*2000年06月19日:「失神エンジェル」、ゲット!
*2000年06月20日:携帯が街を埋め尽くす
*2000年06月21日:辞書を鍛えない理由
*2000年06月22日:「デビルマンレディー」終了
*2000年06月23日:健康美について
*2000年06月24日:某皮膚病/乱歩原作コミックス
*2000年06月25日:「蜘蛛」と「ロウモン街の自殺ホテル」に、一応の決着
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*2000年06月19日:「失神エンジェル」、ゲット!


 先週の金曜日、代休を取った日に、「失神エンジェル」(聖レイ)が、会社に届いていた由。これでようやく、当初から気にかかっていた単行本を、ゲット出来たわけである。また、これが私の聖レイコレクションの14冊目であり、現在までにタイトルが判明している27冊(共著1冊を含む)中の50%を、クリア出来たことになる。(だからここらでやめておけ −− 足を洗え、というのが、理性的な判断であろうが、今さら遅い。[;^.^])

 くどいようだが、「失神エンジェル」は、別にこの作者の代表作でも傑作でも無い。これはもう、ページを開く前から判っていたことであるが、買っても買ってもどの本も、内容はみんな同じ。ゴミと言えば、全部ゴミなのである。

 まぁ、悪い女に引っかかったと思えば。(残り13冊。)

 お暇なら、そこらの(ロボット系)サーチエンジンで、「聖レイ」を検索してみたまえ。エンジンにもよるが、ヒット数を「漫画鳳凰殿」と二分しているのが、「廃墟通信」の諸ページである [;^J^]。いまや「廃墟通信」は、聖レイに関する一大メジャーサイトなのだ [;^o^]。

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*2000年06月20日:携帯が街を埋め尽くす


 勤務先から500メートルほどの場所にあった「漫画村」という古本屋がつぶれてから、かなりたつ。ここで(ふと思い立って)島本和彦の単行本を40冊以上まとめ買いしたのが、島本和彦全単行本収集のきっかけになったということもあって、思い入れのある店ではあったのだが、何しろ、客が少なすぎた。ほとんどいつ見ても、0人乃至(多くて)1人だったのだから、やむを得ないか。

 で、数ヶ月間、テナント募集状態だったのだが、結局、携帯の店が入ってしまった。このパターンが、極めて多い。何かが潰れたら、その跡を襲うのは携帯。なんぼ売れてるからと言っても..

 20年近く昔の学生時代、千葉県野田市(及び柏市)においては、街の中で何かが潰れた場合、その跡に弁当屋が入るケースが、非常に目に付いた。10年前は、同じパターンで、コンビニになった。今は携帯電話。

 これはこれで、日本経済の着実なIT化(サイバー化)の指標になっているような気がする。[;^J^]

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*2000年06月21日:辞書を鍛えない理由


 私が(Win95で)使っている日本語FEPは、ATOK12であり、これ用のフリーの(ジャンル毎の)専用辞書は、いくらでも手に入る。それらを導入して切り替えて使えば、文章書きの効率もアップする筈である。にも関わらず、それらの辞書をひとつも導入していないのは、もちろん、私の怠慢なのであるが..それどころではなく、辞書を鍛える(単語登録をする)ことも、ほとんどしていないのである。(ATOK12の語彙数は、デフォルトでは決して多くは無いことは、皆さんもご存知の通りである。)大昔、確かWXPを使っていた頃に、それまで書き散らしてきた文書から、数千語を拾ってまとめて登録したっきりかも知れない。(そのユーザー辞書は、もちろん、ATOKに移植した。)

 これほど怠惰でもやっていける理由は、はっきりしている。daijisen コマンドのせいだ。私がリブ100を使っている時間のほとんどは、DOS窓でVzを常駐させての文書書き(とリストのメンテ [;^J^])なのであるが、daijisen コマンドがあると、コマンドラインから「大辞泉」を、サクっと引けるのである。つまり、ATOK12で変換出来ない単語は、「大辞泉」に聞けばいいのである。例えばATOK12は、「しょかつこうめい」すら変換出来ないのだが、そんな時はコマンドラインで、

