*2000年07月03日:「せどり男爵数奇譚」
*2000年07月04日:深呼吸とか
*2000年07月05日:寝込んだりして
*2000年07月06日:時間を稼いで逃げ回る
*2000年07月07日:企業にとって最悪の事故
*2000年07月08日:週末の放蕩
*2000年07月09日:さらに、週末の放蕩
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*2000年07月03日:「せどり男爵数奇譚」


 以前から書名のみ知っていた「せどり男爵数奇譚」(梶山季之)が、ちくま文庫に収録されていたので、購入。即、読了。(読み始めたら、やめられなかったのである。)

 「“せどり”(背取り、競取)とは、古書業界の用語で、掘り出し物を探しては、安く買ったその本を他の古書店に高く転売することを業とする人を言う」(本書裏表紙より)。

 “業(なりわい)”とまでは言えないにしても、“せどり”で小遣い稼ぎをした人は、少なくなかろう。私にも覚えがある。しかしいまや、これを職業としている(メシが食えている)人は、日本にひとりしかいない、と、どこかで読んだ記憶もある。

 実際、昔は不勉強な古本屋も多く、どこぞの古本屋で吾妻ひでおの本を10円か50円で仕入れては、まんだらけに高く転売していた、という美談 [;^.^] を良く聞いたものだが、今ではちょっとした古本屋は、皆勉強熱心で、インターネットやパソコン通信での情報収集も怠りなく、結果として(“せどり屋”がそこから利鞘を稼げる)値付けの差が、非常に小さくなってしまった。

 しかし実は、新たな「“せどり”黄金時代」が、到来しているのである。

 それは、BOOK OFF(あるいは同タイプの新古本店)の隆盛である。

 「本の“価値”に値段を付けるのではなく、本のみかけの綺麗さと新しさだけに(機械的に)値段を付ける」、という、このほとんど苛烈なまでに明快な経営方針によって、BOOK OFFは“せどり屋”の草刈り場となっているのであった。

 とはいえ、本書の一エピソードのような、「(昭和25年当時、)30万円で購入した洋書一式(3千冊)を7千万円で売りさばいて悦に入っていたら、それを買った相手が(それで“揃い”を完成させて)7億2千万円で転売した、と聞いて、切歯扼腕」、などという、豪快なロマンは生まれそうもないが..

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*2000年07月04日:深呼吸とか


 いまだによくやる、失敗例。

 どこぞから送られてきた古書目録を読んでいて、「あ、こんなものが出ている!」→ 速攻で発注!

 落ち着け。

 慌ててFAX(あるいはメール)する前に、ネットでざっと検索しろ。もっと廉く入手できる可能性も、あるのである。私の場合、発注してから(あるいは納本されてから)正気に帰り、改めてネットで探してみたら半額以下でゴロゴロ見つかり、臍を噛んだ例が、少なくとも5冊はある。

 いつも気に掛けている本ならば、常日頃から検索して、相場を把握していたり(あるいは、全く市場に出ていないことを知っていたり)するのだが、そうではない本が危ない。「おぉ、そう言えば、この本も欲しかったんだ、忘れてた!」という文脈で、思わず引っかかってしまうのである。(検索することすら、忘れていたのだからねぇ。)

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*2000年07月05日:寝込んだりして


 省略語に突っ込むのは、お約束だが..いんたねっとな話をしている文脈で、いきなり「ネコミ」と言われてもねぇ。

 「夏コミ」「冬コミ」なら、私でも知っているが..それから類推するに..「子(ね)コミ」か。子年に開催される、12年に一度のコミケ..詩的でいいねぇ。「12年に一度の夏」、とか。(受ける人だけ受けて。)

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*2000年07月06日:時間を稼いで逃げ回る


 この話は、前にも書いたかなぁ。

 どんな場(ニュースグループ、ML、掲示板、等)でも同じだが、議論に追い込まれた(劣勢な)側が、しばしば口走るパターン。「とにかく、**の著作を読んで下さい」。あのな。

 どうして、そんな労力を払わなければならないの? 何故、たかがあなた(ごとき)との議論に、そんな工数をかけなければならないの?

