*2017年08月14日:地獄絵ワンダーランド/ベルギー奇想の系譜
*2017年08月15日:幻想美術選「聖堂の倒壊」モンス・デジデリオ
*2017年08月16日:「SFの書き方」
*2017年08月17日:「異世界食堂」
*2017年08月18日:「うつヌケ」
*2017年08月19日:雷鳴と電光
*2017年08月20日:早めに浜松へ
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*2017年08月14日:地獄絵ワンダーランド/ベルギー奇想の系譜


 曇天。実家前のバス停から、7:41のバスで発つ。

 9:20に国会図書館。開館は9:30、11:40に退館。12:10、三井記念美術館。「地獄絵ワンダーランド」(後期:〜9月3日(日)まで)である。

 ヘタウマ系というのか、古拙な作品に印象的なものが多かった。東覚寺の「地蔵・十王図」画像検索結果)、日本民藝館所蔵の「十王図」画像検索結果)。また、白隠の「地獄極楽変相図」画像検索結果)など。

 13:20に退出し、14:00、Bunkamuraザ・ミュージアム。「ベルギー奇想の系譜」(〜9月24日(日)まで)である。

 今回は図録を購入したので、これからスキャンしてご紹介できるのだが、それとは別に(Google の)画像検索結果へのリンクですませているものも、ある。どういう使い分けかと言うと..「1.図録からスキャンできない(見開き、またはノドに深く食い込んでいるなどの)場合は、画像検索結果へのリンクですませる」「2.画像検索しても(満足な品質の画像が)ヒットしない場合は、図録からスキャンする」「3.図録からのスキャンは(手間もかかるので)高々十数点に抑える」、といった制約条件のもとで、あとはまぁ適当な判断で [;^J^]。前記の条件のいずれも成立しない(スキャンできないし、検索もできないなどの)場合は、画像はご紹介できない、ということになるわけである。

 今回は図録からスキャンしているのだが、3点ほど、この図録所収の図版のサイズが小さすぎる、または色彩(明るさ)が実物と違い過ぎる、という理由で、別の画集からスキャンしているものがある。これは極めて例外的なことである。(普段は必ず、その展覧会の図録、または絵葉書からスキャンしている。)

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 まずは、この展覧会のアイコンでもある、ヒエロニムス・ボス工房の「トゥヌグダルスの幻視」画像検索結果)。ヤン・マンディンの「聖クリストフォロス」については、スキャン画像をご紹介しておく(左図)。この系統の作品が、いちいちご紹介しきれないほど多数来ており、実に楽しい。ほか、ヘリ・メット・ド・ブレスの「ソドムの火災、ロトとその娘たち」画像検索結果)、ヤン・ブリューゲル(父)の「冥界のアエネアスとシビュラ」画像検索結果)など。



 ブリューゲルらの版画がたくさん来ており、これもまた、いちいち紹介しきれない。ざっくり、「七つの大罪」シリーズの画像検索結果「七つの徳目」シリーズの画像検索結果のご紹介で、お茶を濁させていただく。[;_ _][;^J^]

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 時代は飛んで、19世紀末。フェリシアン・ロップスのいい作品がまた、たくさん来ているんだ [^J^]。ご紹介画像は、左から、「聖アントニウスの誘惑」「略奪」「毒麦の種を蒔くサタン」。「略奪」は、吾妻ひでおの「つばさ」の霊感源であることを、申し添えておく。「娼婦政治家」も来ていたので(原画ではなく、銅版画バージョン)、画像検索結果をご紹介しておく。



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 左図は、ジャン・デルヴィルの「ステュムパーリデスの鳥」。この作品は、知らなかった。画題は、ギリシア神話に登場する怪鳥(の群れ)で、ヘーラクレースに退治された。図中、横たわっている男は、犠牲者ということか..

 右図は、レオン・スピリアールトの「堤防と砂浜」。これが、実にクールなんだ! このjpegファイルでは判りにくいかも知れないが、遙か遠方に堤防がわずかに見える、その距離感が。



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 ジェームズ・アンソールも、多く来ている。左図、「愛の園」は、知らない人も多いだろう。アンソール作品として誰もが連想する“仮面”や“骸骨”とは、やや趣を異にする作品だが、私は好き。国内にあるせいか(豊田市美術館)展覧会で見かける機会は、案外ある。右図、「人々の群れを駆り立てる死」は、アンソールの堂々たるメインストリームというか [;^J^]、非常に有名な作品である。



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 ベルギーは、偉大なシュルレアリストを輩出した国でもある。左図は、ポール・デルヴォーの「海は近い」。彼の代表作のひとつであるが、私見では、月を隠す電信柱が邪魔 [;^J^]。惜しいな〜。

 中央図は、ルネ・マグリットの「前兆」。数多くある「アルンハイムの領土」のバリエーションのひとつ。右図は、同じく「大家族」。これも代表作だが、やはりバリエーションのひとつ。これは1963年の作品だが、1947年バージョンと、驚くほど良く似ている。



