*2002年05月20日:ルパン2002 その一
*2002年05月21日:「何を発信しているの?」
*2002年05月22日:顔つなぎ
*2002年05月23日:不幸のメール
*2002年05月24日:検査予約
*2002年05月25日:「廃墟の歩き方」
*2002年05月26日:ルパン2002 その二
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*2002年05月20日:ルパン2002 その一


 朝日新聞朝刊、社会面の記事。


現代の「愚盗」ルパン

名画 自宅に収蔵 逮捕後 母が処分

 欧州各地の美術館を回って盗みを重ねたフランス人男性が、怪盗アルセーヌ・ルパンを気取るかのように作品を自宅に並べて楽しんでいたことがわかった。ブリューゲル、クラナッハといった大家の傑作も含まれ、被害総額は1千万ユーロ(約12億円)にも。


 ..もちろん、彼の行為は許されるものではない。許されるものではないが..しかしなぜか「弁護側」に回りたくなってしまう。(あなたはどうですか?)その「行為」は確実に間違っていたが、その「魂」は..敬意を表するに値するのではないか。

 何故なら、彼は盗み出した美術作品に“正しく接していた”からである。無論、「7年間にわたって172点も盗んだ」絵画等を、「業者に特注した額縁で飾り、専門書を手に研究に没頭」していたとしても、そんなものは児戯同然。そもそも、温度・湿度・照明などの環境管理が万全になされていた美術館から持ち出した時点で、その美術作品に対してダメージを与えているわけだから、「尊敬」でも「尊重」でもありえない..というあなたの指摘は、全く正しい。しかしそれでもなお、彼の(幼い)「情熱」を、「弁護」したくなるのである。(オタク同士、同病相哀れんでいるだけだと、言わば言え。)

 敢えて極論を述べる。

 彼の「罪」は、「代金を支払わなかった」ことだけである。

 世に、美術品を(財力にものを言わせて)収集したまま一切公開しない金持ちは、いくらでもいる。彼らと今回逮捕された泥棒と、どちらの「罪」が、より重いと言えるか。さらに言えば、集めた美術品を(自宅内であっても)飾っていればまだしも、倉庫の中に(酷い状態で、劣化するにまかせたまま)放置しているケースも珍しくないと聞く。こいつらの方が、遙かに悪質な“犯罪者”ではないか。(この容疑者は、少なくとも美術品を“陳列”していたのだ。)

 衝撃的なのは、事件の結末である。


 (容疑者の)逮捕後、(同居の)母親は「家の整理」としてブリューゲルやクラナッハなどの絵画を切り刻んでごみ箱に捨て、工芸品は近くの運河に投げ捨てた、とされる。母親は15日、盗難物隠匿容疑で逮捕された。


 ..「無知だったのだ(ろう)から仕方がない」、という弁護を、あなたはするかも知れない。しかし私は反駁する。単なる「無知の罪」ではないのだ。彼女は、「人の親として」許し難いのである。

 彼女は、息子が「ガラクタ」を集めていたとでも思っていたのであろうか。息子にとっては、「バレたら重罪」と承知の上のコレクションである。「生命」とまでは言わずとも、「人生」と引き換えにした収集品と言って良い。それをなぜ、「ごみ箱」に捨てられるのか。それでも母親か..(似たような目にあったオタクの人、コレクターの人は、大勢いるのではありませんか。[;^J^])まぁ、逮捕時の容疑どおり「証拠隠滅」のつもりだったのなら、話は別だ。「息子を守るためなら、人類の至宝も惜しくはない!」のだから..途轍もなく“愚か”だったことには違いはないが。

 ..ま、すぐに盗品を保護・回収なかった警察の「落ち度」も、到底看過出来ないほどのものではあるのだが。

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*2002年05月21日:「何を発信しているの?」


 「(君のホームページで)何を発信しているの?」..と訊かれることが、時折ある。答えに窮する質問とは、このことだ。

 なぜなら、この類の質問が発せられる場合、ほとんど例外なしに「5秒以内で説明しきること」が(暗に)要求されているからである。ぎりぎり粘って「10秒強」であろうか。これ以上“だらだらと”説明しても、もはや彼は聞いていない..

