまったので、心配になってしまったというわけだ。その結果..

 ..惨憺たるものである。なんと、まともにDVD/CDの買い物を楽しめる店が、ほとんど存在しないのだ。クラシックのCDならば..まぁ、ヤマハが一応は使える。しかしポップス系が全然ダメ。改装前は、クラシックもポップスも、もっと充実していたのだが..DVDも(クラシック系が少々ある以外は)全滅だし。

 (事実上の駅ビルである)メイワンの6Fにも、CD/DVDを売っている店はあるが..まぁ、街の小さなレコード屋さん程度のものである。ポップス系のCDはなんとかあるにはあるが、それ以外はアウト。DVDも全然アウト。アクトシティのタワレコはとっくの昔に撤退してしまったし..ザザシティにも有楽街にもないし..唯一生き残っている駅前デパートである遠鉄百貨店の中にもないし..駅南には足を運ばなかったけど..(ネットやガイドブックならばもっと効率よく調べられるのだろうが、足で探したい気分だったのです。)

 なんとまぁ、なんとまぁ。人口は忘れたが浜松といえば大都市である。その駅前でDVDやCDをまともに買えないとは。車で走り回ればそれなりの店はあるのだが、駅前がこれではダメでしょう。それとも、あれか。私は知らなかったが実は浜松ってばサイバーシティであって、とっくの昔に住民はみんなパッケージメディアからは卒業していて、映画も音楽もネットからダウンロードしているってわけかい? いまどきDVDやCDを探してウロウロしているのは私ぐらいのものだってことかい? [;^.^]凸 まぁ、ダウンロード購入とは言わないまでも、パッケージメディアをネットでほいほい買える(クリックしてから早ければ2日後には届く)のは承知しているし私も随時利用している。ぶっちゃけ、街中に出かけるよりも遙かに便利である。でも、みんながそんなことをしてしまっては、街が寂れる一方でしょう。

 いやはや、ジョーシンの穴が、これほど大きいとは思わなかった。実際、私にとって街中にふらりと出かけるモチベーションが、大幅に低下してしまった。谷島屋(書店)、時代舎(古書肆)、トーホーシネマ(映画)、クェストミュージック(楽器)、あとは美術館と図書館と(たまに)アクトホールと(たまに)クリエート浜松(各種展示会)くらいしか目当ての店(施設)がない。(むしろ私の問題だという気が突然してきたが、論点がブレるので無視する。[;^.^])あとは外食系ね。う〜ん..

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*2006年06月17日:仮面考


 心和む、素敵なニュース。(日本経済新聞朝刊より。個人情報は伏せ字とします。)


患者のカード盗んだ疑い

 警視庁東村山署は16日、患者のクレジットカードを盗み、銀行のATMで現金を引き出したとして、接骨院経営、O容疑者を窃盗の疑いで逮捕した。
 同署によると、O容疑者はATMで現金を引き出す際、自らひげを書き込んだ、韓国の人気俳優、ペ・ヨンジュンさんを模したとみられる仮装用マスクをかぶっていたが、防犯カメラに映っていた体格から被害者が同容疑者と見破ったという。O容疑者は容疑を認めているという。

 ..こういうことを、マンガの中ではなくリアルライフでやる人が、本当にいるんだ [;^J^]。いやぁ、いい話を聞かせてもらいました。今日は素敵な一日になりそうだ。[^.^]

 ここには写真を掲載しないが、このマスクの出来がまた凄まじくってさぁ。というか、出来不出来以前の問題として、マスクを被ってATMで現金引き出した時点でアウトだって [;^J^]。それにしても、ペ様(のつもり)のマスクだというのが、なんとも。

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*2006年06月18日:エレクトロニック・スプラッタ


 遠鉄ストアで買ってきた味付け(殻無し)ゆで卵を2ヶ、皿に載せて電子レンジで温めたのである。1分もしないうちに「ポンッ」と景気のいい音がしたのである。

 電子レンジの内側は、なかなかの状態になってしまった [/_;][;^J^]。そうかぁ、ゆで卵って、危険物質だったのかぁ。これまでセブンイレブンで買ってきたおでんを何度も電子レンジで温めていて、そしてその中には常に卵が含まれていたのだが..これまでは運が良かっただけ? 実は危ない橋を渡っていた? それとも、おでんつゆの中に浮いている状態なら破裂しないの? う〜ん、今さら恐くて実験できない。[;^J^]

 それにしても、半べそをかきながら掃除していた私が、レンジ内部の壁面ばかりでなく天井にまで黄身の破片が目玉のごとく貼り付いているのを拭きとりながら鮮明に想起していたのが、「実伝 ヨーハン・ファウスト博士」(松浦純訳、国書刊行会)のクライマックスの情景なのであった..


 …すると夜中の12時と1時のあいだごろ、物凄い大風が吹き付けてきて家をすっから巻き込むと、なにもかも吹き飛ばし、家を木端微塵にしようという勢いで荒れまくる。学生たち、もう駄目だ、と思いそうになって、飛び起きると互いに力づけあいながら部屋を出ないでいる。亭主は家を飛び出して隣へかけこんだ。
 学生たちはファウスト博士のいる部屋の近くに寝ていたのだが、ヒューヒュー、シューシューとすさまじい音がきこえてきた。まるで家じゅう蛇やら蝮やらの恐ろしい這う獣で一杯になったような様子である。そのうちファウスト博士の部屋の扉が開いたと思うと、人殺し、助けてくれ、と叫び声がしだす。ほとんど押し殺したような声だった。まもなく博士の声はもう聞こえなくなる。
 一晩中まんじりともせずにいた学生たち、朝になるとファウスト博士のいた部屋に行ってみた。しかしファウストの姿はもはやなく、部屋じゅう血だらけになっている。壁には脳髄がひっついていた。悪魔に壁から壁へ叩きつけられたのだった。ふたつの目玉と、歯も何本か転がっていた。おぞましくもむごたらしい光景である。学生たちは博士のこんな最期を泣いて嘆きながら、そこらじゅう博士を探した。やっと博士の身体が見つかったのは肥やしのところだった。見るも無惨、頭も手足もガタガタになっていた。

 ..おのれの(歪んだ)教養が、恨めしい..[/_;][/_;][/_;][/_;][;^.^]

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Jun 22 2006
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