 現代作家の作品もよいバランスで揃えられており、なかでも、ティエリー・ド・コルディエの「狂った森、No.1」が気に入ったのだが、図録からのスキャンは(見開きで収録されているので)できず、画像検索もできなかった。

  ほかにも、ルーベンスとかクノップフとか、紹介しきれなかった作品は、たくさんある。この展覧会、お薦め。16:00に退出し、17:30に実家に帰宅。

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*2017年08月15日:幻想美術選「聖堂の倒壊」モンス・デジデリオ


 「幻想美術選」、第77回。第37回の「聖アウグスティヌスの伝説の廃墟」以来、モンス・デジデリオの2回目の登場である。作者については、第37回を参照して欲しい。

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「聖堂の倒壊」(モンス・デジデリオ、制作年不詳)

 「偶像を破壊するユダ王国のアサ王」というタイトルでも知られる、この画家の代表作のひとつ。内容はタイトルどおりというほかは無く、「ユダ王国」「アサ王」あたりでぐぐっていただけば、この絵に関する情報は、それが全てである。[_ _][;^.^]

 画題にこだわる必要は、ない。モンス・デジデリオが求めていたのは、この「崩壊図」の裏づけとなる物語、ただそれだけだったのだから。「廃墟と崩壊の画家」であるが、この作品は「廃墟」ではなく「崩壊」に軸足を置いている。善王として知られるアサ王だが、しかしこの情景を強烈に照らし出している黄色い光線の、なんという禍々しさ! 悪夢の中でしかあり得ない、凍り付いた崩壊の一瞬..

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*2017年08月16日:「SFの書き方」


 SFの書き方 「ゲンロン大森望SF創作講座」全記録」(大森望編、早川書房)、読了。

 今さらSF作家になる気迫も気力も無いが、たとえ作家志望者でなくとも、資料の使い方、IT文房具の使いこなし方、仕事の進め方、などなどの観点からも面白く読めるし、講師陣の個性的なトークはバラエティ豊かで、まったく飽きさせない。実作も、「コランボーの王は死んだ」(高木刑)は、「シートン動物記:狼王ロボ」と「宇宙戦争」という組み合わせが見事な(「遊星からの物体X」も、明らかに想起させる)大変な傑作である。何ヶ所か抜き書きする。

 「SFにおいてヴィジョンの転換は物語のラスト付近に配置されることが多いのですけれど、なぜそうするのかというと、読者は最後に書いてあることぐらいしか余韻として記憶に残してくれないからなんですよね。小説のお客さんというのは、読みながらどんどん話を忘れていくものなので、(中略)お客さんの忘れる速度を甘くみてはいけません」(長谷敏司、47頁)

 「(赤字はプリントアウトに手書きでいれるというアナログの理由)画面上の推敲の何がよくないって、直した瞬間に直す前の文章が消えるんですよね。これは本当にまずいです。良かった文章を消してしまっても、それに気づかないんですよ」(藤井太洋、88頁)

 「他の作家の作品を推敲してみることもあります。大変に上手くなります。とある作家さんのミステリの小説を推敲してたんですが、赤ペンをひとつ入れる度に文章が壊れていって、どんどん悪くなっていくんですよ。元がとてもいいので、手を入れると構造が壊れてしまう」(藤井太洋、89頁)

 「ダイレクトに書いてどんどん進めていけるので、紙のほうが早いんですよ。図表やレイアウトを描くのに、手より早い方法はまだないんです」(藤井太洋、90頁)

 「新聞の切り抜きでも何でもそうなんですけど、下手に整理するとそれで安心して、後で見なくなっちゃう。なので、大きい封筒に入れておくのがいちばん扱いやすいんです。(中略)整理整頓にあまり時間をつかわないほうがいい」(山田正紀、185頁)

 しかしやはり、圧巻なのが、新井素子! 長谷敏司、冲方丁、小川一水、藤井太洋、山田正紀らが、それぞれ立場や方法論や主題は異なりながらも、ある意味極めて普遍的な、ノウハウ、知恵、手法、考え方、姿勢を教えてくれるのに対して、新井素子の「小説作法」と来た日には..[;^.^] あるキャラクターを想起したら、彼女が自分から「話し出す」まで、じっと待つ。話しはじめたら、彼女と会話する。会話し続けることによって、彼女がどういう人なのか、次第にわかってくる。そして..という、恐ろしいもの [;^.^] ..いや、何十年も前から存じ上げておりましたが、いまだにそうだったか [;^.^]。雀百まで踊りを忘れずというか。[;^.^](だから、新井素子の小説には、「無口」な登場人物(主人公)は登場しないのだ、という説明に、完璧に納得。[;^J^])

 そして、小説作法とは直接関係しないが、本書の白眉とも言えるのが、以下のくだり(143頁)。[^.^]

(大森)僕はスマホで読んでます。
(新井)その画面に入るの?
(大森)入りますよ(笑)
(新井)ちっちゃくない?
(大森)えー、こういう感じですね(画面を見せる)。大きくもできますよ。これなら読めるでしょ。
(新井)おー、読める。すごい。えっ、何これ? 大きくしたら勝手に改行が変わった!(会場笑)笑うなー! だってすごいじゃん! ……みんな、全然感動してない(会場笑)