 その本の内容を、自分で噛み砕いて要約して私に叩きつけろよ。それが出来ないのであれば、つまりあなたにも「**の著作」が理解できていないということなのである。それを振り回して私を黙らせようなどとは、10年早いわ。

 ..ま、こんなことは誰でも思っているのであって。実際、誰かが「**の著作を読んで下さい」とか、わめきだした時点で、議論は完全にシラけてしまう。馬鹿馬鹿しくて、相手にしていられなくなるのだ。当然だろう。誰かが誠実に(時には数千円(以上)と数週間(以上)を費やして)「**の著作」を読み込んでから反論を再開したら、今度は、「XXの著作も読んで下さい」、と、逃げ回るのだから。引っ張り回されるだけなのだから。(詐欺(というか夜逃げ)みたいなものである。)

 しかし、逆に言うと、これは議論を終わらせるのに使える手だね。別に、勝つ必要の無い議論。どうでもいい議論。つまらない論敵。どうでもいい場。そこから手を引くためには、相手をシラけさせるのが、一番だ。そうだな、例えば民俗学の議論をしているのならば、「柳田国男全集を、取りあえず読んで下さい」。相手がそれを読んできたら、「折口信夫全集も読んで下さい」。「南方熊楠全集は、当然読んでいますよね?」。「フレイザー(以下略)」..

 最小限の投資(発言量)で最大限の被害(労力)を相手に与え、疲労させるのが、ディベートの定石のひとつなのだ。この作戦で発生しうる唯一の誤算は、馬鹿正直にそれに付き合った相手に膨大な勉強量を課した結果、彼が、あなたの手には負えないほどの知識(と知恵)のレベルを獲得してしまうことだけである。

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*2000年07月07日:企業にとって最悪の事故


 雪印事件について。

 まぁ、あまり過剰反応はしたくないなぁ、と思っていたのだが、どうもこれは、ちょっと弁護の余地が無さそうな。

 イレギュラーな事故が起こってしまったのならば、それはそれで(すんだことは取り返しがつかないという意味では)仕方がない。それのすみやかな収束方法こそが肝要なのであって、そのあまりの拙劣さに驚いていたのだが、(大体、経営陣(あるいは上級管理職)というのは、まさにこういう時のために雇われていると言っても過言では無いのだから、それに失敗した以上、解雇も当然でしょう、)どうも、「イレギュラーな事故」でも無かったらしい..

 起こるべくして起こった事故だったのならば、起こってしまって良かった(なぜなら、これで問題点が明らかになったから)、というのは、エンジニア的発想だろうか? それにしては、被害が大きすぎるか。死者は、出ていないよね?(少なくとも、今日の時点では。)いくらなんでも死者が出た日には、「起こってしまって良かった」とまでは、さすがの私も、口走らないよ。

 他山の石である。

 私の勤務先は、電子楽器メーカーであり、品質事故がユーザーの生命(あるいは健康)に直結する可能性は、比較的少ないのだが..

 電子楽器メーカーの起こしうる最悪の事故とは、なんであろうか。

 もちろん、すぐに思いつくのが、感電、火災。しかしこれらは、家電一般に通用する話であって、電子楽器“特有の”事故とは言い難い。

 ..とすると..ステージ上で音がでなくなる、(..のならばまだいいが、)大音響で鳴りっぱなしになる。(自動演奏装置付きの楽器の場合、)勝手な演奏が始まってしまう(ことにより、実はそのプレーヤーは口パクならぬ手パクで、自力では弾いていなかったことがばれてしまう [;^.^])..

 ..そして、これらによって演奏が大失敗して、「客席で暴動が起こり、死者XX人」、「その楽器を使っていたプレイヤーが馘になり、収入が途絶えて一家離散(あるいは心中)」、「(未成年の場合)彼が密かに想いを寄せていた相手に愛想を尽かされ、ヤケを起こして大事件(以下略)」..

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*2000年07月08日:週末の放蕩


 朝いちで某病院。薬の追加処方をしてもらう。続いてジョーシンで、DVDを2枚。それから、N..

 ..ということで、午前中(10時台)から夕方にかけて、シーフードサラダとガーリックトーストを(昼食代わりに)つまみつつ、読書をしながらNでワインを1本空けるのが、癖になってしまった。(晩には、天狗。)まぁ、週末くらい、いいでしょう。

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*2000年07月09日:さらに、週末の放蕩


 “解説”という字は、“解脱”という字に良く似ている。本気で読み間違えて、あやうく解脱してしまいそうになったこともある。酔眼ならば、さらなり..

 ..ということで、午前中(10時台)から夕方にかけて、シーフードサラダとガーリックトーストを(昼食代わりに)つまみつつ、読書をしながらNでワインを1本空けるのが、癖になってしまった。(晩には、天狗。)まぁ、週末くらい、いいでしょう。

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*解説


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Jul 12 2000 
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