*1998年07月27日:「少年」「どろろ」届く
*1998年07月28日:中野書店から目録届く
*1998年07月29日:最先端しかレトロになれない
*1998年07月30日:島本和彦収集状況
*1998年07月31日:「手塚治虫全史」巻末リスト、照合終了
*1998年08月01日:「正誤表」の「正誤表」/手塚治虫展
*1998年08月02日:夏オフ仕込み/出版社リスト更新
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*1998年07月27日:「少年」「どろろ」届く


 まんだらけから、「少年」1967年1月号と、「「冒険王」1969年5月号付録「どろろ」」が届く。「少年」は、裏表紙が無い..どころか、ラストの数十ページ(「光速エスパー」のみ?)破られている。この件の注意書きは無かったと思うぞ。まぁいいや。これは国会図書館に収蔵されていたはずなので、いずれコピーして補填することにしよう。

 マンガ古書店の翠光社から目録が届く。残念ながら発注したい物件はなかったが、品揃えは良い。(神保町にある店舗には、一部しか置いていないことが判る。)次回以降のカタログに期待しよう。但し、概して高い。

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*1998年07月28日:中野書店から目録届く


 神保町の中野書店から目録が届く。店頭で見逃していた雑誌付録等を、2〜3、発注する。抽選は盆休み中。もしも当選すれば、買って帰れるタイミングである。

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*1998年07月29日:最先端しかレトロになれない


 いくつかの(多数の?)業界で見られる現象かと思うが、電子楽器業界でも、いわゆる「ビンテージ物(特にビンテージシンセ)」に対する人気は、それなりに高い。中古市場などでそれらを苦労して手に入れた人々は、それがいかに素晴らしい音がするか、現在の最新鋭の技術が投入された製品が、これら“古い”楽器に比べて、いかに見劣り(聴き劣り)するか、得々として論じ合って倦むことが無い。

 そして、これら“古き良き”時代の自社の名器の復刻版を作らぬ、日本の大手楽器メーカーの体質を、批判して飽きることがない。

 私は、その“大手楽器メーカー”に勤務する身であるから、そういうレプリカを作る可能性があるとか無いとかいう話を、ここでするわけにはいかない。だから、特定のメーカーや業界に限定されない、一般論として言えることだけを、書こう。

 今、ビンテージシンセとしてもてはやされている旧製品は、発表された時点では、その時代の最先端の技術の粋であったのだ。そういう製品だけが、時代を越えられるのだ。

 だから、今の時代に作られている数多くの電子楽器のうち、将来において評価されるものが、もしも存在するとすれば..それは間違いなく、現在の最先端の技術が惜しげも無く投入された製品である。それしか生き残らない。過去を懐かしんで作られた(過去を懐かしむ一部のユーザーに媚びた)レプリカ製品は、しばらくの間は売れるかも知れないが、速やかに消滅する。5年後には、誰ひとりとして憶えているものもいないであろう。これは断言できる。歴史が証明している。

 仮に、資本と人材がだぶついているメーカーがあるならば、(そういうメーカーが存在するとは思えないが、)たまには余裕をかまして、そういう「未来に残らない」製品を作るのもよかろう。経営が傾くこともあるまい。しかし皮肉なことに、たまにこういう「後ろ向き」の製品を作るメーカーが存在する場合..それはほとんど例外なしに、資本も人材も体力も無い、脆弱な小企業なのである。そして..速やかに消滅するのだ..

