*1998年08月24日:8月10日の真相を公表する [;^.^]
*1998年08月25日:浜松市民の謎
*1998年08月26日:警視庁遺失物センター、ザ・テレビジョン/お客さまは悪魔です/ママアちゃん(ふしぎなメルモ)/フォアカード、等調査
*1998年08月27日:下手物の味
*1998年08月28日:朝礼の下手な人たち
*1998年08月29日:リブ100に戻る/調査原簿のバックアップ
*1998年08月30日:17年目の別れ
*目次へ戻る *先週へ *次週へ


*1998年08月24日:8月10日の真相を公表する [;^.^]


 あなたは、夏オフ翌日、8月10日の日記を読んで、どこかおかしいとは思わなかったであろうか? 前半、紆余曲折の末にホテルに辿り着いたところまでは、よい。問題は、翌日の行動を記す後半である..


 それはともかく、朝になって、浜松に忘れ物をしてきたことに気が付いた。今週一杯、横浜の実家に帰省するのだが、その間、手元に無いと、ちょっとつらい物件である。暫く迷ったが、さっさと浜松に取りに帰ることにする。交通費を惜しんでいる場合ではない。

 このタイミングで新幹線に乗り直す予定は無かったので、車中で読む本が無い。八重洲ブックセンターで、「永井豪クロニクル」(ゼスト)と「地獄百景」(別冊太陽)と「怪 第参号」(角川書店)と「暁斎妖怪百景」(国書刊行会)を買う。

 昼過ぎに浜松に戻り、所用を片づけ忘れ物を探し出し..はや、17時をだいぶ回っている。今日の晩には帰省する約束だったが、今からだと相当遅くなる。さすがにしんどい。実家へ電話し、明日の午前中に帰省する、と、予定変更。

 ..浜松に戻る理由が、妙に曖昧だとは、思わないだろうか? 「忘れ物を取りに」浜松に昼過ぎに戻ったにしては、「所用を片づけ」終わるのが17時過ぎ。時間がかかりすぎているとは思わないだろうか?

 決して偽りを書いたわけではない。しかし(後述する理由で)極めて重要な事実を伏せており、そのために不自然な記述になってしまったのだ。これも後述する理由で、この事実を伏せておく必要が無くなったので、8月10日の日記の、上記引用箇所を、下記の正確な記録と差し替えることとする。


差し替え文、ここから

 さて、朝。実は昨夜、最初のタクシーに乗る前、「どこか」の駅から終電も終わったということで追い出される直前に気がついていたことなのだが、荷物が無い。リュックサックも、手提げ紙袋も。

 もちろん、駅で一応捜したが、ひたすら眠たい酔っ払い。財布と手帳だけは落とさずに持っていたので、まぁなんとかなるだろう、というアバウトな判断のもと、手ぶらでホテルに戻ってきたのである..

 ..目が覚め、酔いも醒め、状況が大体判ってきた。

 一体、何を失ったのか。楽譜、指揮棒、書籍、ヘッドフォン、コンタクトレンズの容器一式、眼鏡、衣類。これらは万いち出てこなくても、全て金で取り返しがつく。リブレット100(及びモデムカード、補助バッテリ、ACアダプタ、メモリ増設済み)。これが痛くないとは言わない。今の相場でも、トータル20万を楽々越える。しかしほんの数日前、夏オフ直前にバックアップを取ってある。何物にも代え難いほど貴重なのはデータであって、ハードウェアではない。これも金の問題だ。

 なんとしてでも取り戻したい物件が、3つ入っていた。

 まず、「デスパイ」(島本和彦、竹書房)。これはT氏から譲っていただいたものであり、N氏に託されて夏オフ会場で受け取っていたのである。いただき物を紛失してしまった。それも、まだ最後まで読み終えていなかったのである。実に面目ない。申し訳ない。[;_ _]

 次に、やはり夏オフ会場でMさんからいただいたCD。フォルテピアノの音作りの参考に、とプレゼントされたものである。これはまだ全く、聴いてもいない。CD番号すら控えていない。好意を無にしてしまったことになる。全くもう..[;_ _]

 しかしこの2件は、それでもなお、お金で取り替えしがつくものである。第3の、最大の損失は..「“手塚治虫漫画全集”解説総目録」のための調査ノート。2年以上調べて来た、膨大な量の原データである。何を血迷ったか、普段は持ち歩かない、この調査原簿を、今回に限って自宅から持ち出して来ていたのだ。

