アポリネール「オノレ・シュブラックの消滅」


 カメレオン式の変色と平坦化によって、壁に溶けこむ術。体は変色しても服は変色しないし伸びもしないので、当然裸にならねばならず、故に、すぐに裸になれる様、裸体の上にいきなりマントを羽織っている、という点が、妙に論理的で面白いし、またそれが、透明人間願望と、そもそもの事件の発端が不倫の情事の現場からの逃走であったことと合わせて、エロティカルな興趣を添えている。(「夢の中のぼくはいつも裸だけどこのへん一度分析してみる必要あるな」(夢の少女−吾妻ひでお))

*『怪奇小説傑作集』創元推理文庫


MASK 倉田わたるのミクロコスモスへの扉
Last Updated: Jul 15 1995 
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