 ..さて、「倉田わたるのミクロコスモス」を(最大)10秒以内(望ましくは5秒以内)で要約するというのは、至難のわざなのであった。

 早口でサーベイしても仕方ないし..主要ページだけピックアップするとしても、「手塚治虫」、「吾妻ひでお」、「ベルリオーズ」、「(結構広く読まれている)「2001年宇宙の旅」や「ゴジラ」に関するエッセイ」、「(実は以上のどのページよりもアクセス数が多い)日記」..ここまでで既に15秒オーバーである。しかも相互に脈絡が無い項目が多いので、まとまった印象を聞き手に与えない(ので、彼の記憶に残らない)のがオチである..

 ..というわけで、結局いつも、


「..ま..いろいろさ..」

 ..と、ハードボイルドな [;^.^] お茶の濁し方をしているのであった。(紫煙を薫らせながらだと、さらに絵になるんだよね。タバコ喫みが羨ましくなる数少ない機会のひとつである。)

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*2002年05月22日:顔つなぎ


 あちこちの古書店から古書カタログが、結構頻繁に届く。そして私はそのカタログから、出来るだけ「1冊は」発注することにしている。欲しい物が全く掲載されていないことも多く、そういう場合はさすがに発注しないが、それでも、全然発注しない回が3回は連続しないように、心がけている。

 「顔つなぎ」のためである。

 カタログの発送にも経費がかかっているわけだから、数回続けて発注が途切れたら顧客リストから外すのは、当然であろう。それを恐れているわけだ。

 インターネットで便利に古書探索が出来る時代になったとはいえ、ネットでどうしても見つけられなかった古書をこれらのカタログで発見したケースは、数え切れないほどある。無料で情報が送られてくるチャンネルを維持したいのである。そのためには、(仮に)少々割高でも発注してしまう、というわけだ。(そして、読んでも読んでも高くなる一方の積読の山が、また成長してゆくのである。)

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*2002年05月23日:不幸のメール


 久々に「不幸のメール」をいただいた。指定では8人に送れということだが、うざいので、日記に全文引用することでこれに換える。(私信?の全文無断引用は、もちろん問題アリアリだが、こんなもんの“権利”を守る気は無い。)


>これは信じて〓マジでかかってきたよ〓めっちゃこわ〓
>
>イッテオキマスガコレハ冗談デハアリマセン。1ヵ月マエニ私立ニカヨウ男子高校生
ガ駅ノホ-ムカラ誰カニツキオトサレ体ハ車輪ニマキコマレ即死状態デシタ。ソンナ
彼ハマダ生キタイ。ケド体ガアリマセン。僕ハ彼ノ為ニ犯人ヲ探シテイマス。コノ
メ-ルヲ48時間以内ニ8人ノ人ニオクッテクダサイ。コノメ-ルヲアナタガ止メタラ僕
ハアナタガ犯人ダト疑イマス。僕ハ専門家ニタノンデコノメ-ルガドコニアルノカワ
カッテイマス。実際ニコノメ-ルヲ止メタ山口ニスム、カズコ18歳ノバカヲイマカラ
殺シニイキマス。8ニンニ送ッタラ、確認ノタメ非通知デ1コ-ルシマス。ホントウデ
ス。モシアナタガコノメ-ルヲマワサナカッタラ48時間チョウドニ窓ノソトヲミテク
ダサイ……。

 数時間後に、もう一通来た。見たところ(偽装されているのでなければ)実際に何度も転送されてきたもののようである。


>>イマソトヲミルナこの〓を夜中〓〓時までに〓のお友達〓人に送信して下さい!!!!
あなたが止めたらすぐにわかります!!止めた人は夜中の〓時に非通知でワンコールが
二回きます!!その時は↓の人がやってくる証拠!!これを信じないで止めた静岡県豊田
町に住む鈴木敬太さん〓〓歳の人が↓を見てお亡くなりになられたそうです。しかも
変死体で……。信じる信じないはあなた次第!!ですが命が欲しいなら…。
http://www.crazypig.net/igazou/sadakoring.gif