 ..[;^.^] そんな新井素子も、パソコンはネットにつなぎたくない、と仰る。なぜなら、Windows 10 に(勝手に)アップグレードされたら、OASYS親指シフトが使えなくなるからである。(Windows 7 までは親指シフトが使えるということに、逆に驚きました。[;^.^])だから、「Windows 10 にアップグレードするよん♪」、という、例のポップアップが出るようになってから、恐くなってネットから切り離し、スタンドアロンで使っているのだという。

 さすがである。ITリテラシーについては、大変残念な [;^J^] 人であるが、こういう、本質的なところでのスキルというか(本能的な)判断力は、外していないのである。

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*2017年08月17日:「異世界食堂」


 異世界食堂」(犬塚惇平、主婦の友社、ヒーロー文庫)、既刊4巻を読了。

 今年の夏オフでNu氏から薦められた作品である。その時点では、正直、「日本の(普通の)洋食食堂に、異世界(ファンタジー世界)の住人たちが食事をしにくる。彼らの世界では未知なるメニューであるそれらの洋食の美味さに、異世界の住人たちは驚愕し、夢中になる」..という梗概を聞いても、まぁどういう話なのかは大体わかったものの、いったい、それのどこが面白いのか、ピンと来なかった [;^J^] のであるが..Nu氏の薦めてくれる作品に外れはないので、夏オフから戻った数日後に、4冊まとめて買っておいたのである。それを、夏休みの帰省時に持参したというわけ。

 ..なるほど。これは..面白い [;^.^]。この面白さを説明するのは難しい。グルメものとも、違うのだ。それ(いわゆる「グルメジャンル」に取り込まれないこと)を狙ったのかどうかはわからないが、それぞれの料理の美味しさを表現する「グルメ語彙」が、けっして豊富ではない(平易な言葉しか使っていない)ことも、特徴と言えるかもしれない。(本当は、もっと美辞麗句を書き連ねたかったのに、ボキャブラリが追いついていないだけかもしれないが。[;^.^])

 コミカライズもアニメ化もされているので、とうにご存知の方が多いだろう。もしも未読の方がいらっしゃいましたら、お薦めする。とりあえず1冊だけでも、どうぞ。

 願わくば..今後、物語が無駄に拡がって、「強大な敵」とか「宇宙の根源的な悪」とかが登場したり、「この世界と異世界の境界をもぶち抜く超次元最終戦争」とかが勃発したり、「超時空の“次の”サイクル」に突入したり、しませんように..[-人-][-人-][-人-][;^.^]

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*2017年08月18日:「うつヌケ」


 母と、金沢八景まで墓参り。(横浜駅で、妹と合流。)横浜駅の通路に、横浜駅SF」(柞刈湯葉、カドカワBOOKS)の看板がでかでかと。ご当地SF? [;^.^]

 墓参りをすませ、鶴ヶ峰まで戻り、バス待ちの時間調整に、ツタヤ。うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち」(田中圭一 、角川書店)と、「横浜駅SF」と、その続編の横浜駅SF 全国版を買う。既読の「横浜駅SF」を購入したのは、母にプレゼントするためである。

 「横浜駅SF 全国版」は後回しにして、まず、「うつヌケ」を一読..実に面白い(というと語弊があるかな、「興味深い」)。

 本書は、うつ病治療のテキストではないし、作者も、そういう読まれ方は望んでいない。(まず、病院へ行き、医者に従え。)それはそれとして、うつ病のトンネルを抜けることは可能だし、抜けた我々から、まだ抜けられない人たちへの手助けになれれば..という願いを込めて描かれたマンガなのである。

 だから、本書を読んで、もしかして自分もうつの予備軍ではないか?、と、自己診断するという読み方は、間違っているのかもしれないが..私は、うつ病ではないと思う(自己診断)。また、うつの予備軍でもないと思う(自己診断)。しかし、少し危ない徴候かもしれないな、と(自己診断ではあるが)思い当たる点が、無いではない。

 「自分のことが(昔ほどには)好きではない」「(昔よりも明らかに)細かいミスが増えている」..まぁ、この程度で心療内科の戸を叩こうとは思わないが..先手を打っておく方がいいとも、思う。

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*2017年08月19日:雷鳴と電光


 終日、曇天だったが、夜、大音響で盛大な雷。かなり近い距離で、連続して延々と..(おそらく、どこかに落ちている。)雨も時々、強く降ってきたが、あまり長時間は続かない。

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*2017年08月20日:早めに浜松へ


 夏休みは、今日まで。実家前のバス停から8:16のバスで発ち、新横浜駅へ。いつもの(安易な [;_ _][;^J^])土産を部署用に購入して、10:31に発つひかり。浜松着は10:31。メイワンの谷島屋で数冊購入し、11:30に帰宅。

 さて、録画群の後始末が..[;_ _][;_ _][;_ _][;^.^]

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Aug 24 2017
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