*2000年03月27日:地道な調査/聖レイ3冊ゲット
*2000年03月28日:「世界怪奇実話」
*2000年03月29日:大阪にて
*2000年03月30日:S&Mスナイパー/綺譚
*2000年03月31日:金で時間を買った奴
*2000年04月01日:「ブラックコミックリスト」発見
*2000年04月02日:「ユートピア共同体への夢 山岳都市」
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*2000年03月27日:地道な調査/聖レイ3冊ゲット


 もちろん、今日は休暇を取得済み。ときわホテルを7時半過ぎに発って、日暮里駅前のいつもの喫茶店、ニュートーキョーでモーニング。(備忘:営業時間が変更されていて、平日は7時、土日は8時オープン。夏オフの2日目(日曜日)に使うときは、要注意。)

 ニュートーキョーを8時10分に発って、東京駅・銀の鈴待合所のコインロッカーにシンセを預け、国会図書館に着いたのが8時50分。9時開館なのだから、ニュートーキョーは8時20分に発てば良い、ということが、これで判った。平日のこの時刻の日暮里 → 東京 → 有楽町は、ピークは過ぎているにせよ、一応ラッシュである。シンセとリュックでお邪魔しました > 出勤中の皆様。m[_ _]m

 国会図書館は、平日だからか、さすがにすいている。いつもの5割り増し位のペースで資料を借りだし、「週刊サンケイ」「中央公論」「朝日ジャーナル」などの一般誌に掲載された、手塚治虫のエッセイ、グラビア、広告などの、地味なチェックを行う。「手塚治虫全史」のリストの誤りも、(今日も)ひとつ発見。


七転八起(9)七ジレンマ八つ当り 転向を繰り返しながら三十六年(広告)::2:文藝春秋:82/01:0

に、デジャブ。これを読むのは初めての筈だが、「ただひとつだけ捨てられない主義は..戦争はごめんだということ。これだけは殺されても翻せない」という文意には、確実に見覚えがある。(帰宅してから調べたところ、これは、


転向マンガ家(エッセイ)::2:週刊朝日:81/01/01・08:別巻7 389

と、ほぼ同じ内容であることが判った。次回上京時に、再度、両方の文献を借り出して照合する必要がある。)

 渋谷まんだらけから神保町の心当たりの漫画系古書店をハシゴして、最後の店で、ついに(ようやく)聖レイを3冊、「ドキドキ過激ギャル」「姦撮フォーカス」「バ−ジン・コレクション」をゲットした。彼の単行本を古書店で見つけたのは、初めてである。これで、EasySeek に登録して反応があった3冊(発注済みだが未納本)と合わせて、9冊確保したことになる。(いつしかコンプリートを目指し始めていることに、あなたはお気づきでしたか? [;^J^])

 神保町の交差点付近の宝くじ売場の掲示。「本日大安」。あのな。

 誰にとっても、今日は大安じゃ。それとも、「みんなで幸せになろうよ」とでも? 宝くじの賞金の原資は、外れ籤を引いた間抜けの財布。売場に並ぶ者同士、全員、お互いに敵なのである。

 7時過ぎのこだまで浜松へ。

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*2000年03月28日:「世界怪奇実話」


 牧逸馬の「浴槽の花嫁 世界怪奇実話 I」(現代教養文庫、社会思想社)読了。先週末の上京時、道中の無聊を慰めるために、積読の山から1冊、暇つぶしのつもりで引っぱり出して、リュックに放り込んでおいたもので、結局、東京にいる間は読んでいる暇がほとんど無く、昨夜の帰りの新幹線車中から読み始めたのだが..

