ブラック・ジャック:ドラキュラに捧ぐ

 貧血を起こして倒れた少女を送り届けた女教師は、そのまま不気味な洋館に監禁されてしまう。逃げ出すのに失敗した彼女は、当主に捉えられる。この一族はドラキュラの末裔。遺伝性の血液病に冒された彼らは、代々他人の血をすすることで助かるという迷信にとらわれていた。当主も娘もRH−型の血液を持っているが、娘の母親はその型ではなかった。だから娘には恐ろしい血液病が現われてしまったのである。その女教師の血液型もRH−。当主は女教師と娘との交換輸血で娘を救おうとする。呼ばれていたのはブラック・ジャック。女教師を助けるためにもみ合いとなり、致命傷を負った当主。ブラック・ジャックは、彼のRH−の血液を娘に輸血する。

 科学的(医学的)には、そうとう無茶な話である。他にもそういうエピソードはいくらでもあるが、この話にはその無茶を必然的と思わせるほどの芯がない。凡作である。代々の業病とRH−とを結び付ける当主の説明が、一切、彼の妄念であるとして読めば、まずまずの出来。


*「ブラック・ジャック 24」(少年チャンピオンコミックス)


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: May 3 1996 
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