*2009年02月02日:ノスタルジーの落し穴
*2009年02月03日:ある喪失
*2009年02月04日:「蒸気駆動の少年」
*2009年02月05日:更新が遅れる理由
*2009年02月06日:自動車が狭める世界
*2009年02月07日:サウナ風呂の幻想
*2009年02月08日:「失われた探検家」
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*2009年02月02日:ノスタルジーの落し穴


 私は昭和33年生まれであり、「昭和30年代」あるいは「1960年代」の空気を幼少期に浴びて育った世代である。ぶっちゃけ、「三丁目の夕日」(の5年ぐらい下の)世代である。この時代は、こんにち、「戦後日本が最も輝いていた時代」あるいは「黄金時代」として認識されているのではないだろうか。

 そういう一面があったことは、事実である。(頼りない少年の記憶ではあるが)現場からの報告としてそう証言しても良い。しかし..まぁ、嫌なことは忘れてしまうものである。「三丁目の夕日の時代」は、「暗黒時代」でもあったのだ。劣悪な衛生環境。交通戦争。こんにちの(日本の)常識では考えられないほど酷い公害。そして、犯罪..

 若い読者諸氏は、少年犯罪は悪化の一途を辿っていると思われているかも知れないが、実は、殺人をはじめとする少年の凶悪犯罪のピークは1960年前後であり、現在は少年の凶悪犯罪の発生率は、戦後もっとも低い時代であるのだ。(もちろん、世界最低レベルである。日本の子どもは「殺さない」のだ。これは無条件に誇れることである。)凶悪犯罪以外の犯罪の発生率も、概して1960年代の方が高い。現在の日本は、こと犯罪に関して言えば、当時よりも遙かに安全な社会なのである。

 「昔を懐かしむことの危うさ」に私が気がついたきっかけは、もう20年以上前になるであろうか、確か朝日新聞の、小さなコラム(囲み記事)である。それは、雨の日の外出について書かれたエッセイであった。その中に、ふと想い出す..昔の道路は、泥濘(ぬかるみ)だったのだ..という一文があった。ただそれだけのことであったのだが..そういえば確かに、子どもの頃、道は舗装されていなかったのだ。雨が降れば、道は泥濘になったのだ。それは、嬉しいことであったのだろうか..?

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*2009年02月03日:ある喪失


 帰宅してから、湯風景しおりへ。

 をを、なんと..ここ数日来、野天の「四季の湯」に浮かべられていた檜の丸太(2本)が、撤去されてる..まだ遊び足りなかったのにぃ..[/_;](← だから、遊具じゃなかったんだってば。[;^.^])

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*2009年02月04日:「蒸気駆動の少年」


 本日読了した、「蒸気駆動の少年」(John Sladek、河出書房新社、奇想コレクション)のインプレを書いておく。

 短編集である。超特選級が、「教育用書籍の渡りに関する報告書」。読まれることがない、寂しい本たちが、群をなして羽ばたき飛び去って行くという幻想の美しさに、息を呑む。トンデモ本(トンデモ学説)の解りやすいパロディである「月の消失に関する説明」と、(社会的に)見えないホームレスたちの世界を描いたとも言える「ゾイドたちの愛」が、特選級。

 ループする時間に閉じこめられた果てしなきバス旅行 − 眉村卓の「今日も、雨」を少し思わせなくもない、悪夢のユートピアを淡々と描く「高速道路」、密室ものの本格推理「見えざる手によって」のほか、「小熊座」「ホワイトハット」「おとんまたち全員集合!」「不安検出書(B式)」が、それらに次ぐ傑作。ほか、「ピストン式」「神々の宇宙靴−−考古学はくつがえされた」「息を切らして」「おつぎのこびと」「血とショウガパン」「不在の友に」「蒸気駆動の少年」などを収録する。

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*2009年02月05日:更新が遅れる理由


 「理由」と書いて「わけ」とルビを振るの、大っ嫌い! ..とはいえ、かつて、本田美奈子のCDの歌詞カードの中で、「子供」と書いて「てんし」とルビが振られているのを見て逆上 [;^.^] したのに比べれば、全然、どうということも無いのだが..

 閑話休題。[;_ _][;^.^]

 ここのところ、木曜日早朝に更新できていない。大体金曜日か、下手すると週末にずれこんでいる始末である。こうも恒常的に遅れているとあらば、理由を書いておかねばなるまいよ。[;_ _][;_ _][;_ _]

 そもそも、木曜朝に更新する(つまり、水曜夜に書き上げる)ようにスケジュールを立てたのは、水曜日が「ノー残業デー」だったからだという事情があった。(昔は、ほとんど毎日残業していたのだ。)今では逆にほとんど残業をしておらず、その意味では水曜日にこだわる理由はない。逆に..数年前(5年以上前)には全く見ていなかったテレビを見るようになり..そして実に、水曜夜は、定期的に見ているテレビ番組が切れ目無く続いているのであった [;_ _]。「ヘキサゴンII」「クイズ雑学王」「爆笑レッドカーペット」「グータンヌーボ」..[;_ _] もちろん、録画してタイミングをずらせばすむことではあるのだが、自宅にいて目の前にテレビがありますとね..リブ100を新調してモバイルでも使えるようになった(復活した)ので、居酒屋なり漫画喫茶なり湯風景しおりなりに「避難」して、そこで書くというのもありですが..(それにしても、湯風景しおりの食堂兼休憩所でモバイルPCしている人は、未だかつて見たことがないな。携帯/DS/PSPに熱中している人は、ざらにいますが。)

