*2005年11月21日:偽装事件
*2005年11月22日:泣き落とし
*2005年11月23日:「乱歩地獄」
*2005年11月24日:「北斎展」「フリークス」
*2005年11月25日:遅れの取り戻し方
*2005年11月26日:はやぶさ
*2005年11月27日:ウロボロス
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*2005年11月21日:偽装事件


 建造物強度偽装事件。今日の段階ではどこまで発展するのか判らないが..間違いなく今年の10大事件(のトップクラス)にランクされるであろう。単独犯(?)かどうかはまだ判らないが、「一個人」の力で社会に与えた金銭的ダメージとしては、記録的ではあるまいか。(江戸を火の海に沈めた八百屋お七などの例はあるにしても。)

 「偽装」ではなく「偽造」だが、偽造と言えば思い出すのは、藤村新一氏による前期旧石器偽造(捏造)事件である。あれもまた大事件ではあったが、人命に脅威を与えたわけではないし..教科書をはじめとする多数の書物が書き直しのやむなきに至り、藤村氏による「発見」を「前提」とした数多くの研究成果がチャラになり、町おこしへの貢献が期待されていた施設など(の展示)が撤去に追い込まれたわけで、その文化的・経済的ダメージは甚大なものであったのだが..今回とは比較にならない。

 無理矢理「良かった探し」をするとすれば..「震度5」が来る前に明るみに出たことぐらいか。それにしても、その程度の地震、いつ来てもおかしくはないのである..

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*2005年11月22日:泣き落とし


 毎日毎日、山ほど届くエロスパム。今年の春頃から激増し、その大部分は「出会い系」「逆援助系」である。まぁ私などは嗤って捨てるだけだが、まだ分別がついていない子どもたちの手元にこれらが届くことを想像すると..こわいもの見たさで(目を輝かせて)その怪しいURLをクリックしてしまうこともあろう。返信してしまうこともあろう..

 今日来た奴は、ちょっと毛色が違う。まぁ、あなたがこの日記を読む頃には、あなたの手元にも届いているだろうが..


From: 美雪<*********@hjj.co.jp>
Subject: なんでもするのでご飯おごって下さい--------^( ToT)^

美雪д・)さん(18歳・学生)からメッセージが届いております

少しだけでいいから助けて欲しいです。・゜゜・(>_<;)・゜゜・。超困ってマス( p_q)
エーン
お腹減ったよぉo(;TдT)o
近頃だんだん痩せ細ってきましたo(;TдT)o
生●●●するのでお願いo(;TдT)o
ご飯おごって下さいo(;TдT)oコンビニのおにぎりでもいいですo(;TдT)o

最近アルバイトを辞めてしまい、生活苦に陥ってます。
おにぎり1個でも買ってくれたら●●●します(切実)
お願いだから美雪のこと助けて下さい(>_<)

http://*********.cx/

 (以上、一部伏せ字)..おにぎり1個で●●●1回なら激安だよなぁ..じゃなくって! [;^.^] 「あなたは競り落とされました」とか「あなたはこの女性と●●●していただきます」とか、タカビーな文面ばから送りつけられてくる日々の中で、このなんとも情けない泣き落としメールは、いっそ清新で爽やかなのであった。(← ぉぃ。[;^.^])

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*2005年11月23日:「乱歩地獄」


 シフト勤務の関係で今日から4連休になるので、久々に帰省することにした。

 遅めに出発。9:22のこだま。まず秋葉へ直行する。石丸3号店で本田美奈子. のクラシック系のCDの買い残しを中心に、CDとDVDをしこたま仕入れる。引き続き神保町へ。古瀬戸で一休み。

 渋谷へ。シネセゾン渋谷で「乱歩地獄」を観る。ふぅぅ〜〜む..

 これは「火星の運河」「鏡地獄」「芋虫」「蟲」の4編からなるオムニバス。浅野忠信が狂言回しよろしく、4編全てに登場している。「火星の運河」では、荒野で悶える男。「鏡地獄」と「芋虫」では、明智小五郎。「蟲」では、横恋慕の女優を殺す柾木愛造。で、この映画の評価であるが..良くも悪くもマニアック過ぎる。乱歩ファンのオタク心をくすぐる仕掛け(セリフ)もあるし、4編の接続の仕方も、わかる人にはわかる巧妙さである。しかし、堅気の友人に薦められるかというと..友情を失いそうな気もするし..[;^J^]