 これは痛い。実際、調査の成果は、次々と前記目録に書き込まれていくのだが、実際には情報の5割程度しか「電子化」されていないのだ。調査中に、ちょっと気がついた備忘録的な書き込みは、目録には直接には反映されないが、その後の調査の大きな手がかりになるものなのであり、その情報量は、極めて大きい。初出誌と全集(あるいはその他の単行本)との相違点も、大量に記入していたが、これもほとんどテキストに起こしていない。

 これは、2年以上に及ぶ調査の成果であり、今回の紛失物の中で、唯一これこそ、金では取り返せないものである。無論、2年間という時間を投資し直すことによって、ある程度は復元できる。しかし..そんなことは出来ないのだ。学生諸君には判らないかも知れないが、中年になってしまうと、2年間という時間を「前進するために」割くことなら出来るが、「何かを取り返す(やり直す)ために」費やす、ということは、もはや出来ない。そんな時間の余裕は、無いのだ..


これが逆境だ!! (C)島本和彦

 9時を待って、上野駅、東京駅、新宿駅、さらに警視庁遺失物センターに、順次連絡を入れる。この時点で判ったことは、こんなに素早く行動を起こしても「無駄」だ、ということである。どこで拾得されるにせよ、それがその駅の忘れ物バッファに届くまでにはタイムラグがあり、さらにそれらは数日後に上野駅、東京駅などのセンターに届き、さらに1〜2日後に、警視庁遺失物センターに届く。あらかじめ届けておくのは有効ではあるが、どうやら、この流れに乗って終着地である警視庁遺失物センターに届く頃合いを見計らう(そこで網を張っておく)方が、確実である。無論、東京都内で発見されるものであるならば、だ。今のところ、山手線のどこかに置き忘れた、という前提で動いているが、京浜東北線に置き忘れた可能性だってあるのだ。この場合は、大宮駅か南浦和駅に届くので、各県警に問い合わせる必要がある。(もっとも、日暮里までのタクシー料金から考えて、そんなに遠くまで乗り過ごしたわけがないのだが。)

 財布と手帳だけは失っていなかったのが、不幸中の幸い。ホテルをチェックアウトして、全くの手ぶらというのも落ち着かないので、近所のドラッグストアで紙袋を買う。350円。高い。この類のは、確か100円だと記憶していたが。(いつの話だ。[;^.^])

 既に電話で(今日中に見つかることはありえない、という)状況は判っていたのだが、上野駅の遺失物窓口、ついで東京駅の遺失物窓口にそれぞれ出向いて、届け出ておく。

 大丈夫だ。

 これは、必ず、みつかる。

 カラ元気では無い。100%とは言わないが、50%を越える確率で発見できる、という確信が、私にはある。何故か。

 それは、紛失した時刻だ。終電か、ほとんど終電に近い。この時刻にうろうろしているのは、基本的に酔っ払いである。しかも、ここは日本だ。最初から盗む目的で目を光らせている者は、それほどはいない。持って行くとすれば、それは「酔っ払いの出来心」だ。私が失った荷物2点は、「出来心で持っていくには、あまりに重過ぎる」のである。[;^J^]

 無論、荷物を開けて、金目の物だけ持っていく、ということは、理屈の上では可能である。しかしそれはもはや、「出来心」の領域を越えている。少なくとも、人前では出来ない。また、金目の物といえばリブ100位しか入っていなかったが、リブ100の金銭価値の判る酔っ払いが、そうそういるとは思えない。[;^.^] というより、それが何であるか、普通は理解できないのではあるまいか?

 それやこれやで、駅員(あるいは清掃業者)が発見・保護するまで、放置されていた可能性が高い、と、思われるのである。(その意味では、より早い、混んでいる時間帯に忘れる方が、危なかったはずだ。)

 さて、取り敢えずJRに対して取るべきアクションは取り終えた。厳密に言えば、山手線の全ての駅に対して届け出る方が、網の目は狭くなるが、数が多すぎて現実的ではないし、実際には、遺失物は東京、上野など数駅に集結せられ、さらにその後速やかに、警視庁遺失物センターに移管されるのだ。これ以上じたばたする必要は、無い。

 問題は、今日のこれからの行動だ。当初の予定では、国会図書館で調査をし、その足で横浜に帰省するはずだったが、取り敢えず、調査原簿もリブ100も紛失してしまったので、国会図書館は問題外。では、手ぶらで帰省するか..