C:>d しょかつこうめい
しょかつ‐こうめい【諸葛孔明】
⇒諸葛亮(しよかつりよう)

 ここから切り貼りすれば、それで済むのである。

 無論、「大辞泉」が知らない単語も山ほどあるので、(漫画家の名前は「手塚治虫」くらいしか知らないようであるし、)辞書を鍛える(導入する)べきなのであるが..それなりに使える環境を手にしていると、ステップアップへの腰が引けてしまう、という、好例であった。

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*2000年06月22日:「デビルマンレディー」終了


 「デビルマンレディー」、連載終了。ちょっと待てと言いたくなる、急加速のエンディングである。いや、加速ならいいのだが、これはぶった切りに近い。胡乱なキャラをあれだけ繰り出しておいて、結局、こうまとめるの? このビジョンに持ち込むのならば、あと300ページは描き込んでもらわないと。

 人気が伸びずに、打ち切られたのか? あるいは作者が飽きたのか? どうも、後者の線が濃いような..[;^J^]

 なんにせよ、単行本収録時には、大幅な加筆訂正を希望する。この際、3年後の「超完全完結版」でも、許す [;^.^]。

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*2000年06月23日:健康美について


 出勤途中、自転車通学の女子高生を見て、珍しく、「いい感じだな、可愛いな」、と、思った。理由はすぐに判った。ひとりは短ソックス、もうひとりは靴下無し(裸足に靴)だったのである。

 ということで、君らはひとつも、ろっぽく無いことが、改めて明らかになったので、いい加減にルーズソックスはやめて、生足にしなさい。もう夏場になると言うのに、暑っ苦しいんだよ!>該当者

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*2000年06月24日:某皮膚病/乱歩原作コミックス


 思い立って、皮膚科へ行く。某皮膚病の治療のためである。はっきり言えば、水虫である。

 足の指の股の皮膚が“むけ”がちである、ということは、遙か以前から承知していた。高校生か、もしかすると中学生時分だから、四半世紀にもなる。しかし最初にそのことに気が付いて以来、全く悪化しない(広がらない)し、そもそも痒くもなんとも無いのである。だから私は、これは水虫だ、ということは重々承知の上で、一切の治療を行ってこなかった。薬をつけたことも、一度もない。この四半世紀間。

 ところが昨夜、あらためてよく見てみたら..広がっているのである。依然として全く痒くは無く、だからこのことに気が付くのも遅れたのだが、いったん事態が動き始めた以上、急展開してもおかしくは無い。一気に悪化し、四半世紀目にして、ついに自覚症状(痒み)に襲われるのかも知れない。この夏は、酷いことになるかも知れない..

 診断結果は、意外なことに、一ヶ月で治るとのことである。(半年から一年以上かかる、と、認識(覚悟)していたのだが。)しかも飲み薬によってである。無論、塗り薬も併用する。いずれも、かなり強い薬のようだが..

 先日、買い込んでおいた「ゆうパック」の箱に、普段あまり参照しない書籍(主として古い雑誌)を詰め込み始める。別に引っ越しするわけではない。書棚を空けないと、どうしようも無いのである。

 この用途には「ゆうパック」の箱が非常に便利だ、ということに、今さらながら気が付いたのであった。(何しろ普段、ゆうパックのやりとりを滅多にしないから。)何より、サイズがぴったり。そして、日本全国、どこでも手に入る標準仕様である。(これまでも、さまざまな段ボール箱に詰め込んで来たが、サイズがまちまちで、ぴったりと積み上げたり、押し入れに最密充填することも、ままならなかったのである。)

 キングジムの(投げ込み型の)B4ファイルを探して、浜松市内のめぼしい文具屋をまわるが、見つからない。(A4ならあるのだが。)そもそもB4ファイルというジャンル自体が、マイナーなようである。発注すればいいのだが、まぁ、近々上京するから、その時買えばいいか..

