*2001年10月01日:リブ100、大ピーンチ!!
*2001年10月02日:リブ100、復活!! [;^.^]
*2001年10月03日:プロとアマ その一
*2001年10月04日:プロとアマ その二
*2001年10月05日:Eさん情報調査
*2001年10月06日:「怪奇大作戦大全」
*2001年10月07日:あるいは断末魔
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*2001年10月01日:リブ100、大ピーンチ!!


 (承前)さて、リブ100にはPCカードスロット「0」と「1」があるのであるが、「0」の方に挿入出来なくなってしまったのであった。端子が曲がったか、あるいは異物が混入したらしいのであるが、奥まった部位であり、視認が難しいのであった。(どのように照明を当てても、影に隠れてしまうのである。)「こいつは、やっかいだぞ..((C) B・J)」..と呟きながら、細長いドライバーやピンセットで“触診”を試みるのだが、一歩間違えると致命傷を与えかねない。

 そこで、オペ分解することにした。とにかく、メインボードからPCカードスロットユニットを取り外さないと、修理どころか現状確認もままならない。

 まず、バッテリーとハードディスクを取り外す。裏蓋のネジを外して、メインボードを裏側からハダカにする。案の定、PCカードスロットユニットは“上”からネジ止めされているので、メインボードに上からアクセスするために、やっかいなコネクタをふたつ外す。(外すには外せたが、接続しなおすのは非常に難しそうである..)これによってメインボードが完全に外れたわけではないが、なんとか、PCカードスロットユニットのネジが外せるところまで持ち込んだ。

 ..非常にまずいことに、メインボードを“浮かす”段階で、「増設メモリ」が外れてしまった。説明がやっかいなので詳述はしないが、これは確か、キーボードユニットを外して“上から”取り付けたものなのである。PCカードスロットユニットは、この中途半端な状態でも取り外しも取り付けも可能で、先ほどのやっかいなふたつのコネクタもなんとか接続は可能なので、全体として元に戻せるだろう。しかしこのメモリは、この状態では、絶対に挿し戻せない。改めてキーボードユニットを取り外さなければならない..

 ..が、当面の問題はPCカードスロットユニットなので、メモリの問題は棚上げ。PCカードスロットユニットを当初の予定どおり外すと、端子面まで、ぐっと近くなった。これでなんとか、照明を当てつつ作業できる。案の定、スロット「0」の端子が数本、曲がってしまっている。となりの端子にぶつかって、それ以上は曲がっていないのが不幸中の幸い。これなら戻しても、金属疲労で脆くなってしまうことはなさそうだ..

 ..細長いドライバーで、時間をかけて慎重に戻してから、メインボードのコネクタに装着しなおす。コネクタにしっかり挿さっていることを確認してからメインボードにネジ止めし、さらに、メインボードへの(やっかいな)2本のコネクタを(長時間かけて)挿し直す。増設メモリは、とりあえずキーボードユニットの取り外し方を思い出せないので、まぁあとから別途解決すればよし、ということにして、挿し直せないまま、底蓋を仮止めする。ハードディスクとバッテリーを戻す。電源を入れる..


 ..ガーン!! り、両方とも、認識しなくなってしまった!!


 ..丁寧にゆっくりとPCカードを挿入しても、反応しない。どちらのスロットも..

 ..落ち着け。

 バッテリーとハードディスクを外し、底蓋のネジを外し、基盤を浮かせ、難しいコネクターをふたつ外し、PCカードスロットユニットを外し、コネクタにじっくりと挿し直す。PCカードスロットユニットを取り付け、難しいコネクターを取り付け、基盤を戻し、底蓋のネジを付け、バッテリーとハードディスクを装着し、コールドブート..


 ..やっぱり、認識しない!


 完全に元に戻しているわけではない。メモリだ。下からではどうにもならないので、浮かしたままだ。これが接触不良とか誤接触とかを引き起こしている可能性は、(その形状から)あり得ないのだが、しかし蓋を完全に閉めることは出来ていない。これが原因か? だとすれば、メモリをきっちりと挿し直せばいいのだが、その方法が判らない。キーボードを外す方法を、どうしても思い出せないのだ。

 しかしまずいことになった。これでは、リブ100で作業できない。リブ100に限ったことではないが、この世代の「リブレット」は、PCカードを認識できないとなると、外界との通路が、ほとんど完全に閉じてしまうのである。LAN、モデム、SCSI、ATAデバイスはもとより、FDDすらPCカード経由なのである..つまり、本体は完全に動作しているのだが、外部ストレージにアクセス出来ないので、バックアップを取ることが出来ないのだ。

 厳密に言えば、外部との通信経路が全て閉じてしまったわけではない。赤外線ポートがある..しかしこんなもん、ただの一度も使ったことがないし、そもそも受ける相手がいない。

 IOアダプターがあった! これを装着すれば、シリアルポートとパラレルポートが..しかし今日び、こんなもんがあっても..いや待て、パラレルがあれば、私の非常用起動FDにはパラスカ(パラレルSCSI)のシステムが入れてあるから、これでブートすれば、パラレルポートの先にSCSIデバイスを..