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*1998年07月30日:島本和彦収集状況


 島本和彦の「バトルサンダー 第3巻」(講談社コミックスボンボン)が、北海道のTさんから届く。先日、「島本和彦メーリングリスト」のページの掲示板で、だぶって持っているというTさんの書き込みを見つけて、即刻メールを送ったのだ。これはなかなか古書店では見つけられない本なのである。

 「デスパイ」も、さる方から譲っていただく約束をしているので、島本和彦の単行本中、入手の目処が立っていないのは、あと、「炎の転校生 第12巻」(少年サンデーコミックス)「とつげきウルフ 第3巻」(同)「ウルトラマンG」(少年キャプテンコミックス)「仮面ライダーZO」(同)の4冊のみとなった。(「炎の転校生」は、ワイド版(スーパー・ビジュアル・コミックス)で全巻揃えているので、これは最悪入手できなくても良い。この4冊のなかでは、最も入手しやすそうな本ではあるが。)

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*1998年07月31日:「手塚治虫全史」巻末リスト、照合終了


 「手塚治虫全史」の巻末リスト(初出品作品リスト、手塚治虫単行本リスト、文献リスト)の、照合とマージが、ようやく終わった。これのおかげで、ここ1週間ほど睡眠時間3時間体制が続いていたのだ。これで今夜からゆっくり眠れる。[/_;]

 正誤表を、「“手塚治虫漫画全集”解説総目録」の「付録H」としてアップした。まだ、本文の図版キャプションのチェックをすませていないし、他の資料と食い違っているデータも少なくなく(これは「未解決の諸問題」に追加した)、特に後者ついては、国会図書館等での追加調査が必要なのだが、(その結果次第で、正誤表の項目がさらに増えよう、)そこまで引っ張っていると、正誤表の公開が、夏休み明けになってしまう。正誤表自体も更新していけばいいのだから、取り敢えずの完成度で公開してしまうのがよろしかろう。時機を逸したくない。

 これほど手間がかかったのは、「文献リスト」(マンガ以外の、エッセイ、対談、広告、講演、などの仕事のリスト)の情報量が大きかったからである。「全集未収録作品リスト」は、照合&マージ前の、5割増しに膨れ上がった。

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*1998年08月01日:「正誤表」の「正誤表」/手塚治虫展


 昨日公開した、「「手塚治虫全史」正誤表」に対して、「手塚治虫メーリングリスト」のNさんから、ミスの指摘メール。

 正確には、ミスというより、私自身、これは少しおかしいのではないか?と疑問を抱いて、MLに公開のアナウンスをするに際して、問題提起をしたポイントである。どういうことかというと、講談社の「手塚治虫漫画全集」の初版(第一刷)発行日のデータが、各巻の現物の奥付けと、「全史」の巻末リストとで食い違っている例が、全400巻中、20巻あったのである。

 これは異様に多いと思う。また、中には、奥付けよりも「全史」のデータの方が正しいのではないか、と推測されるものが、少なくとも3件あった。奥付けの年月日でソートすると、連続した長編であるにも関わらず、後の方の巻が先に出版されていることになるのである。

 Nさんからのメールで、食い違っている20件のうち9件は、私が持っている「全集」の現物の奥付けの誤植であることが、判明した。私は第300巻までの300冊は、92年の年末に一括購入しており、そのほとんど全てが、89年から90年にかけての、第5刷か第6刷である。(それ以降の100巻は、全て初版を購入した。)問題となった「誤植」9件は、全てこの期間(第5刷ないし第6刷)のもの。Nさんは、全巻初版で所有されており、この9冊については、初版の奥付けと「全史」のデータは、見事に一致していたのである。

 ただちに、「正誤表」を修正する。この件で、極めて重要な教訓が得られた。すなわち、再版以降の奥付けの初版データは、必ずしも信用できないのである。

 同時に、「全史」リスト側にも11件のエラーが確定したわけだ。これらの多くは「誤植」というより、発行日ではなく発売日を記載したのではないか?と、これはNさんの推測。真相は不明。

 図書館に寄ったあと、アクトシティで開催されている「手塚治虫展」へ。

 それほど規模は大きくないが、要領よく展示された事蹟の説明に続いて、ポイントを絞った原画の展示。私は元々、原画展というものをほとんど観ないので、これはまことに興味深かった。つまり、切り貼り修正の跡が、である。「ジャングル大帝」や「ぼくの孫悟空」などは、版型もコマの配置も、初出誌と単行本で(さらに、複数の単行本間で)大きく異なっているのだが、それぞれのページを構成している「パーツ」(キャラクターや、前景・中景・後景)を、ほとんどバラバラに切り離して再編集(再構成)し、それらの間を新たな線を描き足してつないでいるのである。

 実験アニメの展示(ビデオ再生)も行われていた。ここで初めて、有名な「ジャンピング」を観た。国際的にも評価の高い、手塚治虫のアニメ分野における代表作のひとつなのだが..う〜ん...

