*2002年10月07日:勤勉な人々
*2002年10月08日:「土ワイ4」
*2002年10月09日:コミュニケーションについて
*2002年10月10日:戦う歩行者
*2002年10月11日:路上の兇行
*2002年10月12日:「世界幻想文学大系」/「呪いのB級マンガ」
*2002年10月13日:Nさん資料、第18便/手塚治虫漫画劇場/「秘神界」
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*2002年10月07日:勤勉な人々


 大森望のページの更新頻度が、いきなりアップして困惑する。今年の春ぐらいから、月に一度の更新も危うかったのに、最近は週二ペースである。どうしたんだ? 仕事無くなったのか? 暇になったのか?

 ..どうやら、そのとおりらしい。(いや、「仕事を無くした」ではなく「暇になった」方ね。[;^J^])ここ数ヶ月、ろくに更新できていなかったのは、かなりの大部の著作の翻訳にかかっていたからのようだ。それが終わったので、こまめに更新できる..

 ..とまぁ、Webに日記など公開していると、仕事やプライベートのペースがバレバレになりかねないのである。まぁ、作家や翻訳家などは、仕事量のムラが世間に公認されているからいいようなものだが、サラリーマンだとちょっとね。痛くもない腹をさぐられたりしてね。[;^J^]

 それを回避する一番良い方法は、言うまでもなく、仕事やプライベートが忙しかろうが暇だろうが、ポーカーフェイスで一定のペースを維持し続けることである。雨の日も風の日も、何年間も..

 ..手本はもちろん、「廃墟通信」である。

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*2002年10月08日:「土ワイ4」


 なんと! 「ドラゴンHG」(富士見書房)の第6号が既に出ているとの情報が、吾妻ひでお系のMLに! まいったな。心当たりの書店をハシゴして、なんとか確保したが..

 そもそもこの号は、9月中旬に出ているはずであった。しかし書店をパトロールしていても、一向に出る気配がなく、奥付頁には「発売日等は角川書店公式ホームページや「コミックドラゴン」「ドラゴンJr.」「ドラゴンマガジン」「ガンダムエース」などでお知らせしていきますので、云々」、と書かれているので、そこらあたりをチェックをしても発売日はわからず、たまりかねて富士見書房の営業部(販売部だったかな)に電話したら、「6号は、11月までは出る予定が無いですねぇ〜」、という回答だったので、サーチアイテムから外していたのである..ったく、もうっ

 しかしこの雑誌..なんだかなぁ..「スクラップ学園」(吾妻ひでお)が連載されているから買っているけど..何よりも痛いのが、「土ワイ4」(とり・みき x ゆうきまさみ)が、“ものすごく”つまらないことである。

 この合作、徳間書店から出ている「土曜ワイド殺人事件」(少年キャプテンコミックスペシャル)は非常に面白いのに、このシリーズの最新作である「土ワイ4」(前記作品集には3エピソード収録されているので、「4」というわけ)の、この体たらく..まず、絵がおかしい。おそらく、とり・みきの絵なのだろうが..全く味がない、スカスカの描線である。つまらない絵を描く実験? この作者たちが代筆を使うとは思えないのだが..赤の他人の絵だと言われれば、その方がまだ納得できる。

 そしてなによりストーリーが、“絶望的に”つまらない。つまらないストーリーの実験?[;^J^] “支離滅裂”ならまだ救いがあるのだが、“取り留めが無く”締まりがないのだ。もちろん、数コマで完結する細かいギャグを重ねていく手法は、とり・みきの得意技なのだが、これで長編を維持するのは並大抵のことではなく、結局、見事な失敗例としか言い様がない。これが、名作「ラスト・ブックマン」と同じ作者の作品だとはね。

 S堂から通知。「少年」「冒険王」あわせて5冊注文していたのだが、3冊(4万2千円)も当選してしまった。ありがとう、ありがとう。[/_;][;^.^]

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*2002年10月09日:コミュニケーションについて


 今日は終日、「コミュニケーション能力強化研修」。講師の先生の講義(というより、参加者全員予習済みのテキストに基づく質疑応答)が2時間弱あったのちは、全員(20名弱)の実習が夕方まで。あらかじめ「説明」「説得」「スピーチ」などのシチュエーションを選び、自分でテーマと状況を設定して準備しておき、それを披露するのである。ちなみに私が選んだのは「説得」であり、当日(本日)選んだ相手役に、とある製品の購入を“説得”する、というシチュエーションを設定した。

 そもそもなぜ、私はこの研修を受講したのか。私なりに「コミュニケーション能力」には自信がある。伝えるべきことはいつも伝えられているつもりであるし、聞くべきこともいつも聞けているはずだ。ただ、主観的にそう思っているだけなのは確かなので、一度、第三者(プロの講師)にチェックしてもらいたかった。そこで、上記のテーマを準備して参加して、演習を行ったのであるが..

