G・ルルー「黒衣婦人の香り」


 「黄色い部屋の謎」の続編だが、世評通り、かなり落ちる。前作の超A級の密室トリックがなくなって、B級の筋運びだけが残ったと言えば言い過ぎか。Aなる夫とBなる妻がいて、Bに執心のCなる犯罪者が闇の中でAを襲ったが返り討ちに合い、AとBは密かに死体を始末したのだが、実はAとCが当初から入れ代わっていて、闇の中でやっつけられたのは、本来の夫であるAだったのであるが、Aは実は(のちの保険として)殺されておらず、精神病院に監禁されていたのをルールタビーユに救出され、再びAに化けているCと対決し、逃げ場を失ったCは自殺する..と、まぁまぁの筋ではあるのだが、ルールタビーユたちが警察を呼ばずに、古城の廃墟にこもって迎え撃つ理由が、最後にちゃんとした説明が与えられるにも関らず、説得力不足で感情移入しにくかったり、後半でさしはさまれる門番の「不可能殺人」が、単なる事故としていきなり解決してしまったり、という不手際が散見されて、損をしているのである。一番まいるのが、ルールタビーユのマザコンぶりで、うっとうしいったらありゃしない。[;^J^]

*創元推理文庫


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Jul 15 1995 
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