 あまりの面白さに、飛び上がってしまった。昭和4年から8年にかけて「中央公論」に連載されたものだが、全く古びていない。いわゆるノンフィクション(実録物)で、「怪奇」とは言っても「怪談」の類ではなく、(船上からの不可解な人間消失など、超自然に傾いたエピソードも、若干含まれてはいるものの、)ほとんどは、生身の人間による犯罪の記録なのだが、例えば、この巻の劈頭を飾る「ジャック・ザ・リッパー」のエピソードにしても、私は既に良く知っているのにも関わらず、まるで初めて読むかのように、手に汗を握って、ワクワクしてしまった。素晴らしい筆の冴えである。

 松本清張の解説によると、それまでの「犯罪実話」の低俗なレベルを、いっぺんに引き上げたという。むべなるかな。「中央公論」という雑誌と(インテリ)読者層のレベルを、意識しているということもある。例えば、原資料から引用する際に、しばしば和訳していないのである。原文で読めて当たり前、というわけだ。

 文庫本で全4巻。あと3冊も読めるのである [^J^]。

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*2000年03月29日:大阪にて


 大阪出張。仕事の内容は、もちろん秘密だ。

 任務を終えてから、まんだらけ大阪店へ。ここに来るのは初めてだが、しかし阪急東通り商店街というのは、なんとも、けたたましい街並みではある [;^J^]。

 聖レイは見当たらない。収穫は、「漫画の手帖」のバックナンバー若干、水木しげるを1冊、それと、「綺譚」第5号。

 すぐ近くのS古書店も漁る。ここでも聖レイは見つからなかったのだが、この店はエロ本(エロ雑誌)の蔵書が充実しており、「S&Mスナイパー」誌の探求バックナンバー(89年と90年のもの)、計3冊、全てを確保。これで、高橋葉介の作品が掲載されている「S&Mスナイパー」誌は、全て押さえたはず。この大阪入りは、まずは成功だったと言えよう。(..ったく、何しに大阪まで行ったんだか。(し、仕事ですよ、もちろん。[;^.^]))19時過ぎ新大阪発のこだまで浜松へ。

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*2000年03月30日:S&Mスナイパー/綺譚


 昨日購入した「S&Mスナイパー」誌をチェック。89年8月号には、高橋葉介の「イケニエ」は掲載されていない。やられた。

 収録単行本(「怪談」)に記載されている初出誌情報の誤植である。さて..何年何月号に収録されているんでしょうかね? [;^J^] 収録されていそうな年月のS&Mスナイパー誌を、絨毯爆撃で購入してもいいのだが..(この時期の同誌は、国会図書館には収蔵されていないのである。)

 昨日購入した「綺譚」第5号をチェック。「吾妻ひでお 著作リスト」のバグを発見。やられた。

 問題は、新井素子の、「いつでもどこでもすぐ折れる楽な千羽鶴製作法」という「連載」なのである。この「連載」は、第1回が「綺譚」第5号(1983/06/20)に掲載されたものの、この雑誌の次の号は少なくとも86年4月までは出ず、結局残りは、『新・ひでおと素子の愛の交換日記』(角川書店、1986/07/10)で書き下ろされた。(その後、「綺譚」第6号が出たかどうかは知らないし、ここでは問題にしない。)

 『新・ひでおと素子の愛の交換日記』に収録された「いつでもどこでもすぐ折れる楽な千羽鶴製作法」には、吾妻ひでおのイラストが、3点添えられた。(『ひでおと素子の愛の交換日記 4』(角川文庫、1988/06/25)に再録された際に、1点追加。)このうち2点は、『新・ひでおと素子の愛の交換日記』で新井素子が書き下ろした内容に対応するイラストなので、本書で描き下ろされたものであると、問題なく決定できる。では、特にどこにも(「綺譚」掲載分にも『新・ひでおと素子の愛の交換日記』書き下ろし分にも)対応していない残り1点が、「綺譚」に掲載されたものであるか、『新・ひでおと素子の愛の交換日記』で描き下ろされたものであるか。

 「綺譚」に掲載されたものである、と、これもやはり“問題なく”決定して、「吾妻ひでお 著作リスト」の「注釈」にも、そのように記述していた。それは、「いつでもどこでもすぐ折れる楽な千羽鶴製作法」の本文中で、(「綺譚」で)「絵を描いてくださったのは吾妻さん」、と、新井素子が明記していたからである。

 これが、罠だったのだ。ここで新井素子が言っている、吾妻ひでおさんが「描いてくださった」絵、というのは、「いつでもどこでもすぐ折れる楽な千羽鶴製作法」の次のページに掲載された、「新井素子官能写真集」のことであり、これは吾妻ひでおの“別の作品”として、リストアップ済みのものであったのだ。つまり、吾妻ひでおによる「いつでもどこでもすぐ折れる楽な千羽鶴製作法」のイラストは、『新・ひでおと素子の愛の交換日記』における3点の描き下ろしと、『ひでおと素子の愛の交換日記 4』におけるさらに1点の描き下ろし。これが真相であった..