 だから、FDDがつながらないって言ってんだろ! どーやって、フロッピーからブートするんだよ! [;^O^]


 ..もしかして、僕って、追いつめられてる? [;^.^]

 (然り。シリアルポートさえあれば、(各種の転送プロトコルをサポートしている)TeraTerm 経由で、バックアップは取れるのだ。そんなことにも、この時は気がついていなかったのだ。)

 かくして、うろたえにうろたえた私は、緊急避難(非常措置)として、フトンに逃避したのである..(これがいわゆる「リスクマネージメント」である。知らなかった方は、この機会に覚えておいていただきたい。)

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*2001年10月02日:リブ100、復活!! [;^.^]


 とにかく増設メモリを挿し直さなければならず、そのためにはキーボードを外さなければならないのだが、その方法が(早朝から取り組んでも)どうしても判らないのだ。やむを得ず、午前半休 [;^.^]。

 リブ100のマニュアルには、分解方法は一切載っていない。増設メモリのマニュアルには載っていた可能性が高いが、見当たらない。ニフの FTOSHIBA のログにあったような気がするが、量が多すぎて検索しきれない。Google も同様..

 最後の手段として、10時頃に、上記 FTOSHIBA の会議室に、「誰か教えて!」メッセージを書き込む。コメントがつくのは、早くて今日の昼休みか..

 さて、最悪の事態(メモリの挿し直しに成功するしないに関わらず、結局PCカードを認識しない)に至れば、これはもう修理に出すしか無い。実は今週末に上京する予定を入れていたので、その最悪の場合でも、早くも今週末には秋葉の東芝テクノセンターに持ち込むことが出来るのである。本当に良かった!(← 「良かった」さがし。[;^J^])

 ..という事態も織り込んだ上で、念のため、リブ30にリブ100の環境を移しておく。

 12時過ぎに出社。昼休み中にチェックしたところ、(予想どおり)早くも質問に回答がついていた。助かった!(なるほど、ここを外すですか。言われてみれば、数年前にそんなことをしたような気が。)

 帰宅してから、キーボードを外し、増設メモリを装着し直す。キーボードを戻す。これでしっかりとネジを締められるようになったので、改めて底蓋をいったん開けてから、ネジを締め直す..


 ..直った! \[;^O^]/


 PCカードを、両方のスロットで認識した。抜き挿しも問題無し。やれやれ、祝杯! 天狗と映里砂と銀座ライオンをハシゴする。

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*2001年10月03日:プロとアマ その一


 プロには、時間が無い。

 例えば、電子楽器(シンセサイザー等)を駆使するプロは、音作りしている暇などないのである。プロなればこそ入念なセッティングとシェイプアップを..と想像するのは、完全なシロウト考えであって、プロは、受注した仕事に対してパパパッと結果を出さなければならず、また、時間的には過酷な状況であっても、高い水準の(少なくとも一定水準はクリアしている)結果を継続的に出し続けられる人だけが、プロとして生き残っているわけなのである。

 では、何故、プロには時間が無いのか?

 人手不足だからか? それもあるかも知れない。確かに優秀なプロほど、引く手あまたなのではあろう。

 しかし根本的には、「音楽の“単価”が下がった」からだと言う。つまり、単位仕事量あたりの報酬が下がってしまった。賃下げされてしまったのである。目が回るほど大量の仕事をこなしていかなければ、食っていけないのだ。(これは、アメリカのスタジオミュージシャンから(間接的に)聞いた話である。日本ではあるいは状況が違うのかも知れないが、今日のアメリカは明日の日本。同じことは必ず起こる。)優秀なミュージシャンたちが“賃下げ”の憂き目にあうなど、なんとも不条理なことに思えるが..