 私がもっとも素晴らしいと思ったのは、両端のパート。「火星の運河」の(アイスランドロケだという)幻想的な荒野は一見の価値がある。それと、「蟲」。前半は(必要以上に錯綜させ過ぎていて)退屈なのであるが、後半、女優を殺して彼女の体に防腐処置(の真似事)を施し(化粧ではなく)絵の具を塗りたくり始めるくだりから、一気に眠気がさめた。あなたがこの文章を読む頃には公開は終わっているのではないかと思うが、まぁ機会がありましたら。(私は薦めなかったからね。[;^J^])

 横浜の実家へ。

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*2005年11月24日:「北斎展」「フリークス」


 実家前のバス停から8:51のバス。東京国立美術館で北斎展。

 混んでいる。想定外の混み方である。今日は平日じゃあないかぁ..とブウたれながら客種を眺めてみたら..「モロー展」などとは明らかに年齢層が違う、リタイア期に入った人々が多数派である。平日も休日も関係ありませんね。こりゃまた、失礼いたしました。[;^J^]

 それにしても、チケットをもぎってもらってから最初の版画の前に辿り着くまでに、5分以上かかった。人波がピクリとも動かん。展示されている作品数は300点。所要時間を掛け算してみて軽く貧血を起こしてしまったが [;^.^]、まぁ、その後はそこそこの人混みで、なんとか普通並みの所要時間でクリアできた。

 言うまでもなく展示内容は素晴らしいものだが、図録は感心できない。近年まれに見るほどの出来の悪さである。どんな画家についても言えることであるが、特に北斎の作品においては、細部に神が宿るのである。小さな図録では、その細部が全て潰れてしまっていて、観ることができない。色も悪く、なんだかピンぼけ気味である。本物の代替品どころか、参照用にも記憶の呼び覚まし用にもならない。当然、買わなかった。

 東京駅へ。地下街で回転寿司を食ってから、久しぶりに八重洲ブックセンターへ。フロア構成が少し変更されている。洋書フロアにも行ってみたが..やはり中途半端過ぎて、使えないなぁ。別にここに限ったことではないが..1フロア全体が洋書に埋め尽くされているのを見ると、初めて訪れた人(おのぼりさん)は誰でも感激する。しかし、冷静に考えてみると、1フロアに「全ジャンル」の書籍が集められているのである。つまり、1フロアしかない普通の書店なのであり、町中の書店としてもむしろ小規模な方である。結果、どのジャンルの品揃えも中途半端すぎて使えない、ということになる。

 渋谷へ。ライズXという映画館で「フリークス」のチケットを買う。整理券1番。 おいおい、こんな映画をひとりで観るのは嫌だなぁ [;^J^]。まんだらけで20分ほど時間調整してから、改めてライズXへ。観客は結局5人になった。(キャパは38席。)

 この映画をご存知ない方もいらっしゃるだろうから、簡単な解説を。監督は「魔人ドラキュラ」で名高いトッド・ブラウニング。1932年に公開されるやいなや大スキャンダルを引き起こし、トッド・ブラウニングのキャリアに致命傷を与えた。舞台はサーカス。登場人物たちは「フリークス」。つまり、見世物の奇形人間たちである。それだけなら特に問題とするにはあたらないのだが..監督は、「本物のフリークス」を使ったのである。小人。手足の無い芋虫人間。髭女。上半身だけの半分人間。腕の無い女。ピンヘッド。シャム双生児。これが、社会的な批判を浴びた。

 物語は、メロドラマ的な復讐劇。人の良い小人の財産を狙って(フリークではない)空中ブランコの花形の女性が彼をたぶらかす。彼女は愛人の(やはりフリークではない)力持ちの男と共謀して小人の毒殺を計る。しかしそれがフリークらに発覚し、彼らに復讐される..