 ..あなたの呆れ顔が、ありありと目に浮かんで、邪魔で仕方が無いが [;^J^]、作品リストの品質(信頼性)というのは、こういうトリヴィアリズム(些末主義)の、幾百、幾千もの積み重ね以外の、何物でもないのである..

 ..別に、「作品リスト」に限った話でもあるまい。

 (それにしても、この「綺譚」第5号の執筆陣は、豪華である。井崎脩五郎、関三喜夫、中島梓、栗本薫、新井素子、吾妻ひでお、萩尾なおみ、あがた森魚、ひさうちみちお、村松友視、宮本和夫、牧村光夫、しいねかず、浅倉久志、小峯隆生、斯波司、柿沼映子、麻柴明貴、岡田英明、鏡明、植松黎、橋本治、山尾悠子、いしかわじゅん、さべあのま、高野文子、竹宮恵子、藤原月彦、戸川安宣、伊藤典夫、高千穂遙、鈴木勝雄、橋本真人、川上宗薫、関川夏央、竹本健治。イラストは、宮崎駿、高野文子、久住昌之、江口寿史。)

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*2000年03月31日:金で時間を買った奴


 「ディーラー車検」が終わった。今回こそは「ユーザー車検」をしようと思っていたのだが、結局、時間(と手間)が惜しくなって、札びらをディーラーに切ることになってしまった。まったくもって、いいカモお客様である。

 2年後こそは、ユーザー車検。(前回と同じ決意。)

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*2000年04月01日:「ブラックコミックリスト」発見


 EasySeek に登録していて見つかった(某書店からのオファーがあった)、聖レイの「愛・ラブ・遊戯」が届く。これで7冊目。

 別に、内容については、書くほどのものでは無いのだ。ただのエロ劇画(「キャピキャピ美少女劇画」)である。買い集めているのは、その絵柄が“妙に”琴線に触れているからに過ぎない。

 笑えるのは、男性キャラのバリエーションが、たかだか一桁しかないことで、どの作品にも、同じ顔ばかり出てくる。(これをスターシステムという(← 違う)。)まぁ、女性キャラについても、似たようなものなのだが。

 もうひとつ笑えるのは、原稿の露骨な使い回しが頻繁にあることで、数コマどころか数ページに渡って、別の作品の原稿が、そっくりそのまま挿入されて、セリフだけ変更されていたりする。(これをバンクシステムという(← 違う)。)

 まさに、描き捨て&読み捨て文化である。私は、素直に感心してしまった。逆説的だが、これは保存するに値する。

 かつて使っていたPC(J3100SXP、T2150、リブ30など、東芝機ばかりであるが)のバックアップデータが、古い機種については、全てMO(128M)に取られていたのだが、私は今はMOドライブを所有しておらず、これらを参照するのに不便であったので、一時的に某所からMOドライブを借りて、これらを読み出し、DVD−RAMとCD−Rにまとめた。これで、古いデータをいつでも読み出せる。

 これによって、「ブラックコミックリスト」を発掘することが出来た。S氏が編集し、fjに発表していた、エロマンガに関する膨大なデータベースである。1993年のタイムスタンプであった。

 しかし残念ながら、聖レイの作品リストは含まれていなかった。というか、彼はこのリストの対象外だったのである。「美少女漫画誌で活躍したことがある」、というのが、収録基準であったのだ。まぁ、仕方がない。聖レイの件はともかくとしても、「ブラックコミックリスト」は、実に貴重で有用なデータベースなのである。(よくもまぁ、これだけのものをまとめ上げたものだ。)

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*2000年04月02日:「ユートピア共同体への夢 山岳都市」