 ..今週いっぱい、実家で通信環境が無いのは、困る。夏オフのフォローもしなくてはならない。実家では妹がWinノートを持っているが、彼女は確か(自宅では)通信をしていないはず。秋葉でモデムカードだけ買って帰省すれば、彼女のPCを借りて、それに通信環境をインストールできると思えるが..その過程で、どんなトラブルが発生するか、わかったものではない。彼女は会社の仕事をテイクアウトして、そのPCで作業しているのだから、借りっぱなしという訳にはいかないし..

 ..浜松の自宅には、リブ30がある..

 ..取りに帰ろう! リブ30にはFreeBSDを入れかけたままほったらかしにしてあるが、Win95時代のバックアップがある!

 そうと決めたら、善は急げ。既に10時をだいぶ回っている。すぐに浜松に戻り、リブ30の環境をリストアして、とんぼ返りすれば、今日中に(当初の予定どおり)横浜に帰省できる。

 そこで、取るものも取り敢えず、八重洲ブックセンターに駆け込み、「永井豪クロニクル」(ゼスト)と「地獄百景」(別冊太陽)と「怪 第参号」(角川書店)と「暁斎妖怪百景」(国書刊行会)を買う。脈絡が判らないかも知れないが、どんな 逆境 でも、本さえあれば、私は大丈夫なのである。(そういうのは 逆境 とは言わないような気もしてきたが、置いといて。[;^.^])

 こだまに飛び乗り、昼過ぎに浜松。駅前のアイコンタクトでコンタクトレンズ用品を購入してから、バスで自宅。そこから車でOAナガシマへ。一番廉いモデムカードを探したら、税込み1万4千円少々で、USロボティクスのCC1560J。要するにこれまで使っていたXJ1560と同じカードだ。(これはXJACKではなく、専用コネクタでモジュラとつなぐタイプ。このため、5千円ほど廉い。)なんの面白味もないし、さらに数千円廉い正体不明のモデムカードもあったのだが、ここは確実に動くのが最優先。

 CC1560Jをゲットして帰り、まず、リブ30をWin95起動フロッピーでブートして、入りかけのFreeBSDを一掃するために、FDISK&FORMAT。次に、PDにVFATBAKで取ってあったリブ30のWin95環境を戻す。これで4ヶ月前の状態に戻った。ついで、リブ100の(夏オフ直前の)バックアップPDから、ワーキングディレクトリ(ホームページメンテ環境、メールのバックログ、ニフティサーブアクセスワーキング環境、その他ドキュメント環境やツールなど)を、zcopyで転送。

 リブ30のFDISK&FORMATから、失ったリブ100最新環境と同等の環境とデータをリブ30に構築するまで、2時間もかからない。ついでCC1560Jを使って、対ニフ、対インターネット通信も支障無く出来ることを確認。そして直ちに、(リブ100が悪意の人間に拾得された、という最悪の事態を想定して)ニフ&インターネットの、各種パスワードの変更作業。幸い、この時点まで、不審なアクセスは、どこからもなかったようである。

 どうだ、見ろ!

 PCそのものを紛失し、古いPCからはWin95すら削除されていた、という 逆境 からでも、見事に、僅か2時間そこそこで、最新の環境を復元できたのである! 普段バックアップを取らないばかりに、この程度の 逆境 で、致命的なダメージを受けてしまう奴等に、私の爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。(そこまで言うか。[;^.^])

 ..はや、17時をだいぶ回っている。今日の晩には帰省する約束だったが、今からだと相当遅くなる。さすがにしんどい。実家へ電話し、明日の午前中に帰省する、と、予定変更。

差し替え文、ここまで


 ..という事実を、何故、8月10日の日記では伏せていたか。それは、一部の読者が、不必要に気に病んでしまう可能性があったからである。つまり、私を日暮里駅まで送ってきてくれた人たちである。そのうちのひとりからは、私が日暮里駅からホテルまで直行できなかったと知って、ホテルまで送ってあげれば良かった、と、ありがたくも恐縮する言葉を頂いている。その時点では、彼は私が荷物をなくしたことは知らなかったのだが、それを知れば、全く不要な罪悪感に苛まれるかも知れない。(いうまでもなく、駅からホテルに直行できず、あまつさえ、荷物を紛失したのは、100%私の責任である。)だから、この事件が解決するまでは、公表を控えることにしていたのだ..