 では、その、「音楽の“単価”が下がった」原因は、なにか。

 アマチュアがセミプロ級の(少なくとも“結構使える”)音楽を、“廉価に(あるいは無料で)”作れるようになったからである。音楽の「供給者数」が、数十倍に激増してしまったのである。資本主義社会である以上、値崩れする。当たり前である。

 そして、「アマチュアがセミプロ級の音楽を作れるようになった」原因こそ、「電子楽器の高度な発達」に帰さなければなるまい。

 つまり..俺達のせいだ。[;^J^]

 私は、こういう世界を..誰もがセミプロ級以上の音楽作品を作ることができる世界を、夢見ていた。21世紀には実現するかも知れない、と、夢見ていた。この夢を実現するために、電子楽器業界に身を投じた..

 ..夢は、実現したのだ。

 しかしそれが、こんな事態をもたらすとは、想像もしていなかった。プロの生活を圧迫し、廉い仕事の受注に走り回らざるを得ない状況を発生させるなどとは..高度に発達した「電子楽器」(あるいは「人工知能」)の助けを得て、アマチュアがいかに高度な作品を作ろうとも、プロはプロで、やはりその「電子楽器」(あるいは「人工知能」)を利用して、さらに高度な、アマチュアからは隔絶した水準の音楽作品を作るであろう、と、夢想していたのだ。

 誤解の無いように申し添えておくが、確かにこの状況(プロはプロでさらに高度な作品を作る)は実現しているのである。しかし、プロの作品を高い代金を払って買わずとも、まずまず十分な水準の作品が、廉価で手に入る(または自分で作れる)としたら..

 オーディオに例えよう。5万円の装置と50万円の装置の音の違いは、まぁ誰にでも判るであろう。しかし、50万円の装置と100万円の装置の音の違いが判り、そこにこだわる人が、どれだけいるであろうか? そして技術革新によって、50万円の装置と同水準の音が5万円で得られるようになったとき、敢えて(それよりも確実に素晴らしい音がする)100万円の装置を買う人が、どれだけいるであろうか?

 アマチュアの廉価な(あるいは無料の)音楽作品で、必要十分に用が足りる(感動できる)時、敢えてプロに発注する人が、どれだけいるであろうか?

 主として日米の(特に日本の)電子楽器メーカーの耐えざる努力と技術革新によって、この「黄金時代」が到来したのである..

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*2001年10月04日:プロとアマ その二


 (承前)さて、プロのミュージシャンには、時間が無いのであった。彼らには、音作りしている暇など、無いのである。

 (特に日米の)最先端の電子楽器に、どうしてこれほど大量の音色が搭載されている(プリセットされている)のか、疑問に思った人は大勢いるであろうが、つまりこれが「プロ仕様」というわけなのである。非常に良く似た、ほとんど「間違い探し」に近い音色群も搭載されている理由が、これである。「どれかは(プロの、その時の)ニーズにマッチする」のである。

 従って、やや逆説的だが、アマチュアがこれらのプリセット音色を使う理由は無い。私に言わせれば、それは「プロの真似」なのである。アマチュアなればこそ、プロには出来ないことをするべきだ。徹底的に音作りをし、プリセット音色よりも遙かに高水準の音色で勝負すべきだ。それは、プロには出来ないことなのだ。アマチュアは、多くの場合、プロほどには才能に恵まれていない。しかし多くの場合、プロより遙かに時間に恵まれている。

 「“時間”は、“才能”に変換できる。」

 真偽はともかく、このテーゼを信じ、そこに全てを賭ける..

 これこそが、アマチュアリズムの真骨頂なのである。私は、そう信じている。

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*2001年10月05日:Eさん情報調査


 代休を取って、帰省がてら、国会図書館へ。実に三ヶ月ぶりである。今年は夏休みも取れなかったからなぁ..

 この9月23日に初めてメールをいただいたのだが、Eさんという方から、有益な情報がいくつか寄せられていたのである。Eさんは、私のリストを手がかりに、手塚治虫の(主として文章系の)全集未収録作品を追ってらっしゃるのである。

 本日の主たるテーマは、Eさんから寄せられた情報の裏付け調査である。調べきれなかった案件もいくつか残ったが、特に新聞広告の類について、成果があった。

 残存分の調査をしようと、現代マンガ図書館に赴いて..江戸川橋の駅を降りて歩き始めたところで、今日は休館日だったことに気がついた [;^J^]。(定休日:火、金)上京するのは大概土曜日なので、錯覚していたのであった。

 まぁ、現代マンガ図書館の下の階の古本屋は開いていたので、よしとしよう。「大マシン 2(完結)」(泉ゆき雄、アップルBOXクリエート)を確保してから、神保町へ向かう。

 例によって、コミック高丘と三省堂で、若干冊、購入したのであるが..三省堂で衝撃を受けた。

 1Fの「推理・SFコーナー」(実質的には「推理・SF・怪奇・幻想コーナー」)から、SFが一掃されている! クラークやクライトンが数冊ずつ残っているのだが、これは「排除し忘れ」ではないかと思えるほどだ。

 店員のお姉さんに、「あの〜〜、SFは、どこかに移動したんでしょうか?」..と、訊こうかと思ったのだが..

