*1996年11月11日:吾妻リスト簡略版について
*1996年11月12日:「姑獲鳥の夏」読了
*1996年11月13日:名字について
*1996年11月14日:鉄腕アトム/海のトリトン/火の鳥/サンダーマスク、調査
*1996年11月15日:オープン一周年
*1996年11月16日:「魔神ガロン・3」に想うこと
*1996年11月17日:香月あんなのホームページ
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*1996年11月11日:吾妻リスト簡略版について


 先日の編集者からメールがあり、吾妻ひでお著作リストの簡略版を掲載するスペースは、検討してみたらないとのこと。あらま。[;^J^] 代わりに著作単行本のリストを載せる由。まぁしゃぁない。この簡略版(発表順・サブタイトル無し)もホームページに載せることにしよう。これはこれで(ざっと概観できるので)便利なのである。

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*1996年11月12日:「姑獲鳥の夏」読了


 京極本の5冊目(最新巻)の「絡新婦の理」を書店で保護し、その足で入った居酒屋Yで、昨日から読みはじめた「姑獲鳥の夏」を読了。わはははは、これは凄い、これは面白い、これはやめられん! どうすればいい。読んでいる時間はないぞ、“箱本”はあと4冊もあるぞ、どうすればいいんだ。[;^O^](いずれにせよ、次のに取り掛かれるのは、しばらく先になる。いかんともしがたい。)

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*1996年11月13日:名字について


 他人の持ちネタで恐縮である。(今日は話題がないのだ。)

 数年前、ネットニュースで(自分、友人、あるいは赤の他人の)珍名・奇名の話題で盛り上がっていた時、「横から口をさしはさんで申し訳ありません。私は、この手の話題には全く縁が無いとされている『鈴木』というものですが、ひとつだけ“大ネタ”がございます..」(以下、彼の投稿の大意)

 「かつて私は、T大を受験しました。あの大学は、受験者を50音順に並べて教室に割り振るのです。当然のことながら、我々『鈴木』は最大多数で、ある巨大な階段教室(講堂)がまるまる割り当てられました。この空間の中にいる全員が鈴木か、と、思うだけでもなかなか不気味なものがありましたが..破局は、1限目の試験と2限目の試験の間の、休憩時間に訪れたのでございます。

 大勢がざわついている階段教室の中央後ろの(教壇と向き合う)扉を大きな音を立てて開け、別の部屋で受験をしていた私の友人が、大声で私を呼んだのです。

 『おーい! すずきー!』」

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*1996年11月14日:鉄腕アトム/海のトリトン/火の鳥/サンダーマスク、調査


 代休を取って、国会図書館へ。(全く我ながら、人畜無害な道楽である。)

 ちょっとびっくり。来たる16日から、従来雑誌課別室で取り扱っていた漫画雑誌等が、一般の雑誌カウンター扱いになる由。これは朗報とも凶報とも言えない。

 国会図書館の閲覧システム(の一部)については、以前、詳しく述べたが、このさいに説明した雑誌課別室のさまざまな制約がなくなり、他の雑誌と同じ扱いになるという意味では、朗報。しかし、従来は不便なりに一般の雑誌と並行処理が出来ていたところを、チャンネルを一本化されてしまうわけだから、一日に閲覧可能な総量は減ってしまう可能性がある。さらに心配なのは、従来、雑誌課別室のカウンターには待ち行列が出来にくかったのだが、一般の雑誌カウンターには、時としてかなり長い列が出来ることである。まぁ、便利になったか不便になったかは、新システムの運用が始まってみないと、判らない。

 雑誌課別室では、「少年」誌のチェック。「鉄腕アトム」である。これも何度か述べたことであるが、当時の月刊誌は、主要連載漫画が別冊付録に掲載されていることが非常に多い。実際、本誌は思いのほか蔵書されていたのだが、別冊付録は全滅状態であった。それでも、目次や柱の文言や、他の複数の資料から、初期のアトムについては、どの号(の付録)にどのエピソードが掲載されているか、確定できた。もう1日半で、残りのエピソードの初出号も確定できるはずだ。