 ..猛省した。[;^.^]

 ..いやはや。自分では「説得」しているつもりなのだが、客観的には、「あー言えばこう言う状態 」なのである [;^.^]。つまり、相手の一言一句に、「全部、切り返してしまう」のだ [;^.^]。で、相手を逃げ場のない袋小路に追い詰めてしまう。こういうのは、「説得」とは言わない。[;^.^]

 なにより参ったのは、事前に準備した自分のメモには、「相手にしゃべらせること」「とにかく、聞くこと」、と、書かれていたこと。つまり、今日、講師と他の参加者に指摘されたことは、全部、自分では解っていたはずのことであるということ。要するに、「頭で」解っていただけであり、実践できていなかったのだ。いやぁ、勉強になりました。m[_ _]m

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*2002年10月10日:戦う歩行者


 読者の皆さんにも、覚えがあることと思う。道行くときに、知りあいの姿に気が付いたが、(少なくとも今は)そいつと顔を合わせたくないな、というシチュエーション。

 例えば、朝。会社の駐車場から工場へ向かう100メートルほどの距離。私の前方を行く、他部署(または自部署)のA氏。今、彼と顔を合わせたくない(挨拶をしたくない)理由は、あるいは、宿酔いの顔を見られたくないからであったり、昨日提出するはずだった彼宛の報告書がまだ書けていないからであったり、単に彼が嫌いだからであったりするわけであるが、とにかく、歩調を緩めて安全な距離を確保し、彼に接近しないよう(気づかれないよう)、心を配るわけだ。ここまでは良い。

 ここで、後方から自部署(または他部署)のB氏が接近してくるとする。今、彼と顔を合わせたくない(挨拶をしたくない)理由は、あるいは、寝不足の顔を見られたくないからであったり、一昨日受け取ったメールの返事をまだ書いていないからであったり、単に彼が嫌いだからであったりするわけであるが、とにかく、歩調を早めて安全な距離を確保し、彼に接近しないよう(気づかれないよう)心を配るわけだ。

 さて、この状況で、A氏の歩行速度がB氏の歩行速度よりも速ければ、問題はない。あなたはA氏よりは遅い程度の快速でB氏との距離を広げてゆくことができる。問題は、逆に、A氏の歩行速度よりもB氏の歩行速度の方が速い場合であり、経験的には、この状況の方が、確率的に多い。

 この場合、あなたは前後を同時にモニターし、A氏の歩行速度とB氏の歩行速度を内分して、両者に接近することは回避できないにしても、どちらにも近づき過ぎない程度の距離を(極力長時間)維持し続けられるよう、歩行速度を絶妙に決定し、かつ、それを(前後の距離の測定結果をフィードバックしつつ)絶えずメンテナンスし続ける、という、高度な技術を駆使しなければならない。しかも、最終的にどちらかと接触するという“破局”が免れ得ないのであれば、(これは、A氏、B氏、及びあなたのデスティネーションが異なる場合、(ある地点で別の方向に向かう場合、)回避できることがあるのだが、)どちらと接触する方が、より「マシ」であるか、あるいは、その接触時に急速に追い越すなどの戦術で、被害を最小限に食い止められないか、等など、非常に多くのことを考え続ける必要がある..

 ..つまり、朝っぱらから寝惚けている場合ではないのだ。仮に十分起きていなかったとしても、上記の知能ゲームで、頭はフル回転し始める。かくして、頭脳労働者の密度の濃い一日が始まるのである..(なんの話だったっけ? [;^J^])

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*2002年10月11日:路上の兇行


 これだけはやめて欲しい、という行為は、誰にとってもいくらでもあるであろう。私にとっては、「タバコの投げ捨て」である。

 身に染みついた習慣なんだろうなぁ..非常に尊敬できる人であっても、いきなり目の前で、(ごく自然に)タバコを道端に投げ捨てることがあるのだ。その場で(「いけませんよ」、と)注意できることもあるが、「虚を突かれて」指摘するタイミングを逸してしまうことの方が多い..

 ..しかしこれは、まだ許せる..わけではないが、救いがある状況なのだ。上記のように、「注意する」ことは論理的には可能なのであって、つまり、多くの場合、全く悪気が無く、その行為の反社会性に気が付いてもいない彼(あるいは彼女)を「教導」するチャンスがある。また、ほとんどの場合、彼(あるいは彼女)はタバコを踏み消すので、まだしもである。

 我慢ならないのは、「自動車の窓からのタバコの投げ捨て」なのである!..こうして書いていても、頭に血が上るが..まず、彼(あるいは彼女)に注意することが出来ない、ということもあるが..なによりも、100%、そのタバコは、「火が消されていない」のである!

 目の前でこれをやられた時の私こそ、最悪の危険運転者である。本気で頭に血が上り、

 ぶつけてやる! この車、壊してやる! むち打ち症にしてやる!!