 ..そう。つまり、本日、解決したのである! 警視庁遺失物センターに電話したら、ちょうど届いたところであったと![^O^] じたばたせずに、下流で待ち構える、という作戦が、成功したのだ。

 無論、それが本当に私の落とし物であるかどうかは、入念に確認された。今回、住所や連絡先の判るものは荷物に含まれていなかったのだが、「『“手塚治虫漫画全集”解説総目録』調査ノート」に記名していたのが、決め手になった。急ぐ必要はないが、一刻も早くもとのリブ100環境に戻りたい。今週中にでも、有休を取って受け取りに行こう。(警視庁遺失物センターは、土日は営業していないのである。)

 かくして、事件は、解決した。

 (付記しておくと、8月10日の時点では、JRの「外」で発見されることを想定していなかった。誰かが駅から持ち出して、それを警察に届け出るという可能性は、あったわけである。翌日、そのことに気がついて、14日に(国会図書館に出かけた帰りに)渋谷の交番に届け出たのである。無論、このことも、8月14日の日記には記していない。)

 ..それにしても..もしもあなたが、8月10日の日記を読んで、少しも変だと思わなかったのであれば..あなたは(「記述者=犯人」等の)叙述トリックミステリに騙され易い、幸せな人なのである。(そこまで言うか。[;^.^])

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*1998年08月25日:浜松市民の謎


 浜松には、都市計画なんぞ、無いのであるが..この支離滅裂な開発方針(あるいは、その欠如)は、行政の責任とは必ずしも言い切れない。

 ずいぶん以前の伝聞情報なのだが、浜松市民に、市中にどういう施設が欲しいか、アンケート調査をしたところ、欲しいもののトップが、「駐車場」だったという。これを聞いて、私は「キョトン」としてしまった。その判断(総意)を誉めるとか貶すとかの以前に、とっさには「理解」できなかったのである。

 無論、理由はあるのだ。自家用車で町中に出る時のために、駐車場を増やして欲しい、という要望は、つまり、私鉄やバス網が使いにくい、という事実の裏返しなのである。生活実感の裏付けは、ある。しかし..

 普通、もっと大規模な百貨店とか、ショッピングセンターとか、総合文化施設とか、レジャーセンターとか、そういうものが欲しい、と言わないか? どうして「駐車場」なんだ? こういう市民のために、ろくな施設が作られないとしても、それを行政の貧困だけに帰すのは、ためらわれるなぁ。

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*1998年08月26日:警視庁遺失物センター、ザ・テレビジョン/お客さまは悪魔です/ママアちゃん(ふしぎなメルモ)/フォアカード、等調査


 せっかく有休を取って、交通費を使って上京するのだから、国会図書館にも行きたい。飯田橋の警視庁遺失物センターは、8時半から営業している。そこで、いつも利用している7時14分のひかりではなく、7時のひかりにする。前者は8時35分東京着、後者は8時25分着である。なんとも具合の良いことに、飯田橋からは、地下鉄有楽町線3駅で国会図書館(永田町)であるから、8時25分に東京に着けば、荷物を受け取ってから、開館時刻の9時半に間に合うかも知れない。

 警視庁遺失物センターに保護されていたリュックサックと紙袋を、無事に受け取る。しかし我ながら、重たい荷物を紛失したものだ。[;^J^] 面白かったのは出口の掲示で、


「お帰りの際に、お忘れ物のないように!!」

 ..[;^J^] 確かに、こんなところでリカーシブに忘れ物されると、スタックがオーバーフローするわな。

 国会図書館へ。9時半には間に合わず、9時40分頃に入館。

 「ザ・テレビジョン」誌の「ひとこまマンガ展」「手塚治虫のTVマンガ」、及び「お客さまは悪魔です」。「手塚治虫のTVマンガ」は、かなり長期に渡るヒトコマ漫画の連載で、今日は調査未了。もう一日くらいかかりそう。

 並行して、「ママアちゃん(ふしぎなメルモ)」の調査。

 私の「初出誌調査」は、全作品を対象としているわけではない。「データ未詳」「データ不審」の作品が対象である。従って、全集未収録作品は、原則として全て調査対象になるが、全集に収録されている作品は、そのデータに「未詳」あるいは「不審」な点が無ければ、調査対象にならない。

 「不審」というのは、具体的には、全集に記載されているデータが、その他の資料に記載されているデータと食い違っている場合である。(その他の状況証拠から、どうも疑わしい、というケースも含む。)