 新聞閲覧室では、「アトム今昔物語」のチェックを終わらせ、「海のトリトン」に取り掛かる。これもあと1日半ほどか。「アトム今昔物語」は、単行本にまとめるにあたって、かなりエピソードの省略や描き替えがなされているのだが、「トリトン」の方は、少なくとも今日チェックした、全28ヶ月中冒頭10ヶ月分に限って言えば、省略・描き替え・追加は皆無に等しい。逆に驚いた。

 例によって現代マンガ図書館によるが、おやおや、全集版「火の鳥」の4、6、8巻が万引きの被害に合っている。[>_<] COM時代の「火の鳥」を、一気に片付ける意気込みで来たのだが..

 まぁ初出誌がやられたわけではないのだから、次回に全集の該当巻を持参すればいいのだが..それにしてもわけの判らん万引きだ。これは貴重品でもなんでもないのである。どこにでも転がっている、講談社版の全集。しかも、第4巻の「ヤマト編、宇宙編」はともかく、第6巻は「鳳凰編・2」、第8巻は「復活編・2、羽衣編」である。こんな半端な盗み方をして、どうすると言うのだ、全く。

 気を取り直して、「火の鳥・望郷編(COM、COMコミックス版)」を調べる。実は、「火の鳥・望郷編」は、2度描かれているのである。このCOM版は連載開始からわずか2回で中断されたものであり、のちに描かれた、広く知られているマンガ少年版とは、全く異なるものである。

 資料でその存在を発見して以来、私にとっては謎の版であった。なぜ中断されたのか? ちょうど「COM」が(あるいは当初の理想を貫けずに?)青年誌風の「COMコミックス」に衣更えした時期であり、この新雑誌のカラーを作者が嫌ったのではないか、とも考えた。(そういう例はいくつかある。例えば、漫画サンデーでの連載を打ち切った「一輝まんだら」など。)

 一読(一目)瞭然。

 ここでは、核兵器の被害者が、怪物的に描かれているのである..

 今回は、前記の事情もあって「羽衣編」を初出誌では読まなかったのであるが、これも一度破棄され、描きなおされたはずだ。それは核兵器の被害者の描写に問題があったからだ、と記憶している。「望郷編・COM版」は、この(幻の)「羽衣編」のストレートな続編であり、「羽衣編」の抹殺・リライトに巻き込まれたのではないか。(記憶が少し曖昧である。もしかしたら破棄されたのは、この「望郷編」自体だったかも知れない。)

 次回の上京で「羽衣編」をじっくり読み比べるまでは、軽々しいことは言えないし、なかなかクリアな解が呈示できる問題ではないのだが..この(いきなり中断された)「望郷編・COM版」は、実に魅力的な作品に思える。(それは死んだ子の齢を数えるのと同等の心理かも知れないが。)

 ついで(これは傑作とは言いがたい)「サンダーマスク」を調べるなどして、帰途につき、車中の新聞で、オウムの八木沢と北村の逮捕を知る。ったく、どうせ自首するのなら、一年半も逃げ回らずにさっさと出頭してしまえば、よほど楽だし、刑期も短くなるのに。前記の万引きもそうだが、そういう理性的な判断が出来る奴なら、そもそも犯罪などしない、ということなのだろうが、しかし一年半。逃亡生活自体が楽しかったのかね。(あ、もしかしたら楽しいかも、と、一瞬でも考えてしまった、子どものような私であった。[;^.^])

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*1996年11月15日:オープン一周年


 ホームページをいつ開いたか、という問いに対しては、実は明確には答えられない。クラブの中で(非公開の形で)運用していた時期があり、それをある時点で外部に公開した。スタートポイントがいつであるかは、曖昧である。ならばどのように決めても構わないわけだ。ということで、カウンタをリセットした、去年の11月15日を公開日とすることにしよう。つまり今日で一周年である。

 だからどうというわけでもないが、おめでとうメールがいただけるのならば、私はそれを拒否しない。フッタにも書いてあるが、念のためメールアドレスを記しておく。

kurata@rinc.or.jp
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*1996年11月16日:「魔神ガロン・3」に想うこと


