*2000年05月01日:大宅壮一文庫調査
*2000年05月02日:国会図書館/大久保/高田馬場
*2000年05月03日:“今なら間に合う”
*2000年05月04日:実は“彼”と同い年
*2000年05月05日:いつもポケットに廃墟
*2000年05月06日:袋とじ
*2000年05月07日:ラブレター
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*2000年05月01日:大宅壮一文庫調査


 8:11のバスで(帰省中の横浜の)実家を発ち、八幡山の大宅壮一文庫に着いたのが、10時少し過ぎ。この図書館を来訪するのは、初めてである。

 (会員では無い)一般入館者の場合、1日に閲覧できるのは50冊まで。会員になればもっと沢山閲覧出来るのだが、国会図書館で調査しきれない分を補うのみ、という利用方針であり、現在予定している総調査件数は、手塚治虫関係と吾妻ひでお関係を合計しても、約100冊、つまり2日工程。これは必ずや増加することになるが、200冊を越えることになるとは(現時点では)考えにくい。これならば、会員になる必要はあるまい。(詳しい(正確な)利用方法などは、公式ページを参照のこと。)

 あらかじめFAXで所蔵を確認しておいた雑誌を、計50冊閲覧。ほぼ全て手塚治虫関係だが、吾妻ひでお調査分も少々。

 「リボンの騎士(少女クラブ版)」「上を下へのジレッタ」「ごめんねママ」の、初出誌未見で初出データが曖昧なまま残されていた箇所を確定できたのが、大きな収穫。この他、「大日本帝国アメリカ県」「パントマイムにこった男」など、タイトルだけは把握していたものの、従来現物に当たれなかった作品を、いくつか読むことが出来たが、コピーを取るほどのものではなかった [;^J^]。さすがは、全集(単行本)未収録作品である [;^.^]。

 大宅壮一文庫から八幡山駅へ帰る道すがら、通りに面している「芸能資料館」を発見。(朝は閉まっていたためか、気が付かなかった。)たいそうな名称だが、要するに、軟派系(アイドル系)の雑誌を主体とする古本屋である。ポスター、テレカ、各種グッズなども、豊富に取り扱っている。漫画雑誌のバックナンバーも、それなりにある。(「アイドル系」にフォーカスしているため、1980年代以降が中心だが。)誌名順、発行日順に、きちんとソートされているので、検索しやすくてよろしい。

 同じ通りに、マンガ専門の古本屋がもう一軒あったが、これは閉まっていたので、実力は不明。

 現代マンガ図書館と、神保町の、一昨日は閉まっていた店をチェックしてから、実家に帰宅。

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*2000年05月02日:国会図書館/大久保/高田馬場


 7:32のバスで、今日は国会図書館。手塚治虫の、エッセイ、座談会、グラビアなどのチェック。

 前回の調査で問題になった、


七転八起(9)七ジレンマ八つ当り 転向を繰り返しながら三十六年(広告)::2:文藝春秋:82/01:0


転向マンガ家(エッセイ)::2:週刊朝日:81/01/01・08:別巻7 389

が、“ほぼ”同じ内容である件の再調査。照合したところ、「文藝春秋:82/01」の文章と「別巻7 389」の文章は、“ほぼ”どころか“全く”同一であり、かつ、「週刊朝日:81/01/01・08」という号は、“存在しない”ことが判明した。せいぜい近い「81/01/02・09」号にも、この文章(広告)は掲載されていない。理由は不明だが、全集の初出情報が、根本的に間違っている、と結論づけて、この件のチェックは完了。

 閉館後は、まず大久保。新宿古書センターで、銀背など。次に高田馬場。BOOK OFF、芳林堂書店、新宿書店など回ったが、収穫無し。

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*2000年05月03日:“今なら間に合う”


 揃いも揃って、17歳である。

 「殺人を体験してみたかった」、には、さすがに驚いた。「先のある若い人を殺してはいけない」、という“冷静な”判断がおぞましい。当然、死刑になることはない、という計算をしている。死刑どころか、(模範囚として勤め上げることは間違い無いので、)確実に30歳前に出られることを知っている。つまり、「人生のスパイスとしての殺人体験」が、成立してしまうのだ。なんとかならんか。

 次。これは今日の事件では無いが、朝日新聞に詳報(続報)が載ったのが、今日であった。新生児を捨てた17歳の少年と15歳の少女..