 角川ホラー文庫「ホラーコミック傑作選 第5集 江戸川乱歩・原作 白髪鬼」を買う。乱歩原作によるアンソロジーで、「白髪鬼」(横山光輝)、「地獄風景」(桑田次郎)、「陰獣」(古賀新一)、という、豪華なラインナップ。目当ては「地獄風景」である。遙かな昔、雑誌で、この桑田次郎によるコミカライズ版を見て、その凄惨さに息を呑んだ記憶があるからである。

 追憶どおりの素晴らしさ。ただ、この桑田作品に限り、印刷で黒ベタが強く出過ぎており、いささか読みにくく、残念である。「原稿紛失のため雑誌から起こした」、という、良くあるケースなのかと疑ったが、それにしては画質が良すぎる。謎である。

 桑田次郎は、エンディングに「パノラマ島奇譚」の趣向をつなぎ合わせている。私は、原作の「悪の勝利」の方が好きなのだが、これはこれで正解だろう。

 しかし、乱歩のコミカライズは、他にもいくつもあるのだろうが..これだけの傑作を読んでしまうと、漫画による「乱歩全集」というのを、夢想してしまう。どこか企画してくれないものだろうか? 出来れば、ひとり一作で。(確か講談社文庫の乱歩シリーズの口絵を描いていたこともある)高橋葉介は、「黄金仮面」か「黒蜥蜴」か?

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*2000年06月25日:「蜘蛛」と「ロウモン街の自殺ホテル」に、一応の決着


 明け方5時頃、強烈な雷鳴5連発で叩き起こされる。(すぐに寝直す。)

 総選挙投票。そのついでにNにより、朝っぱらから赤ワインのボトルを空けつつ、読書など。実に安上がりな放蕩である。

 「邪悪な文学誌」(許光俊、青弓社)読了。「「蜘蛛」」「「蜘蛛」、ふたたび」、と、2回に渡って、「蜘蛛」(エーヴェルス、「怪奇小説傑作集 5」(創元推理文庫)等所収)と「ロウモン街の自殺ホテル」(牧逸馬、「世界怪奇実話」(現代教養文庫、社会思想社)所収)の関係について、問題にしてきたのだが、K氏からのメールで、「見えない眼」(エルクマン=シャトリアン、「恐怖の愉しみ(上)」(創元推理文庫)所収)、「蜘蛛」、「目羅博士」(江戸川乱歩、「乱歩の選んだベスト・ホラー」(ちくま文庫)等所収)、「ロウモン街の自殺ホテル」の関係について、この本で言及されている、と、紹介されたのである。

 結果、本書には、「ロウモン街の自殺ホテル」についての記述は無かった。しかし、謎はほとんど解けた。まず間違いなく、「ロウモン街の自殺ホテル」は、「蜘蛛」を粉本とした、牧逸馬の創作である。

 まず、一連の作品の発表年代を整理しておく。「見えない眼」(エルクマン=シャトリアン)1870年代。「蜘蛛」(エーヴェルス)1908年。「目羅博士」(江戸川乱歩)1931年。「ロウモン街の自殺ホテル」(牧逸馬)1929〜1933年。

 次に、アイデアの親子関係であるが、1.「見えない眼」→「蜘蛛」、2.「見えない眼」→「目羅博士」、は、確実だと思われる。

 1.について、エーヴェルス自身は、「盗作」疑惑に対して、「「見えない眼」を読んではいない」「どちらの作品も同じ事件を元にしているのは確実である」、と、述べた由。(つまり、参照したことは否定しているが、極めて良く似ていることは、認めているのである。)

 2.については、実は乱歩自身は言及していない。乱歩はアイデアを「蜘蛛」から借用した、と明言しているのだが、誰が読んでも、「目羅博士」は「蜘蛛」よりも「見えない眼」に近い。彼の記憶違いではなかろうか?