 手塚治虫漫画全集も、全400巻の完結に向けて残り僅かであるが、今月発売の「魔神ガロン・3」を読んで、なんとも複雑な気分になってしまった。

 ほとんど読むに耐えなかった。

 そもそも「魔神ガロン」は、全集では「魔神ガロン・2」で、いったん完結している。この巻では、第130頁めで、ガロンとピックが大渦巻に巻き込まれるところで終わっており、しかもそのあとを、94頁もある別の作品(「タイガー博士」)でフィルアップしているのだから、明らかに「魔神ガロン」はここで“中断”しているのである。

 にも関らず、第3巻が発売された。生前の作者が、これを全集に収録しなかった理由は、火を見るよりも明らかだ。これは他人の代筆なのである。

 それがいっそ優れた代筆であれば、まだしも救われていたかも知れないが..これはもう、滅茶苦茶なのだ。

 単に絵が下手なだけではなく(頁によっては−−作画家の方には本当に失礼な言い草になるが−−素人の落書きレベルである)、コマの進行の論理的整合性もなく、ストーリーも実に幼稚である。(幼稚というのは、幼稚園児や小学校低学年向け、という意味ではない。そのあたりの年齢の読者層を想定している「ガムガムパンチ」などは、実に高度で、しかも子どもにも判りやすい内容を持っている。)

 最初の4コマからして、凄いのだ。まず、ガロンとピックが、海岸の波打ち際で倒れている(第1コマ)。次に、ガロンが沖合いから海岸に向かって歩いて来る脚の絵(第2コマ)。ガロンは頭に乗せているピックに「ピック、リクヘツイタ」(第3コマ)。そして膝をついているガロンの足元で、水から上がったばかりと思しきピックが濡れ鼠で「あ…あ…」(第4コマ)。

 別々に描かれた4コマをかき集めて来たとしか思えない。どういう順番で読んでも、意味が通らないのである。(..調べてみたら、この第1コマは、第2巻第87頁の使いまわし(ケン一と敷島博士を削除してピックに差し替え)であった。[;^J^])

 これは手塚治虫の真筆ではないから、全集に収録する必要はなかった、というのは正論。しかしことはそう単純でもない。「手塚治虫の名前で発表され(さらに重要なことだが)手塚治虫の作品として読まれた以上、これは手塚治虫の作品なのだ」。

 全集未収録作品は、まだ膨大に残されており(リスト参照)、その中には優れた作品も少なくない。こんなものに貴重な巻を割かなくても..とは思う。しかし(講談社の真意は判らないが)、かつて手塚治虫の名前で発表された、数多くの代筆作品が、どのような水準のものであったのか、という、ひとつのサンプルにはなる。そういう意義は確かにある。

 来月には、「魔神ガロン・4」が発売される..

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*1996年11月17日:香月あんなのホームページ


 あまりネットサーフィンをしていない(その時間を取れない)私が、たまに訪れる数少ないページのひとつに、AV女優・香月あんなのホームページ、Anna Worldがある。

 いわゆる生物学的な興味の対象にしかならないようなの静止画や動画は、全然ない。別に文章が面白いわけでもなく..どこに取り柄があるのだと聞かれても困るのだが..

(「なぜ、お自分でホームページを作ろうと考えたのですか?」という問いに答えて)

AVでデビューすることが決まり、とりあえず自分のPRが簡単にできてファンの反応も即座にわかる双方向の場がほしかったからです。またインターネットの個人利用者は男性が大多数であり、AVの市場とかなり重なり合うのではと推測できたのとテレビ・雑誌等でインターネットが話題になっており、ここで自分のホームページを開設すれば日本初のAVモデルが作ったページとしてかなりの反響を呼び従来あまりAVには関心の無かった潜在的な需要も掘り起こし多くの自分のファンを獲得できると思ったからです。

("Anna World"より引用)

という、実にしっかりとした考え方に好感が持てるからだ、ということになるだろうか。無論、容貌が(美人過ぎなくて)好みである、ということもあるが..(日本人好みとされる、狸系である。)

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Nov 19 1996 
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