 ..少女は育てたいと言うが、少年は金が無いと言う。少年は施設に預けようと言うが、少女は親には知られたくないと言う。つまり、どちらにも殺意は無かったのである..なのに、何故殺してしまったのか..

 夜のニュース。西鉄の高速バス乗っ取り事件。これも17歳。既にひとり殺している。(久しぶりに東名バスで帰省した私としては、全く、人ごとでは無いよ。)この考え無しの犯人も、いつかは眠らなきゃならんのだから、数日以内に確実に解決するとはいえ..それまでに死傷者が増えなければいいが..

 少年法を改正しろ、と、直ちに主張するつもりは無いが..しかし、「自分は“少年法”に守られている」、という知識(認識)をもって、少年が犯罪を犯した場合、その犯人は「守られるべき対象」であると言えるのか? 「今のうちなら、殺しても大丈夫!」、という保証を、与えてしまっているだけなのではないか?

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*2000年05月04日:実は“彼”と同い年


 起床後、ただちにテレビのニュース。早朝5時3分に、突入して解決した由。徹夜で中継が続いていたらしいが、最後まで観ている根性は無かった..

 ..という状況で想い出すのは、もちろん、とり・みきである。

 「愛のさかあがり」(ちくま文庫など)所収の「狂乱のテレビ三昧の日々」。「RARE MASTERS」(河出書房新社)所収の「それからの愛のさかあがり・VOL.2(エアチェック篇)」、「或るビデオマニアの悲劇」。

 要約などしない。いや、出来ない。特に、「それからの愛のさかあがり・VOL.2(エアチェック篇)」には、一言一句の無駄も無く、ただヒトコマの冗長性も無いのだ。必読である。涙なくしては読めない、エッセイ漫画の感動的な傑作なのである。もしもあなたが未読であれば、なんとしてでも読んで欲しい。

 「マニア」といい、「オタク」という。その美学と本質と喜びと哀しみを、これほどまでに見事に描き出した作品を、私は知らない。あるいはご存知かも知れないが、私はテレビを所有しておらず、従って、とり・みきと同じ種類の行為をしているわけではないのだが、しかし確かに、彼と同じ“世界”に生きているのである..

 中田喜直、逝去。名曲を数えだしたらきりが無いが、やはり私的には「雪の降る町を」である。あの、まさに“遠い国から”降りてきたかのごとき、夢のような転調の美しさ!

 聖レイの「花芯コレクター」を、ネットで発見。即、発注。

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*2000年05月05日:いつもポケットに廃墟


 十数年来、手帳は「能率手帳」と決めている。

 これのアドレスブックは差し替え式で、年度が改まる度に書き写す必要が無い。おかげで、現在、私のポケットに入っている、2000年度版の能率手帳に差し挟まれているアドレスブックは、(コンテンツから推測するに)恐らく15年以上も使い込んでいるものである。

 従って、全体としては真新しい(2000年度版の)手帳の中で、この箇所だけが、ぼろぼろに変色し、朽ち果てているのである。

 新しいアドレスブックに書き写すなり、PDAに全面的に移行するなり、すればいいのに..と、思いますか? 冗談じゃない、そんな勿体ないことが出来るものか。

 これは確かに、時間の澱。時の経過、そのものなのだから..