 さて、「ロウモン街の自殺ホテル」である。これの前半の展開は、「蜘蛛」の序盤と“全く”同じである。(偶然の一致では、あり得ない。)発表年代も「自殺ホテル」が完全に後なので、これだけ見れば、問題なく、「蜘蛛」→「ロウモン街の自殺ホテル」、という親子関係が断定できそうなのだが..引っかかっていたのは、「自殺ホテル」において、これが「実話」である、と、明記されていることだったのだ。その日時もホテルの名称も、この事件が記載されている文献に至るまで、極めて詳細に記されている。(ホテルの写真まで掲載されている。)これで、迷ったのだ。同じ事件を、エーヴェルスも下敷きにしたのではないか、と。

 しかし、本書(「邪悪な文学誌」)で、「蜘蛛」の発表年が1908年であったことを知って、ほぼ決着がついた。なぜなら、牧逸馬は「自殺ホテル」の中で、「事件は1906年10月に始まり、その記録は、1907・8年のパリ版“Chronique des Taibunaux --- Compte rendu des proces en Correctionelle”に詳しく出ている」、と、記述しているからである。これを信ずるとすると、エーヴェルスは、パリで起きたばかりの事件に取材して「蜘蛛」を書いたことになるのだが、やはり本書によると、彼は「蜘蛛」の(ドイツでの)発表直後に、「(1870年代に発表された「見えない眼」も、「蜘蛛」も、)同じ事件を元にしているのは確実である」、と、釈明しているのである。もしも同じ年に、パリで「自殺ホテル」の事件が発表されていたのだとしたら、この“嘘”は、たちまち見破られていた筈である。(「自殺ホテル」事件の詳細が発表されたのが、「蜘蛛」の発表年と同じ“1908年”である、という“暗号”は、だから牧逸馬の“洒落”なのでないかと、思われるのだ。)

 私自身が当初から、「自殺ホテル」の“実話性”に疑問を感じていた理由が、ふたつある。

 まず、第二の“自殺”を検視した医者の言葉である。「暗示の力を語る、奇妙な、しかし不可能ではないすばらしい実例です」。人死にが出たというのに、素晴らしがってるんじゃねぇっ!、という突っ込みはさておき [;^J^]、これは「目羅博士」か「見えない眼」からの引用としか思えない。

 もうひとつは、“犯人の正体”が、あまりにも“ロマンティック”すぎる点である。「仏領東京(トンキン)支那からきた有名な狂人の犯罪者」で、あだ名は「蜘蛛」。事故で「猿のような腰つきの、ふた目と見られない不具者」になった、と言うのである。(「支那」も「狂人」も「不具」も変換できない辞書が、“日本語FEP”の標準辞書に相応しいと思いますか?>読者諸兄)いくら、事実は小説より奇なりとは言え、まんま、乱歩作品の登場人物である。そして、アルセーヌ・ルパン物ばりの活劇で、幕となる..

 しかし、誤解しないでいただきたいのだが、仮に、牧逸馬が「蜘蛛」を下敷きにして「ロウモン街の自殺ホテル」を創作し、これを“実話”として発表したのだとしても、私には、それを批判するつもりは、毛頭無いのである。そもそも、著作権というかオリジナリティの概念が確立していなかった(または、オリジナリティを尊重しなくてはならない、という考え方が一般的では無かった)時代においては、こんなことは珍しくなかったのである。「粉本」は、立派な日本語である。(ATOK12ですら、変換出来る!)むしろ、“原作”をそのまま引き写さずに、後半の活劇(と、意外な犯人)を創作したという点を鑑みるに、牧逸馬は、なんとか自分のカラー(オリジナリティ)を出したかったのであろう..

 以上、直接の証拠は無いので、「ロウモン街の自殺ホテル」が“実話”では無い、と、100%断言することは出来ないのであるが、一応の結論は、出たと思う。

 書き忘れていたが、「邪悪な文学誌」は、「蜘蛛」ファン必読である。

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*解説


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Last Updated: Jun 28 2000 
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