 確かに、フリークたちの姿はショッキングである。しかし私は、嫌悪感は感じなかった。なんというか..「美しい映画」だと思った。この映画においては、フリークたちは同情の念を込めて描かれている。彼らは自己の境遇に恨みを抱いているようには見えない。卑下もしていない。むしろ誇り高い、高貴な存在ですらある。1980年に日本でビデオ発売された時のタイトルが「フリークス/神の子ら」だったのも、むべなるかな。

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*2005年11月25日:遅れの取り戻し方


 今月はじめ頃から、更新のペースが狂っている。直接のきっかけは、月初めの「大道芸ワールドカップ」と、本田美奈子. ショックである。(「大道芸ワールドカップ」は、データの整理に時間がかかるのだ。)これで、まるまる1週間、遅れた。

 問題は、そのあとの遅れの取り戻し方である。実は次の週には、2週間分の原稿が用意できていた。つまり、翌週の木曜日に2週間分アップすれば、一気に遅れを取り戻せたのである。こういうキャッチアップの仕方をしたことも、過去に2回ほどある。

 しかし今では、こういうやり方は取らない。それは、過去2回の経験からである。アクセスログの分析の結果、一度にふたつのファイルをアップすると「直近の方のファイルだけしか読まない」人がいることが判ったからである。これは無理もないことだ。「今週号を読もう!(ハートマーク)」とアクセスして来た人が、「そういえば先週号は無かったなぁ」と思い出してくれるとは限らない。新たに2行(2週間)追加されたリンクのうち、「最新版」の方しかクリックしないのである。

 そこで、仮に手元で2週間分遅れを取り戻しているとしても、それを一気にアップせず、次の週の木曜日には、まず1週間ぶんだけアップする。そして次の号をアップするのは(木曜日ではなく)火曜日にする。その次の号は日曜日である。こうして、7日ごとではなく5日ごとにアップすることにより、1ヶ月近くかけて遅れを取り戻すのである。

 要するに、「最新版しか読まない読者がいる」以上、「全てのファイルを、出来るだけ長い日数“最新版”の状態にして晒しておこう」、というわけだ。

 なんとも手間なことをしていると思われるかも知れないが..それは結局、「全部の文章を読んでもらいたい」と思っているからに他ならない。読み落とされたくないのである。せっかくアップされたのに気がつかれずに読み落とされてしまっては、その文章が(ひいては、その文章を書いた私自身が)可哀想ではないか。

 これはまた、私が(意固地に)「ブログ形式」を取らない理由でもある。私はいくつものブログを愛読(定期購読)しているが、多くのブログは、毎日ウォッチしていないと、実に「読み落としやすい」のである。もちろん、読み落としたと気がついたら、どこぞのリンクをクリックすれば遡って読めるのであるが..普通は、そこまで手間をかけない。私自身「この人の書いた文章は全部読みたい」、と思っているブログ以外は、「3日分ぐらい抜けたかな..まぁいいや」、と、スルーしてしまう。ブログというのは、読者が「毎日読みに来る」ことを想定している形式だとしか思えない。そして私には、そういう仮説を立てることはできない。言い換えると..ブログというのは、「毎日読みに来る、コアなファン」とのコミュニケーションの場なのである。私には、そこまで読者層を絞り込む勇気は無い。一週間に一度しかアクセスする暇の無い人にも、私の文章を「もれなく」読んで欲しいのである。

 ちなみに、「一度にふたつのファイルをアップすると直近の方のファイルだけしか読まない人」がどのくらいいるかというと..約15%である。私の、「少しずつ遅れを取り戻す」手法は、この「15%」の読者の救済策..というとおこがましいな、この「15%」の読者に「読んでいただく」ための手間暇なのである。この「15%」という数字が大きいと見るか小さいと見るかは、人さまざまであろう。

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*2005年11月26日:はやぶさ


 横浜駅ビルの書店で帰りの新幹線車中で読む書籍・雑誌を仕入れてから、新横浜からこだまで浜松に直帰。

 はやぶさ、ようやく岩石採取成功。金属弾が発射されたことは確認されているし、発射された以上、岩石片が吸い込まれることは地上実験で確認済みなので、まず確実に採取できたはずだとのことであるが..ちょっと不思議なのは、採取ボックスの内側に、別にテレビカメラでなくてもいいからなんらかのセンサーを設置しておけば、成功したかどうか直接判るのにね、ということだ。まぁ、そんな必要(あるいは、そんな余分の重量を載せる余裕)は無かった、ということなのだろうが。

 それにしても、満身創痍状態なので、無事に帰って来れるかどうか。

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*2005年11月27日:ウロボロス


 「..ていう風に思うのは、私だけ?」、といいながら、小馬鹿にしたように肩をすくめる。私はこれが大っ嫌い。「お前だけじゃっ!」、と突っ込みたくなるし、ほんとーにムカツクのだが..こういう風に思うのは、私だけ?

 (今夜のタイトルの意味が解らない人は、Wikipedia で「ウロボロス」を引くこと。)

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Dec 4 2005
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