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*2000年05月06日:袋とじ


 GW(ゲートウェイと読む人は、お友達)最後の国会図書館詣で。手塚治虫に関しては、エッセイ等の地道な調査。

 吾妻ひでお関連で、ぶんか社の「みこすり半劇場」の調査(絨毯爆撃)を開始する。最新の単行本「エイリアン永理」に収録された「ナルキッソス」という短編の初出誌なのだが、私はこの作品が同誌に掲載されたのを、知らなかったからである。つまり、他にも、何か掲載されている可能性が、ゼロでは無いのだ。

 困ったのは、袋とじ企画である。この雑誌ではむしろ珍しいのだが、たまに袋とじの(写真)ページがあり、例外なしに切り開かれていない。見るに見れないのだ。

 無論、切り開けばいいのだが..国会図書館において、紙を切り裂く音は、ほとんど犯罪の音である。周囲の利用者から怪訝な視線を浴びせられたとき、切り取りじゃありませんよ、ほら、ここを切り開いたんですよ、と、見せればすむ話なのだが..相手が妙齢の女性である場合、そうもいかない。国会図書館の担当者には、あらかじめ切り開いておく、という気配りが欲しいものである。

 閉館後、久しぶりに三軒茶屋に寄ってみたが..「3軒茶屋の2階のマンガ屋」は改装中で、そうでなくても狭い店舗面積が、1/3。2号店も閉まっている(というか、2号店のコンテンツをマージしている最中らしい)。ここ一週間くらいは、行っても無駄足だよ(..って、これをあなたが読んでいる頃には、さすがに作業は終わっているか。[;^J^])

 さらに2〜3軒片づけてから、渋谷まんだらけ。最後に自由が丘に寄って、2〜3軒チェックしてから実家に帰宅。

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*2000年05月07日:ラブレター


 連休前の心づもりでは、今日は現代マンガ図書館に寄ってから、浜松には夜遅くに帰るつもりだったのだが..予定はキャンセル。新横浜から午前中のこだまに乗って、昼過ぎには浜松着。さっさと帰宅してさっさと休出。そう、ILOVEYOU 対策である。

 昨夜、社内の(ネットワーク関連)担当部署から、注意を喚起するメールが届いたのだ。月曜日の朝いちでチェックすればいいことだとは思うが、GW中に出勤し続けていた連中もいるし、念のため、今日中にワクチンの用意(と、正確な状況の把握)を済ませておく方がいい。

 取りあえず、目の届く範囲内では、感染被害の形跡無し。シマンテックのページなどで、情報の収集を進めるが..

 ..なんか、このウィルス(ワーム)、全然、面白みが無いんですが。

 感染力が非常に強いというから、どれほど高度な技術が使われているのか、と、(語弊を恐れずに言えば)ワクワクしていたのだが..実に平凡である。とにかく、vbsスクリプトを実行しない限り、何事も起こらないのである。

 そもそもWin95/98にはセキュリティなんか無いんだから、ユーザーにvbsスクリプトでもexeでも何でもいいが、とにかく実行させてしまえば、どんなことでも可能なのである。実につまらん。そんなもの(アホなユーザーのアホな行為)に頼っているようでは..

 そして、どんなことでも可能である以上、ハードディスクの全消去ぐらいはやっても当たり前なのだが、それでは話が先に進まない(つまりウィルスにならない)ので、他のPCに感染しなくてはならない。どう考えても、メールを飛ばすのが、一番簡単である。すでにvbsが実行されているのだから、全知全能、なんでも出来る。Outlookのアドレスブックから、送付先を抽出したようだが、(あと、IRCも、)「たったそれだけで満足したの!?」、と、仰天するほどのつつましさ。

 結局、これだけのことだったのだ。jpegファイル等の破壊も行うらしいが、これなどは本当に“行きがけの駄賃”であって、全く本質的ではない。

 なのに、これほどの被害の広がり..要するに、「ILOVEYOU」という、Subject の勝利か。「私からのラブレターを読んでね!」というメールが来たら、「えぇ〜、誰だろう? この前の合コンの時の娘かな、行きつけの店のあの娘かな、でへへへへ」、と、やにさがってvbsファイルを開く馬鹿者が、いかに多いかということか。

 “人間の愚かしさ”という観点から見ると、まことに嘆かわしい事態だが..“人間のスケベさ”という視点から見れば..そう悪い話でもないかな、と思う。

 「見知らぬ人からのラブレターを読んではいけない」、というのは、所詮は“正しい世知”に過ぎぬ。「見知らぬ人からのラブレターを、嬉々として開封してしまう」方が、人間として、遙かに自然で健全な行為ではあるまいか。

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: May 10 2000 
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