高木彬光「妖婦の宿」


 見事な密室トリックである。犯人を含む3人が入れ代わり立ち代わり見張っている部屋の中から、被害者が自分の意志で抜け出して殺され、時間差攻撃で運びこまれる。まるでトランプ手品を見ている様だ。ただ一ヶ所、腑に落ちない点が残ったが、まさにそれが引っ掛けで、探偵が犯人という第一のどんでん返しと、実は探偵と真犯人が入れ代わっていたという第二のどんでん返しがある。

*昭和ミステリー大全集 新潮文庫


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Jul 15 1995 
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