 アイデアは良い。オチもまずまず。しかし技術的には、相当問題がある。解説ビデオで手塚治虫自身が語っているように、「ジャンプ」になっていないのである。「視点」の問題ではなく「動き」の問題。綺麗に放物線を描いていない。上昇時も下降時も、なにかカクカクとぎこちないのである。これなど、現在のCGで「下書き」を描いて、その上に絵コンテを起こせば、こういうことにはならなかったはずだが..しかし、本当にリアルな物理運動を表現してしまったら、下降時の地面付近など、速度が速すぎて、ほとんど何も見えない、ということになりかねないが。

 アフレココーナーがある。4〜5セットあるのだが、個室ではないので誰もトライしていない。当たり前である。人前でそんな恥ずかしいことできるか。[;^J^]

 (備忘のために、展示からのメモを記しておく。現在の日本の1年間の雑誌販売数は、50億冊、1.54兆円。うち、マンガ雑誌が18億冊、0.7兆円。)

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*1998年08月02日:夏オフ仕込み/出版社リスト更新


 来週末は、ニフのFCLAの夏オフである。会場から電車で3駅の、日暮里のTホテルに電話予約を入れる。これといった遊興施設も無く、特殊なチャンネル [^.^] を持つ有料放送(ビデオ)も無いのだが、ここは廉いのだ。どうせ土曜日も日曜日も、深夜まで飲んだ挙げ句にベッドに倒れ込みに帰るだけなのだから、(しかも過去の実績によると、ほとんどの場合、記憶が無い、)これで十分である。カプセルホテルならもっと廉いが、2000円も変わらないのであるから、カプセルを選ぶ理由は、全く無い。(ちなみに私は、かつてはカプセルホテルをしばしば利用していたが、これに泊まる度に、「虎よ、虎よ!」(アルフレッド・ベスター)の、あるシーンを思い出していたものだ。)

 夏オフ用のシンセの仕込み。今年はハープとチェレスタの出番が非常に多く、これらに加えて、パイプオルガン、ハープシコード、グロッケン、シロフォン、トムトム。さらに今年の新機軸として、補助鍵盤を用意して、ふたりの奏者で演奏する曲が、かなり多い。(補助鍵盤側は、音は出さずに、MIDIキーボードとして使うのみ。その補助シンセ自体の音がわからず、当日、そのシンセで音の作り込み・合わせ込みを(マニュアル無しで)やっている暇は、全く無いからである。)そのため、ちょっと例年と異なる工夫がいるが、別に難しいことでは無い。

 昨日に引き続いて図書館に出向き、「“手塚治虫漫画全集”解説総目録」の「出版社リスト」に大幅に手を入れる。今回の「手塚治虫全史」で、あらたに追加された出版社はもちろん、これまでリストから外していた「新聞」の「出版元」を、全てリストに繰り込んだのである。外していた理由は、「朝日新聞」なら「朝日新聞社」、「京都新聞」なら「京都新聞社」、と、ほとんど自明だったからであるが、なかには「日本読書新聞」に対する「日本出版協会」のような例もあるので、この際、全出版社を、と、方針を変えたのである。

 図書館の閉館時刻を1時間間違えており(今日は休日、17:30まで)、時間との競争をしたあげく、滑り込みで全数チェック完。ホームページにアップロード。

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Aug 6 1998 
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