 「未詳」というのは、典型的には、連載作品の初出号が、連載開始号と連載終了号しか記載されていない場合である。ほとんど全ての連載作品の初出データがこういう状態であり、従って、ほとんど全ての連載作品が、調査対象になっている。

 「未詳」調査について、例外的ケースが、ふたつある。

 まず、連載作品であるにも関わらず、連載の各回の初出号データが、全て記載されているケースである。これは、他の資料と矛盾しない限り、原則として「調査対象外」としてきた。しかし、「鉄腕アトム(小学二年生版)」「ミッドナイト」などで、痛い目にあっている。(すなわち、全集に記載されていた詳細な初出データが間違っていた。)全幅の信頼を置ける坂本リストのある「ブラック・ジャック」以外は、このケースでも、全て初出誌にあたるべきなのであろう。取り敢えず、微かな不安を感じているのは「七色いんこ」のデータである。

 もうひとつの例外というのは、上記の例とは逆に、本来「未詳」であるにも関わらず、「確定」とみなしてしまったケースで、具体的には、記載されている「連載期間」と、エピソードの数が、一致している場合である。(例えば、月刊誌に1年間連載した作品で、全集に収録されているエピソードの数が、丁度12である場合。)この場合、各エピソードを、連載期間の先頭から最後まで、順にアサインして「確定」としてしまっているケースがある。少なくとも、2年前、この目録を作り始めたばかりの頃には、そういう判断・決定を、しばしば行なっていた。

 そういうことをしては、いけないのである。連載期間とエピソード数が一致していても、収録順序が入れ替えられているケースは、珍しくない。暫くしてからこのことに気がついてから以降は、このケースでも「未詳」として残すようにしているが、気がつく以前に、各号にアサインして「確定」させてしまった作品については、見落としがあるのである。つまり、目録上では(不当に)詳細になってしまっているので、本来「未詳・曖昧」だった、ということが、判らないのだ。

 以上、状況説明が長くなったが、「ママアちゃん(ふしぎなメルモ)」が、このケースだった、ということに、暫く前に気がついて、これは出来るだけ早く、調査しなくては、と、気になっていたというわけ。

 ..で、実際に初出誌にあたってみたら..調査して、良かった。ボロボロのグチャグチャ。[;^O^] さらに、綺麗に終わってすら、いない。学年誌連載は、年度を越えると(原則として)1学年上の雑誌に移行するのだが、そのあたりのタイミングで、「原作:手塚治虫、作画:池原成利」に“徐々に”移行している。時間が足りず、その先まで追跡しきれず。これも次回まわしか。

 「話の特集」誌の「フォアカード」。これは4人で競作したヒトコマ漫画で、1年間連載された。(切り抜き多し。)

 閉館後、現代マンガ図書館に移動して、手塚治虫関係の押さえを数件と、島本和彦の単行本未収録作品の閲覧を数件。神保町に移動して、高岡書店で「クラッシュ奥さん 1」(吾妻ひでお)。こだまで浜松へ。

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*1998年08月27日:ゲテモノの味


 Wという店で、部署内の送別会。ここに来るのは初めてなのだが..メニューが面白い。ワニ、ダチョウ、兎、等など、あまり普通ではない肉類が並んでいる。無論、どんどん注文する。

 ..で、味の方だが..概して、不味い。

 例えば兎などは、美味いか不味いか判然としないほど、香辛料が利いているのだが、これはつまり、味と匂いを誤魔化しているということだろう。もっとも、胡椒等の香辛料の本来の用途は、腐りかけた肉を食べ易くするためだったはずだから、これはこれで正しい使用法だ。


「広く食べられていない食材は、十分、バグ出しされていない」


 ..これが、私なりの結論である。(無論、例外もある。鶉(うずら)は美味かった。卵ではなく、鶉自体の丸焼きである。)

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*1998年08月28日:朝礼の下手な人たち


 朝礼の下手な人には、いくつかのパターンがある。

 「声か小さい」−これがもっとも基本的で、こういう話題の時に必ず指摘されるポイントである。まず、聞こえなくては話にならない。これの変形として、「語尾が聞こえない」というのもある。これはものすごくフラストレーションがたまる。

 しかしそれよりも気になるのは、「ストーリーを考えていない」パターンである。これを聞いていると、どういう結論に連れて行かれるのか予想できず、また、話の流れのどのあたりにいるのかも判らないので、いつ終わるのか見当がつかず、とてもとても疲れる。

 この場合、話している当人も、いつ終わるのか判らないのである。どういう結論になるのかも、判っていないことが多い。その証拠に、「終りが見えてくる」と、“突如として”語り口に“明らかな安堵感”が漂い始め、物語の進行が“加速”し、“急転直下”終わるのである..