 先日、少しだけ触れたが、美術雑誌「みづゑ」のバックナンバーを探していた件について。

 1975年1月号から10月号にかけて(途中1回、休載があったので)計9回連載された、「ユートピア共同体への夢 山岳都市」(文:板東通世 写真と写真解説:中村保)という連載を、集めていたのである。1975年2月号に掲載された第2回を除き、全て入手した。

 古い(比較的小規模な)都市を取りあげて、その(美麗な)写真と見取り図(地図)を多数掲載し、来歴を語りつつ、都市論を繰り広げる..別に、珍しくもない企画と思われるであろう。

 この連載の特徴的なことは、取りあげる都市が、「中世イタリアの山岳都市」に限定されており、中世都市に存在する特異な空間構成に焦点を絞っていることである。それらの都市の歴史は、しばしば、ローマ・エトルリア時代にまで遡る。それも、それらの時代(古代)から綿々と続いているのではなく、何度も滅亡を繰り返した廃墟(あるいは埋没した地層)の上に、建設され..そして今ではやはり、廃墟化しつつあるとは言わぬまでも、往年の栄光を失い、落日に照らされて..そして中には、廃墟に帰った都市もあるのだ..

 いくつか、例をあげよう。

 「カルカータ」。半島状に渓谷に突出した台地の上に密集した集落は、かつて、その渓谷に水が満ちていた時代には、難攻不落の水城だったのだろう。今では、枯れ果て、荒廃した山岳風景の中に、浮かび上がっている。

 「ポリ」。やはり、かつては2本の川にはさまれていた中州に築かれていたのであろう要塞は、今では“うち上げられた船”のごとくある。

 「サンマルチーノ・アル・チミーノ」。古い文献にしばしば見られる、完璧に人工的・幾何学的な、中世精神の夢見た「理想都市」。その造型が、地球上に現存していた、という驚き。

 「カプラローラ」。ヘリから撮影した、この都市の俯瞰写真は、一目見たら忘れられない..どころか、繰り返し悪夢に現れてくる類のものである。それほどまでに異様(異常)なのだ。

 私が直ちに連想したのは、たかもちげんがコミック・モーニングに連載していた、「祝福王」。煉獄に墜ちた主人公が最初に遭遇した、(どうしても名前を思い出せないのだが)「神」を自称する、群体浮遊生物である..

 ..もう少し、一般的な例を示そう [;^J^]。

 細身の(先細りの)三葉虫が、頭部を頂上に乗せて小高い丘にもたれ掛かっている図を、思い浮かべよ。その頭部に、巨大な正五角形の王冠を戴かせる..これが、「カプラローラ」である。

 丘の頂上に建造された、美麗で巨大な宮殿から、一本道が下りて行く、その両側に(細く)発達した町なのだが..その完璧なシンメトリーと、宮殿がバランスを逸して巨大なのが、異様な印象を与えるのである。

 「ボマルツオ」。澁澤龍彦な人には説明不要であろう。怪物公園である。しかしここで取りあげられているのは、その「郊外」にある怪物公園ではなく、「ボマルツオ」の町そのもの。この町における(怪物公園を建造した、オーナーである)オルシニ家の宮殿は、都市の面積の半分を占め、しかも都市の住民と、機能的には全く関係がなかった。これは「カプラローラ」も同様である。この“歪み”が、“幻想”を生み出しているのだ。

 「カステル・メッザーノ」。魔術師(オカルティスト)たちの墓場。山中のゲットー。

 「マテラ」。この都市の「サッシ」と呼ばれる地区の写真は、これもまた、一目見たら忘れられないものである。

 枯れた渓谷に臨む、一見して数千人規模の街が、完全な無人の廃墟なのである。住宅も商店も教会も揃っており、まだ機能しそうに見えるのに..さらに驚くべき事には、一見して普通の都市(普通の廃墟)に見える、それらの家々だが、実は、普通の建造物に見えるのは、その外見(ファサード)だけで、住居の半数以上が、横穴式の洞窟住居なのである..

 ...

 ..あなたは、この連載が、“何か”に似ているとは、思わないか?

 そう! イタリア人、イタロ・カルヴィーノが紡ぎだした不滅の傑作、「マルコ・ポーロの 見えない都市」である!

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Apr 5 2000 
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