 なので最近は、水曜夜は諦めてテレビを見て、目覚ましを5時とかに4時半とかにセットして、木曜朝に早起きして書く(つもりでいる)ことも多いのだが..もちろん、ほとんどの場合、失敗する [;_ _]。昨日も、「5時に目覚ましの音で起きて、目覚ましを止めて、一所懸命日記の原稿を書いている」という夢からさめたら6時過ぎだったし..[;_ _][;_ _][;_ _][;^.^]

 泡坂妻夫、逝去。

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*2009年02月06日:自動車が狭める世界


 日常的に自動車を運転して移動していると、行動範囲が狭くなる。どういうことかと言うと..

 1986年以来、このアパートに住んでいる。通勤先の事業所が数年間変わったことはあるが、それでも通勤経路はほぼ変わらない。実に20年以上、ほとんど同じ道を朝晩走り続けている。そして..その経路上に、一度も入ったことのない店が、山ほどあるのである。一度も通ったことのない脇道(路地)が、山ほどあるのである。入りようがないのだ。比較的狭い街道に直接面している店だし、わざわざ乗り付けて路駐するわけにもいかないのである。ウィンドウショッピングも出来ない。走りすぎながらちらりと覗くだけである。徒歩ならば、あるいは自転車ならばなんの問題もなく出来ることが、自動車に乗っているばかりに、出来ない..

 そうこうしているうちに、(20年というのは、短い年月ではない、)いつかは入ってみようと思っていた店が、潰れてしまう。そのあとに出来たこじゃれた店もまた、潰れてしまう..

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*2009年02月07日:サウナ風呂の幻想


 雲ひとつない快晴。あまりにもうららか。もう春ですか? 例によって湯風景しおりへ。

 日光浴も好きだが、サウナも好きである。それも、(乾燥系のサウナと蒸気系のサウナがあるのだが)蒸気系のサウナが。そして、夜のサウナも悪くはないが、やはり日中がいい。濛々(もうもう)と立ちこめる湯気に、明かり取りの窓からの光が散乱して、素晴らしい幻想空間となっているからである。

 サウナに入る時は、眼鏡を外さなくてはならない。(レンズやフレームが熱せられて危険だからである。)そして眼鏡を外した私の視力は、0.01以下。熱い白い霧の中、先に入っている人の顔どころか、何人入っているのか、そもそもほかに人はいるのかどうかも判然としない(そして中はそれなりに狭く、出入口も一個所しかない)という、探偵小説的状況 [^.^]。基本的にタオル1本の真っ裸なので、兇器の持ち込みも難しい。(氷の刃(やいば)は、公知技術なので除外しておこう。)かくして私は、白い蒸気に包まれながら、いかにして殺すべきか(あるいは殺されるべきか)妄想しつつ、10分間、汗を流し続けるのであった。[^.^]

 10時半頃から14時頃まで、日光浴しつつ読書。全身くまなく太陽光線と微風で消毒する。日サロ(日焼けサロン)に行ったことは一度もないし、今後の人生で行く機会があるとも思えないが、そういう店で紫外線消毒するよりは健康的であろう。(多分。)

 帰路、高丘に寄る。おやおや、総合(ソフト)リサイクルショップのGROOVEが、多少、模様替えしているではないか。玩具系、グッズ系が大幅に増えて、漫画の在庫がいささか減った。特に、比較的古いマイナーなレーベルが減った。まぁ、しゃあないなぁ..

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*2009年02月08日:「失われた探検家」


 クリーニングを受け取ってから、湯風景しおりへ。夕方近くまで、日光浴しながら読書。

 今日、読み終えたのは、「失われた探検家」(Patrick McGrath、河出書房新社、奇想コレクション)。(とっくの昔にお気づきだと思うが、積読の山から、この叢書の未読をせっせと片付けているのである。残すところ、あと1冊..)「マーミリオン」−合衆国南部の廃屋(幽霊屋敷)を舞台として、ある一族の没落と崩壊を語る、壮大なサーガである。短篇でこのスケール感は、凄い。「長靴の物語」−核戦争後にシェルターに逃れた一家を襲うカタストロフ。「蠱惑の聖餐」−虫たちの視点から描く、核戦争後の腐肉の饗宴。以上が、特選級。ニューヨークに現れたみすぼらしい天使の物語である「天使」、「人面瘡」のパターンである「黒い手の呪い」、死刑囚にインタビューする女性記者の物語であり、最後にミステリー的な洒落たオチがつく「アーノルド・クロンベックの話」、ある種の吸血鬼部落の話である「血の病」なども、実に悪くない。ほかに、「血と水」「失われた探検家」「串の一突き」「監視」「オマリーとシュウォーツ」などを収録。

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Feb 12 2009
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