 「SFは、きれいさっぱり、ありません。どこにもありません。ぜーんぜん、ありません! えぇ、ありませんよ。SFは、どこにもありませんとも!」

 ..と、とどめを刺されたら立ち直れそうもないので [;^J^]、そそくさと逃げ出す [;^.^]。

 横浜の実家へ。

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*2001年10月06日:「怪奇大作戦大全」


 昨日購入した「怪奇大作戦大全」(双葉社)に、目を通す。非常に充実した資料であり、読み応えがある。しかしそれだけに..案の定、第24話「狂鬼人間」のデータが、「欠番・非公開」として一切記載されていないのが、残念でならない。つまり、ウルトラセブンの第12話と同じ扱いであり、「なかったこと」にされてしまっているのである。

 「狂鬼人間」のストーリーを、ざっと紹介しておこう。(以降、マスコミのいわゆる「差別用語」が頻出するが、差別の意図は無いことを明言しておく。)

 あるキチガイの女が殺人を犯し、逮捕された。しかしもちろん釈放された。刑法の定めにより、キチガイを処罰することは出来ないからである。そして彼女は治療を受けて、ほどなく全快した..これと同じケースが頻発し始めたのだ。発狂し、殺人を犯し、そして速やかに正気を取り戻す、という例が。

 あまりにも不自然であるとして調査に乗り出したSRIは、恐るべき真相を突き止めた。これらの事件の裏には、「狂わせ屋」と呼ばれる女がいたのである。彼女に金を積むと、一定期間だけ「発狂」させてくれるのである。何故、わざわざ金を積んでまで発狂させてもらうのか。人を殺すためである。刑法の定めにより、発狂している間に殺人を犯しても、それが裁かれることは無いからである。

 「狂わせ屋」は、なぜ、このような恐ろしい商売を始めたのか。彼女は、自分の平和な家庭を、ひとりの狂人に破壊された(夫を殺され、家を焼かれた)という過去を持っていたからである。そしてその犯人(狂人)は、刑法の定めにより、裁かれることは無かったのだ..

 以下、後半の展開(アクション)については、省略するが..このエピソードの素晴らしさと恐ろしさを、伝えられただろうか?

 確かに、これは放映できない。するべきではないだろう、と、私も思う。決して、「キチガイをみたら人殺しと思え」、と謳っているエピソードではないのだが..人殺しをする「キチガイ」たちの迫力と恐ろしさが、尋常では無いのである..

 これは、「怪奇大作戦」全編中でも、最高水準クラスの傑作である。これといった特撮があるわけでもないが、この作品が訴えている問題は、放映当時(1969年)よりも、21世紀のこんにちに至って、遙かな普遍性を獲得している。

 そう、普遍的なのだ。このエピソードにおける「キチガイ」を、「アル中」や「麻薬中毒患者」に置き換えても、この物語は成立する..一例をあげるだけで十分だろう。精神病(神経症)を装って罪を逃れようとした大量殺人犯を、あなたは知っているはずである..

 このエピソードを、「狂鬼人間」を、封じてはいけない。放映しろとはいわないが、記録から末梢してはいけない。1969年当時に、この作品がいかにして企画されたのか、脚本の準備稿と決定稿と改訂稿にどのような異同があるのか、(他のエピソードについては、これらのデータが掲載されているのだ、)是非とも記載して欲しかった。それは貴重な記録であり、証言であるはずなのだ。

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*2001年10月07日:あるいは断末魔


 ヤクルト優勝! ..とのこと。見出しを読んだだけでは、いまいち確信を持てなかったのだが..

 ..つまり、いつの頃からか、セ・リーグの優勝決定ルールは、奇妙な方式になってしまっていたのである。(今年かららしいが。)聞きかじりの知識だが、「勝ち数最多のチーム」と「勝率最高のチーム」が、「プレーオフ」するとのこと。

 ..なんで?

 「勝ち数最多のチーム」と「勝率最高のチーム」のいずれが「最も強いチーム」であるかは、タイマン張って決めなければ判らんっ、という思想に基づくルールなのだが、その理論的な根拠がわからない。

 実家の連中(母と妹)に言わせると、「巨人が優勝する可能性を高めるために、巨人がごり押ししたルール変更なのだ」、とのことだが..まぁ彼女らはアンチジャイアンツなので、話半分に聞いておくとしてもだ [;^J^]..しかしまだ判らない。このルールだと、巨人が優勝しやすいのか?