 ..とまぁ、なかなか「いい味」を出していたのだが、最後のURLで腰砕け。クリックするまでもなく一目瞭然、「リング」の「貞子」の写真なのである。(お暇なら開けてみたまえ。例の“眼”の写真である。)世間に広く認知されている「恐い写真」の流用じゃ話にならない。オリジナル画像を用意しなくっちゃ、だよねー。

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*2002年05月24日:検査予約


 代休を取って、聖隷三方原病院へ。

 実は今週の月曜、火曜と、「妙な腹痛」が繰り返されていたからである。シクシクでもキリキリでもない、腹全体に「シュワァーーン」と広がる、浅い腹痛。これが一日に20回くらい。今ではもう収まっているのだが、念には念を入れて調べてもらおうというわけ。

 やはりというか案の定というか、今日一日の診察では、悪いところは発見されなかった。しかし医者としても、内側まできちんと検査しなければ「安全宣言」は出せないのである。そこで、「胃カメラ」と「注腸検査」の予約をした。

 我ながら、少しオーバーな気もするが..しかし今年の人間ドックでは(オプションとしての)胃カメラも大腸ファイバーもやらなかった訳だし、本来、この歳ではこれらは毎年やるべきものである、と考えれば、別に牛刀でも何でもない。

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*2002年05月25日:「廃墟の歩き方」


 昨日購入した「廃墟の歩き方 探索篇」(栗原亨、イースト・プレス)を一読。(別にこの日記のガイド本ではないぞ。[;^J^])美しい写真の数々もさることながら、特に面白いのが、まえがきというか序論の「探索時の危機管理」「探索のテクニック」である。

 無届けの廃墟探訪は基本的に違法行為である、と釘を刺した上で、負うべきリスクとして、「錆びた階段」「錆びた橋脚」「腐って脆くなった床」「(不法)居住者との遭遇」「床などに散乱したガラスの破片」「消火器(底が錆び付いて劣化した消火器は、ロケットと化す)」「ドア(閉じこめられる)」「釘」「昆虫、蚊」「残留物(放射能、毒)」「割れたガラス窓」「野犬」、などなどを挙げている。

 もちろん私は根性無しの書斎派なので、もっぱら写真集(やネットやビデオの類)で楽しむことにする。

 先日、「スクラップ学園」新作発表祝いとしてヤフオクで入札し、何事も無く落札してしまった「アンジェの時計」が届いた。どーしたもんだろ、これ?(拡大図)[;^J^](吾妻ひでおからアンジェを連想出来ない人に、いちいち説明することはしない。)

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*2002年05月26日:ルパン2002 その二


 今週は、月曜日と日曜日に同タイプのニュースが飛び込んできた。今週の日記の「枠」が綺麗に決まって実に嬉しい。本日付けの朝日新聞から。


修道院の貴重書 夜ごと消えゆく

 フランス東部を代表する巡礼地「モンサントオディール修道院」の図書室に忍び込み、15〜16世紀の貴重な本を2年間近くにわたって盗み、自宅に並べて悦に入っていた古書マニアが21日、地元司法当局に窃盗容疑で書類送検された。修道士も知らない秘密の抜け道を見つけ、図書室に夜間自由に出入り。何度も鍵を取り換えた修道院側を「なぜ被害が止まらないのか」と不思議がらせていた。(中略)盗んだ総計は千冊近く、被害額は算出不可能。すべて自宅で丁寧に保存していた。


 ..あの、もしも呼んでくださいましたら、私はいつでも「弁護側の証人席」に立ちますよ > フランスの司法当局様 [;^J^]。

 だって、だって!! ..「フランス」、「修道院」、「貴重な古書」に加えて、「秘密の抜け道」ですよ、「秘密の抜け道」!! ..まさに(世知辛い)21世紀に降ってわいた「ルパン譚」である!


 抜け道は修道院の2階にある図書室と外部を直接結び、幅60センチ。壁の一部を押すと入ることができる仕掛け。


 ..これを発見した功績で、窃盗罪はチャラに..ならないかな? [;^J^] 今回は(「愚かな母親」はいなかったらしく)全て修道院側に戻ったらしいし..大切に保管していたんだし..温情ある判決を望む。[;^J^]

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: May 29 2002 
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