 ..まぁ、0.1秒で気が静まるので、アクセルを踏み込み暇も無いんだけどね..これはこれで私の精神修養の問題なので、おいておくとして。

 一体全体、どうしてこんなこと(自動車の窓からのタバコの投げ捨て)が出来るんだろう? 火を消さずにタバコを投げ捨てるなんて..本当に理解できない。それが路上の風に煽られて歩道に飛び、歩行者を傷つける可能性を想像できないのだろうか? 路上に溢れているゴミに引火する可能性を想像できないのだろうか? もしも「想像力が無い」のならば..彼(あるいは彼女)は、「人間」と言えるのだろうか?

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*2002年10月12日:「世界幻想文学大系」/「呪いのB級マンガ」


 Nさんから、手塚治虫関連資料の第18便が届く。整理は明日に回す。

 某古書店の目録に、「世界幻想文学大系」(国書刊行会、全45巻55冊)が、9万円で出ていた。15分ほど悩んだが、見送る。未読のものも多いし、書架に蔵書しておくに相応しい風格を持つ全集でもあるので、価格的にはさほど廉くないにしても心を惹かれたのだが..「置く場所が無い」のが決定打になった。トホホ。(いや、この55冊だけなら、なんとでもなるのであるが..これを買うのなら他にも同等の(あるいはより高い)プライオリティで購入しなければならない書籍が多数あり、それらを合計すると、とてもとても、つらいのである..)ま、車で10分の距離の中央図書館の開架には揃っているので、(蔵書する充実感は得られないにせよ)いつでも読める、ということもある。

 アマノでコミックを2冊。そのうちの1冊、「呪いのB級マンガ」(唐沢俊一&ソルボンヌK子、講談社)に、軽く目を通す。

 好美のぼるの作品集である。5本収録。ま、読んでみたいと思ってはいても、大枚払って買い集めるほどのマンガでもないので [;^J^]、こういうアンソロジーは、結構助かる。唐沢俊一の「ドグマ」は鼻につくが、そこらへんは軽く読み飛ばせばいい。

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*2002年10月13日:Nさん資料、第18便/手塚治虫漫画劇場/「秘神界」


 Nさんからの手塚治虫関連資料の、第18便を整理する。今回は、主として「冒険狂時代」である。各章の初出号が“ほとんど”確定できたので、感激する。あともう少し。

 クリーニング出し。ジョーシンにアンプを持ち込んで修理出し。同じくジョーシンのソフト売場へ。「ゴーメンガースト」のDVDの在庫が無かったので、発注する。「ロード・オブ・ザ・リング」のDVDは、さんざん迷った末、12/4に出るスベシャル版を買うことにする。

 昨日アマノで買ったコミック2冊のうち、もう1冊、「華麗なるロック・ホーム」 (手塚治虫漫画劇場、河出文庫)に目を通す。同シリーズでは、既に「ヒゲオヤジの冒険」が出ている。さらに「アセチレン・ランプ」の巻が予定されている。

 手塚治虫ファンには、説明する必要もあるまい。手塚治虫のスター・システムにフォーカスして、各「俳優」別に編まれたアンソロジーなのである。これは近年、出色の企画である。ファンは必読。ファンでなくとも必読。

 「秘神界 −歴史編−」「秘神界 −現代編−」(朝松健編、創元推理文庫)を読了。(さすがに一日では無理で、数日前から読んでいましたが。)クトゥルー神話の書き下ろしアンソロジーで、評論やイラストも含んでいるのが、売り。漫画が収録されていないのが残念であるが、クトゥルー神話絡みの漫画に関する評論(「ラヴクラフトの居る風景」(米沢嘉博))は含まれている。

 内容は(もちろん)玉石混淆であるが、「歴史編」では「苦思楽西遊傳」(立原透耶)、「五瓶劇場 劇場国邪神封陣」(芦辺拓)、「蛇蜜」(松殿理央)、「聖ジェームズ病院」(朝松健)。「現代編」では、「夢見る神の都」(妹尾ゆふ子)、「土神の贄」(村田基)、「或る彼岸の接近」(平山夢明)、「C市」(小林泰三)が良い。逆に、全く採れないのは、荒俣宏の「道」(「現代編」所収)である。私が編者なら没にするんだが、どこが面白いのかね、これ。

 書店で「歴史編」を手にとった時のことだが、最後の方をパラパラめくったら、作品リストらしきものが掲載されている。これで直ちに想起したのが、久留氏のページ(「TomePage」)のことである。氏はここに、クトゥルー神話関連書籍の浩瀚なリストを公開している。当然、この「秘神界」も掲載されるはずなので、この「秘神界」に「作品リスト」が掲載されているとすると、リストのリストになるよなぁ..と興じつつ目次をみてみたら..収録されているリストは、久留氏のリストでした。

 ..ホレホレ、再帰。[;^.^]

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Oct 16 2002 
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