 特定球団にとっての有利不利はおいといて、このルールはセ・リーグの利益になるのか?

 メリットは、一応ある。「勝ち数最多のチーム」と「勝率最高のチーム」が別球団になりさえすれば、「プレーオフ」の数試合を組むことができる。「プレーオフ」は「消化試合」よりは客を呼べるであろうから、ビジネスとしては正解だ。

 しかし、デメリットもある。それは、このささやかなメリットを軽く吹き飛ばしてしまうほどの、巨大なデメリットだ。つまり、客から見て、各チームが何を目指しているのか、「なんだかよくわからなくなってしまう」のである。

 実際、私は、「ヤクルト優勝!」、という見出しを見ても、「で、プレーオフは、あるの? ないの? これで決まりなの?」..と、いまいち状況を把握できず、結局、盛り上がりそこなってしまったのである。

 優勝決定の瞬間の「吹っ切れなさ」に限った問題ではない。シーズン途中の各試合においても、各チームが何を目指しているのか。「勝ち数」か「勝率」か。両チームとも「勝ち数」を目指していれば、話は単純だが、「勝ち数」を狙うチームと「勝率」を狙うチームの試合は、いまいち噛み合わない。「同じ目標」を争っているのではないのだから。

 実にすっきりしない。爽やかでない。スポーツらしくない。

 長きに渡ってプロ野球から目を離していた私が、今年になって、数年ぶりに新聞のプロ野球欄を見た時の戸惑いを、想像してみて欲しい。私は、セ・リーグの順位表を、「読めなかった」のである。何を意味しているのか、理解できなかったのである。ニフティサーブのとあるフォーラムで、どういう順序で並んでいるのか、質問してしまったほどなのである。

 まぁ、言われてみれば単純で、勝ち数の順に並んでいるのであり、だから(回答として)このことだけを教えてもらった時点では、「実にわかりやすく乱暴な、単純極まりないルールにしたんだな」..と、なかば感心し、なかば呆れながらも..しかしやはり「変だな」、と思ったのは..「勝率」も併記されていたことなのである。まさかプレーオフ用だったとはね。

 つまり、ファンも迷うのだ。「どの“数字”を応援すればいいのか」。

 最低である。

 最悪である。

 巨人だかどこだか知らないが、自チームが優勝する可能性を(いくらかでも)高めるために、「ペナントレース自体が複雑で見通しの悪いものになっても構わない」、という判断を下したチーム(個人)があるのだろうか? これほど愚かな判断を下せる人間が、存在しうるのだろうか?..

 ..つまり、断末魔なのだろう。セ・リーグが。あるいは、日本球界が。

 マンガ雑誌に限ったことではないが、一般に雑誌は(経営的に)追いつめられると、とにかく目先を変える。まぁ、「編集長交代」「主要連載総入れ替え」くらいは、特に追いつめられていなくとも、定期的に(リフレッシュのために)行うことであるが、「判型」をいじりだしたら、要注意である..というか、注意しても手遅れな事態なのであって、半年と持たずに、また判型を変える。ここまでくれば、余命は、まず1年..

 「優勝決定ルールの変更」というのは、根本的な大変更なのであって、それを、見たところデメリットの評価もろくにせずに導入したところを見ると、セ・リーグは既に、この(ダッチロール)フェーズに突入しているのであろう。

 ..ま、潰れることはないだろうが..「業界」としての魅力はどんどん薄れ、人材はどんどん流出するのであろう。その流出人材のうち、とりわけ優秀な一部の人材は、大リーグに向かうのであろう..

 素晴らしい!

 最高である!

 日本の「優秀な」選手は、片っ端から大リーグに出ていって、大暴れしてもらいたい。日本球界なんか、どうなってもいい。大リーグの二軍、いや三軍で結構だ。大リーグに優秀な日本人選手を送り込むための「ファーム」として機能してもらえれば、必要十分だ。

 なぜなら、(別にプロ野球、あるいはスポーツに限ったことではないが、)米国に限らず海外で活躍している民間日本人は、「外務省」の無能で無気力な役人どもよりも、遙かに健全に優秀に「外交官」として機能していると思えるからだ。(「外務省」に属する全員が、無能で無気力だとは言わない。しかし、無能で無気力で日常的に犯罪に手を染めているのは「ほんの一部の個人」だけだと言われても、説得力は何ひとつ無い。)

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Oct 10 2001 
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