 ..ま、私などは、話している当人の、こういうメタな「心理ドラマ」の方を楽しんでいるんですけどね。[;^J^]

 もちろん、人前でまとまったことを喋れないようでは、困るのである。部署内の朝礼でもたもたしているうちは(会社としては)実害は無いが、例えば対社外の研修会や新製品説明会のプレゼンテーターとして、その人を送り出すことが出来ない。

 私からのアドバイスは、平凡なものである。

 「起承転結」を意識すること。話の流れを4つに区切ること。

 文章を書く時も同じ。迷った時は、4パラグラフにする。そして、第3パラグラフにクライマックスを置いて、第4パラグラフでまとめる。

 朝礼にせよ、プレゼンテーションにせよ、レポートにせよ、ほとんどのケースは、これで(少なくとも構成だけは)揺らぎ無く構築できる。あとは内実を埋めること。(話すべきテーマも無いようでは、わしは知らんよ。)そして、こんなワンパターンな定型構成ではつまらない、と思えるようになったら、それこそしめたもので、次のステップに進めば良い。

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*1998年08月29日:リブ100に戻る/調査原簿のバックアップ


 リブ30からリブ100に環境を戻す。100が無かった20日弱の間に30側で追加・更新されたデータを転送し、見事にワンポイントリリーフをこなしたリブ30から、「zcopyによるワーキングエリアのバックアップ」「VFATBAKによるフルダンプ」、都合2種類のバックアップをPDに取り、収納庫へ。ご苦労様。また、出番はあるかも知れない。

 それにしても、リブ100とは、なんと素晴らしいPCであろうか! 暫く30に戻っていたお陰で、改めて感動してしまった。その速さ。液晶の広さ、明るさ、美しさ。もう二度と紛失すまい。

 「『“手塚治虫漫画全集”解説総目録』調査原簿」の、バックアップコピーを作る。以降、原本は自宅に備え付け、持ち歩くのはバックアップだけとする。

 調査ノート自体、最初から電子式にすればいいのにと思うだろうが、例えば国会図書館では、PCを使える席は限られている。具体的には例えば、雑誌カウンターの窓口の、ひとつ下のフロアの1室だ。何度も書いていることだが、国会図書館では分刻みの(時には秒を争う)時間との戦いになるのであって、出納・返却時に、いちいちフロアを移動している時間はない。

 また、仮にすべての座席でPCが使えるとしても、やはり紙とボールペンのスピードにはかなわない。どんなにタイプ速度が速くても、だめだ。毎回、事前に「その日の調査項目に合わせて、徹底的に編集し直し、練り上げた」チェックリストに、素早く手でチェックマークを入れ、さらに、ページ数その他気がついたことを、どんどん書き込まなくてはならない。そうして、ロスタイムを(誇張ではなく)秒単位で切り詰め、1冊でも多く出納/閲覧/チェックする。

 このチェックリストに書き込まれた1日分の調査データを、清書(電子化)するのに、帰りの新幹線車中の1時間半の、ほとんど全てを使ってしまう。その位大量の情報が書き込まれるのである。

 (先日は、諸般の事情により、調査原簿そのものを持参したが、普段は、前記のチェックリストの他、書き込み用の裏紙数枚をファイルに綴じて持ち込むのである。帰宅してから、びっしり書き込まれたそれらを、調査原簿にリファイルする。)

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*1998年08月30日:17年目の別れ


 噂に聞いていた「Bizseek」に、探求本を22冊登録してみる。これは古本(等)の探索代行サービスである。この類のサービスは珍しくないのだが、今まで試してみる時間(と気持ち)の余裕も無かった、というわけ。さて、ヒット率はどんなものか。

 (私の環境がおかしいのか、上記のリンクをクリックしても、何故か一回では届かない(エラーになる)。Bookmark からは、問題なく届くのに。[?_ _] http://www.bizseek.gr.jp/book/ である。)

 実家から電話。雌犬・べガが、この24日に死んだという..

 ..悲しむことはない。17歳だったのである。普通は、これほど長く生きることはない。

 最後の数ヶ月ほどは、足元が覚束ないのか、よく転んでいたし、目も耳も不自由になっていたが、しかしついに寝たきりにはならず、散歩もこなしていた。天寿を全うしたのだ。

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Sep 3 1998 
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